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2021年

4月

21日

輝きの12弦(3) Hotel Californiaの迷宮

壁の飾りををかえました。イーグルス" Hotel California"1976年

 12弦の名曲は数多くありますが、院長はホテルカリフォルニアが好きです、ベタですけど。時々頭の中をホテルカリフォルニアがぐるぐる回るのです。

 12弦ギターの切ないアルべジオのイントロから始まるんですよ。そして反復進行(1)しながら6弦ギターが重なり、歌もベースラインも重なって、次第に音が厚くなる。メロディラインが哀愁たっぷりで日本人の心に響きます。歌詞はよく読んでみるとミステリアスな話です。歌に出てくる人はたまたま立ち寄ったホテルの不思議な世界にに入り込み抜け出せなくなります。元の世界に帰れるのか?と怖くなってしまいますね。

 エンディングのギターソロが名演奏ですよ。2本のギターが泣きまくっています。ギターを触ったことのある人はみんなコレを弾いてみたかったはずです。ソロ最後の三連符(2)なんか本当カッコイイですね。永久にあっちの世界から抜け出せなさそうな雰囲気が立ち込めてくるのです。

 さてこの迷宮、コード進行にも秘訣があるのです。この曲どこまでも終止しないのです。サビのBメロは全く終わった感じがせず、Aに引き継ぎます。歌の終わり(A'メロ)なんか尻切れであとはすべてギターソロに譲っています。受けるギターソロも結局最後は終止せず、余韻を残してどこまでも続きそうなのです。だから再び聞きたくなる。頭の中をぐるぐる回るのです(3)。皆様、一度そういう耳で名曲ホテルカリフォルニアの迷宮をお楽しみください。 (院長)

 

(1)同じメロディーを反復しながらコードを移動してゆく反復進行で、ベース音が順に順々に下がってゆく。音楽理論でカノン進行と言うそうです。確かにこういう曲探せばたくさん出てきます。間違ってたらすみません。

(2)タララ タララ タララ タララ タララ休 タララ タララ タラギューン です

(3)楽器パートが多いので頭の中で一つ一つ再現していたら飽きないです。結局永遠にぐるぐる回ります。

 

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2021年

4月

07日

宝塚花組「アウグストゥス/ Cool Beast !!」

 壁の飾りをかえました。

花組「アウグストゥス/ Cool Beast !!」2021.4.2-5.10宝塚大劇場

 後にローマ皇帝になるアウグストゥス(オクタヴィウス)の話です。トップ柚香光さん はオクタヴィウスを、娘トップの華優希さんはポンペイアを演じます。二人とも本当に美男美女ですね。今回退団の二番手、瀬戸かずやさんがアントニウス役で男役芸の極みを見せてくれます。専科の凪七瑠海さん普段は男役ですが今回女王クレオパトラを演じます。美しい!瀬戸さんと大人の恋を演じる役作りの掘り下げが深いですね。院長の好きな和海しょうさんはクレオパトラ側近の軍師役、歌場面もあって嬉しいです。最近私が気になっている泉まいらさんは渋い元老院議員役、エジプト軍兵士にローマの民衆に大活躍でいい味出しています。

 ストーリーはやや込み入っていて1回見ただけではわかりにくかったです。2回目はプログラムの場面解説ページを読んでから観ると流れが呑み込めました。あらかじめプログラムを入手して開演前に一読しておかれるようお勧めします。そして久しぶりに生演奏が再開されました!やはり生演奏はいいですね、音圧が違います。

 後半はショーCool Beast !!はラテン音楽を中心に情熱的な舞台が繰り広げられる藤井大介先生らしいショーです(1)

 歌とダンスを分業した場面がいくつかあって、すごくいいのですよ。専科の美穂圭子さん、凪七さん、花娘 音くり寿さんが次々に歌を繰り広げ、柚香さんが躍る。ダンサー柚香光さんの魅力がさらに輝くのです。また、ショー後半トップ柚香さんが女装し(2)、2番手瀬戸さんと組む妖艶なダンス、これは見逃せない名場面です。歌は花組きっての男役歌手 和海しょうさんが1曲通しで歌い上げます、ホールが鳴り響く名歌唱でした。娘トップ華さんと柚香さんのデュエットダンスも見どころです。歌は大人の魅力美穂さんと凪七さんが担当(3)。トップさんが舞うそのバックで、歌手二人が階段で歌う。すばらしい歌と踊り、ドラマチックな演出です。

 皆様機会があればぜひ素晴らしい花組の舞台をご観劇下さい。(院長)

 

(1)テーマ曲の歌詞に各スターの名前を織り込まれていたり、退団者をフィーチャーした見せ場を作ったりと、藤井先生はタカラジェンヌに思いやりがあるなあと感じます。

(2)藤井先生作品は男役の女装場面が名物。2017年花組Sante !!で柚香さん瀬戸さん水美さんが女装していました。

(3)美穂さんは有無を言わせぬ超絶歌唱力です。凪七さんは伝統的宝塚男役の味ある歌なんですよね。二人の歌、ジーンと聴き入ってしまいます。

 

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2021年

3月

24日

煌めきの12弦ギター(2)A Hard Day's Night

壁の飾りををかえました。ザ・ビートルズ"A Hard Day's Night"1964年

 12弦の魅力を世界中に広めたのは間違いなく彼らのこのアルバムでしょう。"A Hard Day's Night"は1曲目です(1)。12弦の特徴がイントロの和音、間奏、そしてエンディングのアルペジオに表れています。

 イントロの「ジャーン」は、不思議な響きを持つ和音です。12弦ギター(ジョージ)と6弦(ジョン)、ベース(ポール)、ピアノ(ジョージ・マーティン)で構成されることはわかっていましたが、どの音が入っているのか長年の謎でした。

院長が中高生だった80年代はGsus4/DまたはG7sus4という説が一般的で、みんなが使うシンコーミュージックのバンドスコアは12弦Gsus4、6弦D、ベースD(つまりGsus4/D)でした。ビートルズ解説書籍などでは12弦D7sus4+ベースGなど諸説ありました。中には数学研究者がサンプリングした音源をフーリエ変換を用いて解析したという論文まであります(2)。なぜいつまでも解明されなかったのかというと、プロアマ問わずよってたかって誰が演奏しても完全に同じ響きが再現されなかったからなんですね。

 後年ジョージ・ハリスンがFadd9だったと明らかにした(3)ことで12弦ギターだけ解明されました。でもその他パートが謎でした。当時のプロデューサー、ジョージ・マーチン氏の証言やテクノロジー進歩で解析が進んだことなどをあわせて、最近ではようやく、12弦Fadd9(6弦全弾きか1-4弦だけ弾いてるのかはまだナゾ)+6弦Fadd9+ベースD(3弦5フレット)+ピアノ D2-G2-D3-G3-C4(ペダルオン)、が最有力と言われています。 ピアノとその残響音ハーモニクスも混ざって複雑な響きの和音になったのだろうという結論で落ち着いているようです。

 イントロの和音だけで熱く語りすぎてすみませんです。この曲、間奏もカッコいいし、エンディングのアルペジオもキラキラしています。ともに12弦の魅力あふれる響きなんです。ぜひもう一度12弦ギターのところに集中してお聴きください!

