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2020年

9月

16日

日本のロックの萌芽(2) カーナビーツ

 壁の飾りをかえました。またまた日本のロックが芽を出したころのGSです。

カーナビーツ「恋をしようよジェニー」昭和42年、作詞:万里村ゆき子、作曲:藤まさはる。カーナビーツは洋楽の日本語カバー物が有名で、デビューシングル「好きさ好きさ好きさ」は英国ゾンビーズの”I love you”のカバーでヒットしました。

 本作品は日本オリジナルです。作曲の「藤まさはる」とは、実はフィリップスレコードの洋楽やGSを担当の本城和治ディレクターなんです(1)。本城さんは洋楽っぽいGSを出したいと考えていたのですが、職業作曲家に書いてもらうと歌謡曲風になってしまう、そこで自分自身でイメージ通りの洋楽を作ったわけです(2)。でき上ったサウンドは当時英国で流行したマージービートなんです。ドラムとギターとベースのシンプルな編成でストリングスやブラス無し、コーラスの差し込み方なんかそのまま60年代ブリティッシュ・ビート。こんなの1967年に日本人が作ってたのかと感心します(しみじみ)。後年、欧米でJapanese garage rockと高評価されたのも頷けます(3)。

 歌詞はとりとめもないラブソングで、今聴くと何じゃこりゃ?ですが、この時期のGSに多かった少女漫画的(当時のですよ)な、王子様、メルヘン的イメージが現実離れしている点がむしろ味わい深いです。

 ジャケット写真は斜めアングルの不自然な笑顔そして洋風チェアと、背中がかゆくなるほどアイドルイメージです。商業的に売るためにはこういうのも必要なわけです。

 サウンドはブリティッシュ・ビート洋楽、歌詞と見た目はアホらしいくらいアイドル風、というアンバランスを楽しむのがGSの魅力のひとつです。

 日本のロックはこういうところから始まり、やがて完全自作で独自のポピュラー音楽スタイルを生み出すようになったのです。皆様日本のロック黎明期の名作、ぜひ一度お聴きください。 (院長)

 

(1)本城和治さんはフィリップスでもともとジャズや洋楽輸入部門を担当していました。洋楽にかんする豊富な経験を買われ、GSのプロデュースに携わります。GS王国フィリップスと言われるくらい数々のグループを送り出した功労者です。スパイダース、テンプターズ、ジャガーズ、パープル・シャドウズ、リンド&リンダースetc。

(2)日本のR&B名作「グッドナイトベイビー」もポリドールレコード社員でR&B好きの松村孝司さんがペンネームで書いた作品でしたね。そういえばあの筒美京平先生も元はポリドールのディレクターで入社し、社員の時から作曲されていたんですよね。

(3)意外にもGSマニアが海外に多くいるらしいです。マイナーGSの音源CDは輸入盤でしか入手できないことが度々です。曲名はすべてローマ字表記で新鮮です。例”KOI O SHIYOUYO JENNY”など。

 

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2020年

9月

02日

日本のロックの萌芽(1) ゴールデンカップス

壁の飾りをかえました。

ゴールデン・カップス「銀色のグラス」昭和42年 作詞:橋本淳、作曲・編曲:鈴木邦彦

 前回のゴールデンハーフは全員がハーフという設定のアイドルグループでした。この時代はハーフとか外国人の価値が高かったので、そういう設定が受けたのです。GSでゴールデンカップス(略称カップス)もメンバー全員ハーフという設定でした(1)。

 カップスは元々横浜で外国人クラブなどを拠点に演奏し、ロックやR&Bを志向していました。生まれたときからJ-POPがあった世代には想像もできないでしょうが、当時ロックの人(演者もファンも)の間では日本語はロックに合わない、日本語ではロックを表現できないと本気で信じられていました。それくらい洋楽信奉が厚く、彼らもそうであったようです。

 さてこの曲はデビューから2枚目のシングルです。特筆すべきはルイズルイス加部(写真向かって右から2人目)のベースです。ものすごい迫力のベースラインです。間奏でギターとの壮絶バトルは聴きどころです。当時のGSは作詞・作曲の先生が書き、一般受けするために歌謡曲風に作られていました(2)。彼らは、レコード会社から言われた歌謡曲を演奏することが相当イヤだったようで、その不満を演奏にぶつけているように聞こえます(3)。洋楽が好きで洋楽に憧れたカップスは、職業作曲家が作った歌謡曲を、見事な日本語のロックに昇華させました。

 この曲は昭和42年11月発売です。1967年に既にこのサウンドを出すバンドがいたことが大変価値があると思います。日本のロックはGSから始まりました、それも商業アイドル系GSでないところから芽が出ていたのだと言えましょう。

 日本のロックの萌芽であるこの曲、必聴です。ぜひイヤホンでなくスピーカーでお聴きいただきたいと思います。 (院長)