 ビートルズは決して演奏や歌の上手さを味わう音楽ではないと思うのです。彼らはアイデアとテクノロジーを駆使した音作りの天才なのです。そのサウンドが世界中の人達を魅了してきたのです。院長はビートルズ大好きなのでまた語らせてください。

 

(1)関西在住だった方はTV番組「突然ガバチョ」の曲と言えば洋楽ファンでなくとも思い出していただけるでしょう。

(2)こういう音の理論やテクノロジーの話は理系男子にはツボなわけです。Brown先生のフーリエ変換解析はこちら、

JI Brown 著, Dalhousie University.2008, Mathematics, Physics andA Hard Day’s Night

その他2017年のABCニュースより

A Hard Day's Night: Solving a Beatles mystery with mathematics. First posted 5 November 2017

久しぶりに英語を読んで頭が疲れました。

(3)2001年2月15日にジョージがライブ・チャットで証言しているそうです。

The chord was identified as an Fadd9 by George Harrison during an online chat on 15 February 2001:

Q: Mr Harrison, what is the opening chord you used for A Hard Day’s Night?

A: It is F with a G on top (on the 12-string), but you’ll have to ask Paul about the bass note to get the proper story.

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2021年

3月

10日

燦めく12弦ギター(1)「恋の奴隷」

壁の飾りをかえました。

奥村チヨ「恋の奴隷」昭和44年、作詞:なかにし礼、作曲:鈴木邦彦

奥村さん17枚目のシングルです

「恋の奴隷」「恋狂い」「恋泥棒」とお色気路線の「恋3部作」といわれます。奥村さんはコレ歌うのが随分嫌だったそうですが、聴いてみると歌唱がいい!艶がありますね。そしてそれにも増してこの曲の隠れた聴きどころは12弦ギターだと思うのです。これが大変味があるのです。

江藤勲さんの硬質ベースがネチッコイのに対して12弦ギターがキラキラなんですよ。澄んだ音色で爽やかなのです。ベースと12弦が妖艶と清純、二つの面を表しているようにも聞こえてきます。

以前ご紹介したハクション大魔王「アクビちゃん」もですがこの時期の歌謡曲界って結構12弦を使うのが流行ってたんですよね。

皆様ぜひとも歌謡曲の12弦ギターの音色を見つけてください。

 

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2021年

2月

24日

星組 ロミオとジュリエット

シェイクスピア原作のストーリーは皆様ご存知のアレです。主人公の若い2人がおバカな設定で物語としてはあまり共感できないですが、舞台は見所にあふれております。

まず楽曲がすばらしいです。元がフランスのロックオペラで、ヨーロッパのポピュラーメロディは日本人の琴線に触れるところ大です。これをトップ礼真琴さんが正確無比な安定の歌唱で歌うのです、遠い席でも音楽だけ聴いていて価値があります。

ダンスもすばらしい!今回役名のつく人が少ない代わりに、敵対する2つの名家(1)が赤と青チームになって集団で登場する、この群舞ダンスが華やかなのです。細かく見ると端の方でアクロバティックなことをやってたり。目立ったもの勝ちの様相で、皆様髪型に個性的な工夫をされていて眼を奪われます(2)。

院長の好きな、いぶし銀の二番手 愛月ひかるさん(写真2枚目)はロミオに敵対するティボルト役でした。この方はアクの強い役を演じたら随一です!立っているだけで背後にメラメラと黒い炎が見えそうです。ロミオに刺され倒れて動かなくなる、その死に姿まで絵になっています。今回も愛ちゃんの迫力と愛ちゃん節に圧倒されました。

また、渋い男役の綺城ひか理さんも去年の作品に続いて良いのです。この人は渋い理知的な方面の役が多いのですが、今回はパリス伯爵という少々ヘタレな貴族の役を好演されます。歌の方も綺城さんならではの低音ボイスを響かせてくれます!フィナーレのダンスは長身を生かしてめちゃカッコイイですね。

若手では2年目男役の青風希央クンが抜群のスタイルと華があって注目です。ロケットではセンター位置、パレードではトップさんのすぐ後ろに位置して目立っています。これからが楽しみですね。

皆様、星組の舞台、トップさんから若手まで見所沢山です。役替わりもあります(3)。ぜひともご覧ください。(院長)

 

(追記)役替りBパターン観ました。愛月さんは「死」の役です。この役は、死ぬ運命にある登場人物の背後に取り憑き、終始無言で踊りだけでその人の運命を表現するのです。Aパターンの天華えまさんは無表情でクールな死神でした。Bパターン愛月さんこの役、戦慄するほど凄い迫力と不気味さネチっこさを出しておられました。さすがは愛ちゃんのなせる業です、一見の価値ありですよ!そして何と「愛ちゃんの死」がSNS上でトレンドワードになっていたそうです。綺城ひか理さんのベンヴォーリオ役も聞かせる歌の数々よかったです。低音から高いところまで出ますねえ。さてBパターンベローナ大公役の遥斗勇帆さん、めっちゃ歌ウマいです。舞台に響き渡る美声!今まで注目してなくてすみません。そして若手の娘役 鳳花るりなクンはダンスがキレキレです!動きがダイナミックで手足が伸びて見えるのです。遥斗さんも鳳花さんもこれから注目株だと思います。

(1)モンタギュー家=ロミオ側=青チームvsキャピュレット家=ジュリエット側=赤チーム

(2)湊璃飛さんの髪型スゴイ!サイドを刈上げしています、北斗の拳の無法者みたい。

(3)2/25~愛月さんはティボルト→「死」、綺城さんはパリス伯爵→ベンヴォーリオ、こちらも楽しみです。

 

ブログカテゴリ 宝塚歌劇 

愛月さん出演の作品はこちら→ WEST SIDE STORY黒い瞳眩耀の谷/Ray

 

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2021年

2月

03日

アニソン侮るべからず(2)ハクション大魔王

壁の飾りをかえました。

「ハクション大魔王」昭和44年、歌:嶋崎由利 作詞:、作曲:市川昭介

「アクビ娘の歌」歌:堀江美都子、作詞:丘、作曲:和田香苗

 前回に引き続きアニソンです。この曲は音楽好きの間で有名です。

まずイントロ、ギターからしてファズ(1)を使ってジミヘンみたいな音を出しています。そしてベースが物凄いんです。装飾音の多さと上へ下へ動くこのベースラインは、寺川正興さんを思わせます。でも細かいところがちょっと違うようにも聞こえます。いまだ誰の演奏か明らかになっていません。ただ、ベーシストたち憧れの一曲であるらしく、動画で「ハクション大魔王」のベースを演奏するアマチュア多数です。譜面を掲載してくれる人もいます。そりゃこのベースは弾きたくなりますね。このように演奏は完全にロックです。しかし歌のメロディーは演歌なんですね。作曲が市川先生ですから。歌唱は嶋崎由里さん、本当に上手です(2)。

 B面の「アクビ娘」はドラム、ギター、ベースのコンボ構成、タイトなドラムにキラキラの12弦ギターが響いて、ドゥーワップコーラスもあって、まるでリバプールサウンドなんです。歌うは天才少女歌手の堀江美都子さん(3)です。確かTVテロップに12歳と出ていました。12歳でこの歌ですよ、スゴイですね。

 60-70年代、アニソンはスタジオミュージシャン達の実験場だったのではないかと推測するのです。売上枚数やレコード会社の戦略など制約がある歌謡曲よりも、アニメの方が自由な表現ができる場だったのでしょう。毎日TVから流れる上質のサウンドに囲まれ当時のこども達は恵まれていたというべきでしょう。アニソン侮るべからず。(院長)

 

(1)ファズとはギターの音を歪ませる装置です。ディストーション等と同様。ローリングストーンズ「サティスファクション」のイントロを思い出してください。ジミ・ヘンドリックスもファズを多用しました。なお、2020年のハクション大魔王OP曲は奥田民生作曲「サティスハクション」!、もちろんファズギターです。

(2)「みなしごハッチ」と同じ歌手です。「ハクション」での発声法は民謡の影響を感じます。昔、お昼にのど自慢番組で小学生なのにメチャクチャ民謡が上手い子なんかよく出ていましたね。その系統出身でしょうか?

(3)アニソンの女王と呼ばれています。作品は数え切れず。

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2021年

1月

20日

アニソン侮るべからず(1) みなしごハッチ

皆様いかがお過ごしでしょうか。壁の飾りをかえました。

「みなしごハッチ」昭和45年歌:嶋崎由里、作詞:丘灯至夫、作曲:越部信義

 最近院長はアニソンを車の中でガンガンに聴き込んでいます。

 アニソンの放送時間は89秒(1)と言われます。本作ではさらに短く70秒。アニソンは出だしが勝負、はじめの15秒で引きつけなければ視聴者は離れてしまいます。イントロは短く印象的に、歌はわかりやすいメロディーと歌詞でなければならないのです。

 イントロから始まるビートをお聴きください。この跳ねるような硬いベース、昭和歌謡を代表する名ベーシスト、江藤勲さん(2)でしょう。さらに管と弦セクションが入り乱れるという豪華な作り。ここだけで耳が釘づけになりますよね。嶋崎由里さんの歌がいい味出しています。嶋崎さんはこの歌を録音したときちょうど変声期にあたり随分苦労されたそうですが、このOKテイクは低から高音までよく伸びています。歌に重ねてくるストリングスがまたいいですね、伴奏だけ別にメロディーを覚えてしまいます。

 歌詞はこの時代に一般的な、アニメ作品の説明と主人公名を盛り込んだもの。校歌と似たようなパターンです。みなしごハッチの歌詞には色々勇気づけられます。簡単で短いことばで世界を広げる当時の作詞技術も味わってください。

 キャッチーでビートがあって、豪華で、今でも聞きごたえのある良いサウンドだなと思います。現代の再生装置で音量を上げてみると、あの頃には気付かなかった音の職人たちの技が聞こえてくるのです。アニソン侮るべからず。 (院長)

 

(1)与えられる時間は90秒だが前後につなぎ目の無音時間が0.5秒ずつ設定されるので89秒。

(2)江藤勲さん:当ブログでもご紹介しておりますブルーライトヨコハマ長崎は今日も雨だった伊勢佐木町ブルース雨の慕情スワンの涙ドリフのズンドコ節グッドナイト・ベイビー

 

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2021年

1月

06日

宝塚雪組 f f f-フォルティッシッシモ-

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願い申し上げます。

壁の飾りをかえました。

宝塚雪組「f f f-フォルティッシッシモ-/シルクロード」

トップコンビ望海風斗さん、真彩希帆さんが本公演で退団されます。

ミュージカル「f f f-フォルティッシッシモ-」はベートーヴェンの半生を描いた作品です。ベートーヴェンの曲と宝塚きっての名歌手コンビがたいへん楽しみです。

ショー「シルクロード」も楽しみにしています。

皆様、寒くなってまいりますのでくれぐれも御身体にお気をつけください。

今年もお元気で過ごせますように。   (院長)

 

2021.1.11追記

 観てきました。「fffフォルティッシッシモ」はベートーヴェンとナポレオンの伝記という形を借りて、人というものは理想と現実の乖離に悩み苦しむがそれでも受け容れて前に進む、といった普遍のテーマを表現しているように感じました。現実には無いはずの観念的な世界を表す場面もありました。しかし、決してわかりにくい劇ではありません。それにトップさん二人の歌が本当に素晴らしい。望海さんの歌唱の音圧がスゴイです。これに真彩さんが七色の歌声で交錯する。これは聴けて良かった。

 ショー「シルクロード」も見どころ満載です。オリエンタル調音階の曲が多く、これを歌いこなすのはさすがの望海さんと真彩さんです。シンプルな黒燕尾も良い!次期トップ彩風さんに青いバラを引き継ぐ場面、泣かせますね。デュエットダンスはトップコンビの仲の良さ・信頼関係が伝わってきて感動的です。

 さて本公演でトップさんの他にも退団者がいらっしゃいます。なかでも院長が好きな彩凪翔さんと煌羽レオさん。彩凪さんは暑苦しいまでの男役顔にスラリとした長身のジェンヌさん。カッコいい役も無法者も今回のような理知的な役もこなします。そして煌羽さんといえば悪役で定評があり、触れなば切れんばかりの鋭い表情と演技。そしてショーでは踊りや身のこなしもシャープなのです。キャラクターは異なりますが、ともに眉間の皺が似合う、いぶし銀の男役さんなのです。この二人が登場すると自然と舞台が引き締まるのです。つくづく退団が惜しまれます。

 皆様機会がありましたらぜひ雪組のすばらしい舞台をご鑑賞ください。(院長)

 

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2020年

12月

09日

ジングル・ベル

壁の飾りをかえました。

江利チエミ「ジングル・ベル」昭和27年(写真EPは昭和37年盤)