 

(1)本当のハーフはルイズルイス加部だけで、日系米国人のケネス伊東と中国人のエディ藩を除いて残りは純日本人だったそうです。

(2)カップスの代表曲といえば「長い髪の少女」ということになっていますが、これは彼らの本領である洋楽ロックとはかけ離れた歌謡曲スタイルであり、本人達はだいぶ嫌だったそうです。院長も「長い髪~」はイケてない曲だと思います。商業音楽なので売れるためには仕方ないんですけどね。

(2)ルイズルイス加部 著「気ままに生きる」より、「よくこの曲のベースラインがすごいと言われたけど、なんでそうなったのかと言うと頭のコード進行が歌謡曲っぽくて、ちょっとイラついたんだと思う。だからガシャーンって遊んで弾いちゃったのかも。」と本人が述懐されています。

(追記)元メンバーでドラムス担当だったマモル・マヌーさん(写真最も左)が2020.9.1に心筋梗塞でお亡くなりになったことが9.8に報じられました。日本のロックを作った音楽家のご冥福をお祈り申し上げます。

 

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2020年

8月

19日

ゴールデン・ハーフの太陽の彼方

「ゴールデン・ハーフの太陽の彼方」 昭和47年

作曲:Lee Hazlewood 日本語作詞:タカオカンベ

過去ブログをみると7-8月は夏のレコードを飾っていました。今年はコロナ騒動で余裕がないままお盆が過ぎてしまいました。これではさびしいと思い、遅くなりましたが夏の曲を飾っております。

ご存知「乗ってけ 乗ってけ 乗ってけ サーフィン」の曲です。原曲は米国のサーフィンバンド アストロノーツが1963年に出したエレキインストの”Movin'”という曲です(1)。日本語の歌詞をつけてヒットしたのをゴールデンハーフがカバーしました。エレキサーフィンなのでテケテケやリバーブ音が豊富で夏らしいですね。

ゴールデンハーフはメンバーの全員がハーフ(という設定)のアイドルグループでした。ドリフの8時だよ全員集合!などによく出ていました。

向かって左から、マリア(Gメン75の速水涼子刑事で出演、時代劇でも活躍)、エバ(元祖バラドル、天然ボケのコントやギャグが楽しかったですね)、ユミ(小林ユミさん、実は両親とも日本人だったことをのちにカミングアウト)、ルナ(解散後セクシー女優を経て引退)

残暑厳しいですが皆様お身体にお気をつけください。 (院長)

 

(1)インスト曲=インストゥルメンタル曲=歌のない楽器だけの曲。原曲の ”Movin'” は単調な繰り返し構成なので途中で退屈します。大瀧詠一さんが「お経を聴いている境地になる」とCDのライナーノーツに記しています。

 

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2020年

8月

05日

宝塚宙組 フライング・サパ 梅田芸術劇場

2回連続宝塚で恐縮です。

宝塚大劇場 花組「はいからさん」せっかく開演したものの、再び休演となり大変残念です。ジェンヌさんスタッフさんの無事を願っています。

 

宙組 「フライング・サパ」 梅田芸術劇場2020.8.1~8.11

まだ観ていません。院長の敬愛するトップスター 真風涼帆さんが出演されます。

この公演は作・演出の上田久美子先生の意欲作と聞いています。

従来の宝塚風ではない作品であるという噂。近未来SFのストーリー、歌や踊りは少なく通常のセリフ演技が大半、ということです。観た人の話ではトップ真風さんのカッコよさが際立っていて、それに加え劇の方も深い内容でたいへん面白いということです。

院長も観劇できるのを楽しみにしています。院長の好きな名歌手 瀬戸花まりさんと留依蒔世さん、そして渋い男役 若翔りつさんの活躍も期待大です。

 

厳しい暑さですが、皆様くれぐれもご自愛ください。  (院長)

 

2020.8.10追記:観てきました。ストーリーは重いです。確かに歌がほとんどなくお芝居のみ、それゆえに宙組皆さん演技力の充実を感じました。真風さん、芹香さん、まどかさん、夢白ちゃんも演技を練りに練ったという印象です。綾瀬あきなさんと春瀬さんのダンスがキレキレで見ものですよ。瀬戸花さんのアナウンサー役は語り部の役割もあり、説明の長台詞を淀みなく聞かせてくれます、これはスゴイ。フィナーレで瀬戸花さんならではの美声歌唱もありますよ。紫藤りゅうさんはノーブルなお姿、星組から異動したばかりですが宙組の景色に溶け込んでいます。若翔りつさんはますます男役を極めています。そして若手の注目は2年目山吹ひばりちゃんが大活躍です、無表情なアンドロイド的な女性の役と、そして絶望的不幸からある人に拾われ一瞬の幸せを過ごすヒロインの幼少時役の2役演じ切っています。今後が楽しみです。