作詞作曲:James Lord Pierpont、日本語訳詩:音羽たかし

 江利チエミさんは少女時代から進駐軍クラブで実力を磨いた実力派歌手、そしてジャズのイメージです。発音が英語らしいですね、耳から英語を覚えた人なのではないかと思います。原信夫とシャープス・アンド・フラッツの演奏もスイングしています。

 顧みれば昭和50年代前半頃まではクリスマスは子供たちのものでしたね。バブル以降、高額なプレゼントや飲食を行う大人のイベントに変遷したような気がします。まあ、今なお子供たちのクリスマスも存続しているわけですが。

 毎年クリスマス・ソングを聴くと、子供たちのクリスマスを思い出し、この1年自分も家族も何とか無事に過ごせてよかったなとしみじみ思います。

 まあ今年は感染症などつらいことが色々ありましたね。来年は楽しい1年になりますように。皆様、よい年末年始をお過ごしください。 (院長)

 

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2020年

11月

25日

筒美先生の世界(5) 恋の弱味

郷ひろみ「恋の弱味」昭和51年 作詞:橋本淳、作曲:筒美京平

 郷さん作品ではそれほど有名ではないけれどめちゃくちゃカッコイイ曲です。

 筒美&橋本の黄金コンビ、都会的センスあふれる楽曲に大人な雰囲気満載の歌詞世界です!郷さんはこの手前までいわゆる少年アイドル的な歌が続きましたから、ちょっと大人っぽい郷さんを演出した曲ですね。

 タイトなドラムがビートを刻み、ベースと金管が絡みグルーヴを引っ張る。そしてそして、筒美先生のスゴイところが歌手の声を生かす曲作りをされる点なのです。スタジオで歌手の声を聴いて手直しする等の話が残っていますね。この曲も郷さんの声質と歌い方の魅力を最大限引き出しておられるのですよ。サビ部分「Get down 白いビルの~」なんか聴いててシビれますね~!本当に名曲だと思います。

 さて、この「筒美先生の世界」シリーズですが、院長が「筒美京平」の名を知ったのは小学生時代、近田春夫のオールナイトニッポン2部でした(1)。近田さんはミュージシャンかつ歌謡曲評論家、とにかく2時間歌謡曲をかけまくり、曲に重ねてひたすら早口で喋りまくる、という放送でした。自分が筒美先生と郷ひろみさんに心酔していることを延々しゃべっていましたね。近田さんは歌謡曲カバーアルバム(2)までリリース、その中に「恋の弱味」がありました。番組コマーシャル時間に「恋の弱味」が何度も流れて(3)、カッコイイ曲だなあと感じたことをよく覚えています。院長がオリジナルの郷さんバージョンを聴いたのは成人してからです。

皆様ぜひ郷さんの「恋の弱味」を、そして筒美先生の世界をお楽しみください。(院長)

 

(1)水曜第2部(火曜深夜AM3-5時)、昭和52年10月 - 54年3月

(2)近田春夫&ハルヲフォン LP「電撃的東京」昭和53年もお聴きください。

(3)オールナイトの深夜帯はスポンサーがつかないCMタイムはBGMだけ流れていたのですよ。

 

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2020年

11月

11日

宝塚宙組「アナスタシア」

 壁の飾りをかえました。宝塚宙組「アナスタシア」2020.11.7~12.14宝塚大劇場

ロシア革命で殺害されたロマノフ皇帝一家の末娘アナスタシアが、生きのびていたという「アナスタシア伝説」にもとづいた話で、ブロードウェイミュージカルを宝塚版にしたものです。宙組さん「ロシア物」が続きますね。

 孤児としてサンクトペテルブルクの裏町で育った詐欺師ディミトリ(男役トップ真風涼帆)は記憶喪失の少女アーニャ(娘トップ星風まどか)を皇女アナスタシアに仕立て、パリに住むマリア皇太后に会わせ報奨金をせしめようと計画します。

 全編を通じ歌で話が進みます。美しいメロディーの数々、それも1つ1つの歌がしっかり長い目です。トップ真風さんの「真風節」が好きな院長にとってこれは嬉しい限りです!ディミトリは生きるために詐欺師をしているが、実は純真な心を持つ青年。アーニャが本物の皇女だと信じ、賞金のためではなく彼女のために尽くそうと心が変化してゆく、そんな優しい心根を演じます。真風さんといえば男役らしいダンディズムですが、こういう爽やかな役もうまく表現されるなあと感心します。

 ヒロイン星風さんも演技・歌ともに表現力が熟してきました。記憶喪失で身寄りがないため一人で力強く生きてきた少女と、皇女の上品さを演じます。

 二番手 芹香斗亜さんは革命派新政府の将校・グレブを演じます。街で偶然出会ったアーニャに恋心を抱くも、彼女は生き残りの皇女かもしれない。もしそうであれば、彼は愛と良心よりも革命を優先しアナスタシアを消さなければならない立場。そこに葛藤がうまれる。そんな複雑で難しい人物像を演じます。心の闇の部分や感情の揺れ動きを見事に表現する芹香さんの演技と歌唱は本作の見所ですね。

 桜木みなとさんは主人公の相棒ヴラド役を演じます。本作は全体的に重い場面が多い中、この役はコミカルな要素を与えてくれてほっとします。桜木さんの歌唱もどんどん上達されて聴きごたえがあります。

 本作は以上4名とマリア皇太后(寿つかさ組長)、侍女リリー(和希そらさん、今回は娘役)の主要人物で劇が進行します。ですから、他の宙組ジェンヌさんたちの出番が少なかったことが心残りでした。院長の好きな皆さんの活躍も観たかったですが次回作に期待です。なお、コーラスの宙組と言われるだけあって、いつもながら素晴らしいコーラス場面です!劇の後にあるショーでは芹香さんが、娘役の和希さんをリフトする場面もあって見所でした。

 

Webサイトを見ていますとまだチケットは少しの余裕があるようです。皆様機会があればぜひ素晴らしい宙組の舞台をご観劇下さい。 (院長)

 

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宝塚宙組「アナスタシア」宝塚大劇場2020.11.7-12.14

2020年

10月

28日

筒美先生の世界(4) 太陽は泣いている

いしだあゆみ「太陽は泣いている」昭和43年6月 作曲:筒美京平、作詞:橋本淳

 ビクターでヒットに恵まれなかったいしだあゆみさんが昭和43年コロムビア移籍した第1弾です。昭和41年デビューの筒美先生はこのときまだ新進作曲家、新しいサウンド造りに意気込んでおられたことでしょう。実際いしださんのビクター時代と全く違う音なのです。

 楽曲は当時流行していたGSのサウンドを取り入れたもので(1)、ドラムやベース、リズムギターは当時のGSよりもGSらしいリズムを編み出していますね。GSやロックバンドというのはドラム、ギター、ベース、キーボードの簡素な編成が本来の姿と思いますが、筒美サウンドは豪華に盛り付けるのが特徴です。チェンバロ、弦楽器、管楽器、バックのオケが光っています。おまけに当時流行りの12弦ギターも入ってます。そして筒美先生といえば耳に残るキャッチーなメロディ!

 歌手のいしだあゆみさんは、いわゆる美声ではなく、ちょっとハスキーで、ノン・ビブラートの歌い方なんです。GSというのは演歌や歌曲みたいにネチッこく歌わず、こういうあっさりした歌唱の方がよくて、いしださんの歌がとても合っていると思います。この半年後43年12月、いしだ・筒美・橋本で大ヒット「ブルーライト・ヨコハマ」が生まれるのです。

 B面の「夢でいいから」もしっとりとしたA&M風のサウンドでこれも後に多くの歌手にカバーされた佳曲です。

 いしだあゆみの魅力を引き出した筒美先生の名曲、ぜひお聴きください。 (院長)

 

 筒美京平先生が先日2020年10月7日になくなられたそうです。筒美メロディは心の支えでしたからとても残念です。筒美先生のご冥福をこころよりお祈りします。しばらく院内に筒美先生の作品集を飾っております。

 

(1)グループではなく歌手一人で歌うので、こういう形態のことを歌謡曲ファンは「一人GS」と分類します。

 

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2020年

10月

14日

宝塚月組 Welcome to Takarazuka/ピガール狂騒曲

宝塚月組 Welcome to Takarazuka/ピガール狂騒曲

 前半はWelcome to Takarazuka、和物ショーです。日本舞踊のスペシャリスト松本悠里先生が舞います。松本先生は入団から60年以上在籍の大ベテランで宝塚の和物ショーになくてはならない存在。本公演で宝塚を卒業されます。先生の舞を眼に焼き付けてきました。影ソロの歌は月組の名歌手白雪さち花さん、輝いていました。そして日舞といえば96期の春海ゆうさんの舞です。美しい所作に優雅さとキレが抜きんでています。春海さんの扇さばきに見とれています。

 後半の劇が「ピガール狂騒曲」ベルエポックのパリが舞台のミュージカルです。コメディの要素があってとても楽しい劇、そして泣かせるいい話なのです。主役トップ珠城さんは2役演じます。この劇、2番手 月城かなとさん(シャルル役)の演技と歌が素晴らしかった。めきめき実力を上げておられるように思います。劇中歌、月城さんの超ロングトーンが見せ場になっていて客席から拍手がわくのです。舞台と客席の一体感、宝塚大劇場の魅力だなあと思います。

 渋い男役さんの芝居も楽しみです。鳳月杏さんの練られた芝居とアドリブ。輝月ゆうまさんの悪役も堂に入っています、ここでも客席が沸きます。そして月組アイドル暁千星さんのダンスはいつもながら眼をひきますね。風間柚乃さんのコミカルな芝居もおいしすぎる!フィナーレのエトワールは白雪さち花さん、惚れ惚れする歌ですわ。

 若手では和物ショーでデュエットを歌った静音ほたるさんが注目です。105期入団2年目ながら堂々とした歌唱!同期の奏羽美緒さんはショーの和装もパリの少年役どちらもかわいらしいですね。これからが楽しみです。

 ふりかえってみると「目移りしすぎて眼が足りない」ほど見所の多い舞台でした。もう一度見たいと思ってしまう劇ですね。

 チケットはまだ余裕があるようです。いまがチャンスです。あと2週間ほどですが機会がありましたらぜひ月組をご観劇ください。 (院長)

 

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2020年

9月

30日

夢見るシャンソン人形

壁の飾りをかえました。

フランス・ギャルFrance GALL「夢見るシャンソン人形」原題"Poupée de cire, poupée de son" 1965年 作曲作詞 セルジュ・ゲンズブール

 前回登場の本城和治ディレクターはフィリップスでGSをプロデュースする前は、もともとジャズや洋楽輸入部門を担当していました。その時代に日本に紹介した曲のひとつがコレです。日本でも多くの歌手がカバーしてめちゃくちゃ流行りました(1)。調べてみると弘田三枝子、中尾ミエ、越路吹雪、伊東ゆかり、浅田美代子、麻丘めぐみ、ザ・ピーナッツ、石野真子、ジューシィフルーツなど30名(組)以上がカバーしています。50年たって現代でもまだカバーされています。それだけいい曲なんですね。院長も子供の頃に日本語版を耳にしたのを覚えています(2)。

 出だしの有名なメロディは、ベートーベン ピアノソナタ1番 第4楽章を使っていると言われています。一度聞くと忘れられないキャッチーなメロディーに編曲と演奏も凝っています。その後のアイドルポップの手本になっていると思います。なお、日本のアニメ「山ねずみロッキーチャック」1973年の主題歌は「~シャンソン人形」を使っていますな。限りなく同じです。

フレンチポップの名曲、ぜひ一度オリジナルをお聴きください。(院長)

 

(1)日本語の歌詞は岩谷時子さんです。

(2)南沙織さんの歌ならばラジオで、あるいは小林麻美さんはTVコマーシャルで歌ったのを聞いたのだと思います。なお1965年(昭和40)NHK紅白で中尾ミエさんが歌っています。

 

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2020年

9月

16日

日本のロックの萌芽(2) カーナビーツ

 壁の飾りをかえました。またまた日本のロックが芽を出したころのGSです。

カーナビーツ「恋をしようよジェニー」昭和42年、作詞:万里村ゆき子、作曲:藤まさはる。カーナビーツは洋楽の日本語カバー物が有名で、デビューシングル「好きさ好きさ好きさ」は英国ゾンビーズの”I love you”のカバーでヒットしました。

 本作品は日本オリジナルです。作曲の「藤まさはる」とは、実はフィリップスレコードの洋楽やGSを担当の本城和治ディレクターなんです(1)。本城さんは洋楽っぽいGSを出したいと考えていたのですが、職業作曲家に書いてもらうと歌謡曲風になってしまう、そこで自分自身でイメージ通りの洋楽を作ったわけです(2)。でき上ったサウンドは当時英国で流行したマージービートなんです。ドラムとギターとベースのシンプルな編成でストリングスやブラス無し、コーラスの差し込み方なんかそのまま60年代ブリティッシュ・ビート。こんなの1967年に日本人が作ってたのかと感心します(しみじみ)。後年、欧米でJapanese garage rockと高評価されたのも頷けます(3)。

 歌詞はとりとめもないラブソングで、今聴くと何じゃこりゃ?ですが、この時期のGSに多かった少女漫画的(当時のですよ)な、王子様、メルヘン的イメージが現実離れしている点がむしろ味わい深いです。

 ジャケット写真は斜めアングルの不自然な笑顔そして洋風チェアと、背中がかゆくなるほどアイドルイメージです。商業的に売るためにはこういうのも必要なわけです。

 サウンドはブリティッシュ・ビート洋楽、歌詞と見た目はアホらしいくらいアイドル風、というアンバランスを楽しむのがGSの魅力のひとつです。

 日本のロックはこういうところから始まり、やがて完全自作で独自のポピュラー音楽スタイルを生み出すようになったのです。皆様日本のロック黎明期の名作、ぜひ一度お聴きください。 (院長)

 

(1)本城和治さんはフィリップスでもともとジャズや洋楽輸入部門を担当していました。洋楽にかんする豊富な経験を買われ、GSのプロデュースに携わります。GS王国フィリップスと言われるくらい数々のグループを送り出した功労者です。スパイダース、テンプターズ、ジャガーズ、パープル・シャドウズ、リンド&リンダースetc。

(2)日本のR&B名作「グッドナイトベイビー」もポリドールレコード社員でR&B好きの松村孝司さんがペンネームで書いた作品でしたね。そういえばあの筒美京平先生も元はポリドールのディレクターで入社し、社員の時から作曲されていたんですよね。

(3)意外にもGSマニアが海外に多くいるらしいです。マイナーGSの音源CDは輸入盤でしか入手できないことが度々です。曲名はすべてローマ字表記で新鮮です。例”KOI O SHIYOUYO JENNY”など。

 

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2020年

9月

02日

日本のロックの萌芽(1) ゴールデンカップス

壁の飾りをかえました。

ゴールデン・カップス「銀色のグラス」昭和42年 作詞:橋本淳、作曲・編曲:鈴木邦彦

 前回のゴールデンハーフは全員がハーフという設定のアイドルグループでした。この時代はハーフとか外国人の価値が高かったので、そういう設定が受けたのです。GSでゴールデンカップス(略称カップス)もメンバー全員ハーフという設定でした(1)。

 カップスは元々横浜で外国人クラブなどを拠点に演奏し、ロックやR&Bを志向していました。生まれたときからJ-POPがあった世代には想像もできないでしょうが、当時ロックの人(演者もファンも)の間では日本語はロックに合わない、日本語ではロックを表現できないと本気で信じられていました。それくらい洋楽信奉が厚く、彼らもそうであったようです。

 さてこの曲はデビューから2枚目のシングルです。特筆すべきはルイズルイス加部(写真向かって右から2人目)のベースです。ものすごい迫力のベースラインです。間奏でギターとの壮絶バトルは聴きどころです。当時のGSは作詞・作曲の先生が書き、一般受けするために歌謡曲風に作られていました(2)。彼らは、レコード会社から言われた歌謡曲を演奏することが相当イヤだったようで、その不満を演奏にぶつけているように聞こえます(3)。洋楽が好きで洋楽に憧れたカップスは、職業作曲家が作った歌謡曲を、見事な日本語のロックに昇華させました。

 この曲は昭和42年11月発売です。1967年に既にこのサウンドを出すバンドがいたことが大変価値があると思います。日本のロックはGSから始まりました、それも商業アイドル系GSでないところから芽が出ていたのだと言えましょう。

 日本のロックの萌芽であるこの曲、必聴です。ぜひイヤホンでなくスピーカーでお聴きいただきたいと思います。 (院長)

 

(1)本当のハーフはルイズルイス加部だけで、日系米国人のケネス伊東と中国人のエディ藩を除いて残りは純日本人だったそうです。

(2)カップスの代表曲といえば「長い髪の少女」ということになっていますが、これは彼らの本領である洋楽ロックとはかけ離れた歌謡曲スタイルであり、本人達はだいぶ嫌だったそうです。院長も「長い髪~」はイケてない曲だと思います。商業音楽なので売れるためには仕方ないんですけどね。

(2)ルイズルイス加部 著「気ままに生きる」より、「よくこの曲のベースラインがすごいと言われたけど、なんでそうなったのかと言うと頭のコード進行が歌謡曲っぽくて、ちょっとイラついたんだと思う。だからガシャーンって遊んで弾いちゃったのかも。」と本人が述懐されています。

(追記)元メンバーでドラムス担当だったマモル・マヌーさん(写真最も左)が2020.9.1に心筋梗塞でお亡くなりになったことが9.8に報じられました。日本のロックを作った音楽家のご冥福をお祈り申し上げます。

 

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2020年

8月

19日

ゴールデン・ハーフの太陽の彼方

「ゴールデン・ハーフの太陽の彼方」 昭和47年

作曲:Lee Hazlewood 日本語作詞:タカオカンベ

過去ブログをみると7-8月は夏のレコードを飾っていました。今年はコロナ騒動で余裕がないままお盆が過ぎてしまいました。これではさびしいと思い、遅くなりましたが夏の曲を飾っております。

ご存知「乗ってけ 乗ってけ 乗ってけ サーフィン」の曲です。原曲は米国のサーフィンバンド アストロノーツが1963年に出したエレキインストの”Movin'”という曲です(1)。日本語の歌詞をつけてヒットしたのをゴールデンハーフがカバーしました。エレキサーフィンなのでテケテケやリバーブ音が豊富で夏らしいですね。

ゴールデンハーフはメンバーの全員がハーフ(という設定)のアイドルグループでした。ドリフの8時だよ全員集合!などによく出ていました。

向かって左から、マリア(Gメン75の速水涼子刑事で出演、時代劇でも活躍)、エバ(元祖バラドル、天然ボケのコントやギャグが楽しかったですね)、ユミ(小林ユミさん、実は両親とも日本人だったことをのちにカミングアウト)、ルナ(解散後セクシー女優を経て引退)

残暑厳しいですが皆様お身体にお気をつけください。 (院長)

 

(1)インスト曲=インストゥルメンタル曲=歌のない楽器だけの曲。原曲の ”Movin'” は単調な繰り返し構成なので途中で退屈します。大瀧詠一さんが「お経を聴いている境地になる」とCDのライナーノーツに記しています。

 

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2020年

8月

05日

宝塚宙組 フライング・サパ 梅田芸術劇場

2回連続宝塚で恐縮です。

宝塚大劇場 花組「はいからさん」せっかく開演したものの、再び休演となり大変残念です。ジェンヌさんスタッフさんの無事を願っています。

 

宙組 「フライング・サパ」 梅田芸術劇場2020.8.1~8.11

まだ観ていません。院長の敬愛するトップスター 真風涼帆さんが出演されます。

この公演は作・演出の上田久美子先生の意欲作と聞いています。

従来の宝塚風ではない作品であるという噂。近未来SFのストーリー、歌や踊りは少なく通常のセリフ演技が大半、ということです。観た人の話ではトップ真風さんのカッコよさが際立っていて、それに加え劇の方も深い内容でたいへん面白いということです。

院長も観劇できるのを楽しみにしています。院長の好きな名歌手 瀬戸花まりさんと留依蒔世さん、そして渋い男役 若翔りつさんの活躍も期待大です。

 

厳しい暑さですが、皆様くれぐれもご自愛ください。  (院長)

 

2020.8.10追記:観てきました。ストーリーは重いです。確かに歌がほとんどなくお芝居のみ、それゆえに宙組皆さん演技力の充実を感じました。真風さん、芹香さん、まどかさん、夢白ちゃんも演技を練りに練ったという印象です。綾瀬あきなさんと春瀬さんのダンスがキレキレで見ものですよ。瀬戸花さんのアナウンサー役は語り部の役割もあり、説明の長台詞を淀みなく聞かせてくれます、これはスゴイ。フィナーレで瀬戸花さんならではの美声歌唱もありますよ。紫藤りゅうさんはノーブルなお姿、星組から異動したばかりですが宙組の景色に溶け込んでいます。若翔りつさんはますます男役を極めています。そして若手の注目は2年目山吹ひばりちゃんが大活躍です、無表情なアンドロイド的な女性の役と、そして絶望的不幸からある人に拾われ一瞬の幸せを過ごすヒロインの幼少時役の2役演じ切っています。今後が楽しみです。

 

休演続きでなかなか観劇できないなか、院内にポスターを飾ってモチベーションを維持しています(写真右)。

 

関連記事:宙組、 宝塚歌劇カテゴリ

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2020年

7月

22日

宝塚再開 花組 はいからさんが通る

2020年3月から休演していた宝塚歌劇が戻ってきました。

花組「はいからさんが通る」7/17-9/5 宝塚大劇場 (写真は院内の飾りです)

 花組新トップスター柚香光(ゆずかれい)さんの大劇場お披露目公演です。

 柚香さん(95期)は男役トップの貫禄が出てきました。娘トップの華さん、おてんば役の紅緒らしい勢いを感じます。フィナーレのデュエットダンスは渾身のリフトが見せ場です。本当に美しいトップコンビであります!

 院長の好きな、美声の和海しょうさん(94期)、今回歌の場面は少ないものの、芝居終盤では楽しいアドリブ?を披露してくださり、盛り上がります。トップさんの1期上、頼れる上級生の風格です。

 今回公演では若手ジェンヌさんが活躍します。97期永久輝 せあさん(役名:高屋敷)、98期飛龍つかささん(牛五郎)、100期の華優希さん(紅緒)、聖乃あすかさん(蘭丸)、音くり寿さん(環)、前回2017年から入れ替わりがあり新しい花組を感じます。

 また下級生では105期生たちが目を引きます。伶愛輝みらクンがコサック兵役で立ち廻り、堂々としたスター性があります。美空真瑠クンも表情豊かな芝居がいいです。湖華詩ちゃんは華やかな顔立ちと雰囲気で洋装が大変映えますね、お姫様のようです。みんな将来が楽しみです。

 さて、感染予防策のため普段と異なることが多いです。建物入場時に体温マスクなどのチェック。一定間隔をあけて並ぶ。座席は1つおき(舞台が見えやすい)。音楽はオーケストラ生演奏でなく録音(生演奏がないと盛り上がりに欠けるというか、何となく寂しいですね)。

 そして、観劇に際して注意が必要な点をまとめました。

(1)オペラグラスの貸出しが中止されています。売店での購入も困難(以下(2)を参照)。絶対にお忘れなく!

(2)グッズ販売店(キャトルレーヴ)は入場整理券が必要、朝から並ぶ方もいるので当日入店は困難です。グッズ購入は平日空いている時間帯の梅田店が現実的でしょう。

 

皆様、久しぶりの宝塚歌劇、機会がございましたらぜひご観劇ください。 (院長)

 

(訂正) 劇場内の飲食店は一部を除いて利用できます(7/26現在)。先日の記事で飲食店が閉まっていると記しましたが誤りです、お詫びして訂正いたします。

 

関連記事:花組はいからさん休演中2020.4.8、 宝塚歌劇カテゴリ

 

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2020年

7月

08日

筒美先生の世界(3) 傷つく世代

壁の飾りをかえました。

南沙織「傷つく世代」昭和48年 作曲 筒美京平、作詞 有馬三恵子

筒美先生のスゴイところは洋楽の流行をいち早く取り入れ、それでいてオリジナル筒美サウンドに仕上げてしまうという職人技なんですよね。

なのでどこかで聞いたようなフレーズが隠されているのです。

さてこの曲は、出だしがエリック・クラプトン「いとしのレイラ」です(1)。当時この「傷つく世代」を耳にしたロックファンはニヤリとしたことでしょう。

テーマフレーズのギターを弾くのは矢島賢さん、自身が弾いたとインタビューで答えておられます(2)。そして曲全体をグイグイ引っ張るベースもお聴きください!おそらく武部秀明さんではないかと私は思います(3)。

やがてブラスとストリングスが参入し、ギター&ベース&ドラムスと激しく絡み合いながらノリノリになるのです!そして高揚感を保ったままエンディングまで走り抜ける。

南沙織さんの歌唱も素晴らしい、アイドルとは思えない細やかな表現力なのです。

実に贅沢なサウンド構成、筒美先生の世界をぜひ一度ご堪能ください! (院長)

 

(1)ネットで調べてみましたらエルトンジョンの「罪人にあわれみを」の方が似ているそうです。しかし“ミソラドラソラ”はリズム&ブルースでは普遍的フレーズなので、どの曲から取ってきた、とは言えないでしょうとのことです。(大人のMusic Calendar 2019年5月1日より)

(2)Guitar magazine 2013年11月号

(3)寺川正興さんのようにも聞こえますが、ベースラインの起伏がやや少ないことと、昭和43年頃筒美先生作曲の録音に多数参加していたことから武部秀明さんと考えられます。

 

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2020年

6月

24日

梅雨のノスタルジー 悲しき雨音

壁の飾りをかえました。

カスケーズ「悲しき雨音」"Rhythm of the rain" 1962年

皆様いかがお過ごしでしょうか。少しずつ街の活気が戻ってきましたね。

例年、6月7月には雨に関連するレコードを飾って皆様をお迎えしております(1)。

おそらくこの写真を見て曲名もグループ名もピンとこない方が多いと思います。

しかし曲自体はほとんどの人がどこかで聴いたことがあるはずです。

院長は小学生の頃街角でこの曲をよく耳にしたのを覚えています。電気屋さんのラジカセ、スーパーや百貨店の売り場、ボウリング場、ちり紙交換車の放送・・・歌入りもあれば演奏だけのも。

大学生になりオールディーズを集めていた時に曲の名を知りました。

イントロのオルゴールのような音色(2)が雨のリズムに聞こえるのです。優しいメロディとコーラスがノスタルジックな郷愁を感じさせます。そんなところが日本人にも受けしたのでしょうか。大ヒットしたそうです。雨がしとしと降ってくるとこの曲が自然に出てきます。ぜひ皆様も梅雨のひとときにこの名曲をお楽しみください。

曲名は「悲しき雨音」、歌はカスケーズ、ですよ。  (院長)

 

(1) 2016年欧陽菲菲「雨のエアポート」、2017年欧陽菲菲「雨の御堂筋」、2019年八代亜紀「雨の慕情」和田アキ子「どしゃぶりの雨のなかで」

(2) この音はチェレスタという鍵盤楽器だそうです。

(追記)レコードジャケットのイラストですが、漫画家の永島慎二さん(代表作「漫画家残酷物語」)の絵に見えます。副業でイラスト仕事もされていたのか?ネットで調べても詳細不明。ご存知の方いたら教えてください!

 

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2020年

6月

10日

悲しき願い Don't let me be misunderstood

「悲しき願い」1977年サンタ・エスメラルダ、1965年アニマルズ、1964年ニーナ・シモン、原題"Don't let me be misunderstood "(1)

壁の飾りをかえました。

中原理恵さんの「東京ららばい」の元歌はこれですな。

筒美京平先生本人がサンタ・エスメラルダみたいな曲を作りたかった、とおっしゃっていたそうです。これは作詞の松本隆さんへのインタビューで語られています。

サンタエスメラルダ版はラテンのリズムにのせたディスコサウンドで、演奏も歌も情熱的ですよ。「東京ららばい」にはこの感じがよく出ていますね。

サンタエスメラルダの元が英国のブルースロックグループ、ジ・アニマルズです。エリック・バードンの魂の叫び歌唱(2)がハモンドオルガンと相まって胸を打ちます。そしてさらに大もとのオリジナルが1964年ニーナ・シモンが歌ったブルーズです。

元の歌をたどるのも歌謡曲鑑賞の楽しみです。 (院長)

 

(1)この英文、使役動詞letのS+V+O+C構文で、Cの部分が受動態なのでbe+過去分詞かつ不規則変化という、受験英語的には結構ややこしい文章です。歌詞の1行目 Baby, do you understand me now ? に呼応してるんでしょうね。歌詞にはその他intention, regret, be bound to~などセンター試験に出そうな単語・熟語が入ってます。まあそんな無粋なことを考えるとこの歌の良さは味わえないわけですが。

(2)エリック・バードンの歌をぜひご鑑賞ください。

 

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2020年

5月

27日

筒美京平先生の世界(2) 東京ららばい

壁の飾りをかえました

「東京ららばい」中原理恵 昭和53年、作詞:松本隆、作曲:筒美京平

昭和53年というのは演歌が不振、ニューミュージックが売れて商業化の傾向となり、80年代アイドル全盛期の前夜という時代です。何となく特徴のない、分類しづらい年と言えます。そんな混沌とした時期は、皆が新しいサウンドを模索して面白い音楽が産まれてくるように思います。この年は、女性では渡辺真知子、庄野真代、中原理恵(1)、サーカスが新しいサウンドとして流行しました。みな同年第29回NHK紅白に出場しました。

さてどんな時代背景であっても、そのとき最先端で流行している洋楽をいち早く取り入れ、新しいスタイルのヒット曲を作り上げる名人が筒美京平先生なのです。この曲では当時流行していたディスコ音楽のイントロとラテンな雰囲気を取り入れ、しかも日本的旋律も交ぜつつ、皆の耳に残るキャッチーなメロディーを編み出しました。筒美先生はこの年の紅白に岩崎宏美「シンデレラ・ハネムーン」、庄野真代「飛んでイスタンブール」、中原理恵「東京ららばい」、太田裕美「ドール」、野口五郎「グッド・ラック」と5曲も送り込んでいるのです(2)。すごいですね!皆様、歌謡曲をお聴きの際には作曲者名のチェックもしていただけるとより楽しめます。   (院長)

 

(1)この当時の中原理恵さん、歌の内容も見た目も大人っぽいですが、実は20歳だったそうです。後に中原さんは欽ちゃんの番組にレギュラー出演しコントを演じましたね。

(2)岩崎宏美「シンデレラ・ハネムーン」=ディスコ・サウンド、庄野真代「飛んでイスタンブール」=エキゾチック中東風、中原理恵「東京ららばい」=ラテン系、太田裕美「ドール」=70年代アイドル直球ど真ん中、野口五郎「グッド・ラック」=AOR風、と多彩なのです。

 

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2020年

5月

13日

筒美京平先生の世界(1) にがい涙 スリーディグリーズ

壁の飾りをかえました。

「にがい涙」スリー・ディグリーズ 作詞:安井かずみ、作曲:筒美京平

東京スカパラダイスオーケストラの故クリーンヘッド・ギムラさんが熱唱されていました。初期スカパラのカバー曲は選曲センスが抜群ですね。その元の曲がこれです。

スリー・ディグリーズ(1)はフィリー・ソウル(2)を代表する3人組です。70年代ディスコ・サウンドと言えば思い出されるのではないでしょうか。ディスコ大流行の時代に純日本製ディスコ曲を作ろう!という企画で制作されたのが本曲です。

作曲は筒美センセ!もう先生は何でも書いちゃうスゴイ職人的作曲家なんです(3)。歌謡曲ファンの間では神様です(きっと業界の方々の間でももっと神でしょう!)。ディスコが流行っていた当時は浅野ゆう子さん、岩崎宏美さん、桜田淳子さんなどにも和製ディスコをバンバン提供しました。

そして作詞は、新しい女性像を描く詩人、安井かずみさんです。本曲では演歌的とは違うスタンスから女性の情念を表現します。

スリーディグリーズがこの日本語歌詞の意味を深く理解していたとは思えませんが、それでも言葉関係なく深く心に残る歌唱ですね、歌もダンスもソウルフル。

皆様ぜひいちど動画などでご覧ください。そして、ぜひ東京スカパラダイスオーケストラの「にがい涙」もお聴きください。 (院長)

 

(1)「ソウル・トレインのテーマ」「天使のささやき」を歌った人気グループです

(2)フィラデルフィア・ソウルの略

(3)ブルーライトヨコハマからサザエさんも…全作曲数2700曲以上、ヒットチャート登場500曲以上…キリがないほど偉大な作曲家です。

 

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