 

休演続きでなかなか観劇できないなか、院内にポスターを飾ってモチベーションを維持しています(写真右)。

 

関連記事:宙組、 宝塚歌劇カテゴリ

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2020年

7月

22日

宝塚再開 花組 はいからさんが通る

2020年3月から休演していた宝塚歌劇が戻ってきました。

花組「はいからさんが通る」7/17-9/5 宝塚大劇場 (写真は院内の飾りです)

 花組新トップスター柚香光(ゆずかれい)さんの大劇場お披露目公演です。

 柚香さん(95期)は男役トップの貫禄が出てきました。娘トップの華さん、おてんば役の紅緒らしい勢いを感じます。フィナーレのデュエットダンスは渾身のリフトが見せ場です。本当に美しいトップコンビであります!

 院長の好きな、美声の和海しょうさん(94期)、今回歌の場面は少ないものの、芝居終盤では楽しいアドリブ?を披露してくださり、盛り上がります。トップさんの1期上、頼れる上級生の風格です。

 今回公演では若手ジェンヌさんが活躍します。97期永久輝 せあさん(役名:高屋敷)、98期飛龍つかささん(牛五郎)、100期の華優希さん(紅緒)、聖乃あすかさん(蘭丸)、音くり寿さん(環)、前回2017年から入れ替わりがあり新しい花組を感じます。

 また下級生では105期生たちが目を引きます。伶愛輝みらクンがコサック兵役で立ち廻り、堂々としたスター性があります。美空真瑠クンも表情豊かな芝居がいいです。湖華詩ちゃんは華やかな顔立ちと雰囲気で洋装が大変映えますね、お姫様のようです。みんな将来が楽しみです。

 さて、感染予防策のため普段と異なることが多いです。建物入場時に体温マスクなどのチェック。一定間隔をあけて並ぶ。座席は1つおき(舞台が見えやすい)。音楽はオーケストラ生演奏でなく録音(生演奏がないと盛り上がりに欠けるというか、何となく寂しいですね)。

 そして、観劇に際して注意が必要な点をまとめました。

(1)オペラグラスの貸出しが中止されています。売店での購入も困難(以下(2)を参照)。絶対にお忘れなく!

(2)グッズ販売店(キャトルレーヴ)は入場整理券が必要、朝から並ぶ方もいるので当日入店は困難です。グッズ購入は平日空いている時間帯の梅田店が現実的でしょう。

 

皆様、久しぶりの宝塚歌劇、機会がございましたらぜひご観劇ください。 (院長)

 

(訂正) 劇場内の飲食店は一部を除いて利用できます(7/26現在)。先日の記事で飲食店が閉まっていると記しましたが誤りです、お詫びして訂正いたします。

 

関連記事:花組はいからさん休演中2020.4.8、 宝塚歌劇カテゴリ

 

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2020年

7月

08日

筒美先生の世界(2) 傷つく世代

壁の飾りをかえました。

南沙織「傷つく世代」昭和48年 作曲 筒美京平、作詞 有馬三恵子

筒美先生のスゴイところは洋楽の流行をいち早く取り入れ、それでいてオリジナル筒美サウンドに仕上げてしまうという職人技なんですよね。

なのでどこかで聞いたようなフレーズが隠されているのです。

さてこの曲は、出だしがエリック・クラプトン「いとしのレイラ」です(1)。当時この「傷つく世代」を耳にしたロックファンはニヤリとしたことでしょう。

テーマフレーズのギターを弾くのは矢島賢さん、自身が弾いたとインタビューで答えておられます(2)。そして曲全体をグイグイ引っ張るベースもお聴きください!おそらく武部秀明さんではないかと私は思います(3)。

やがてブラスとストリングスが参入し、ギター&ベース&ドラムスと激しく絡み合いながらノリノリになるのです!そして高揚感を保ったままエンディングまで走り抜ける。

南沙織さんの歌唱も素晴らしい、アイドルとは思えない細やかな表現力なのです。

実に贅沢なサウンド構成、筒美先生の世界をぜひ一度ご堪能ください! (院長)

 

(1)ネットで調べてみましたらエルトンジョンの「罪人にあわれみを」の方が似ているそうです。しかし“ミソラドラソラ”はリズム&ブルースでは普遍的フレーズなので、どの曲から取ってきた、とは言えないでしょうとのことです。(大人のMusic Calendar 2019年5月1日より)

(2)Guitar magazine 2013年11月号

(3)寺川正興さんのようにも聞こえますが、ベースラインの起伏がやや少ないことと、昭和43年頃筒美先生作曲の録音に多数参加していたことから武部秀明さんと考えられます。

 

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2020年

6月

24日

梅雨のノスタルジー 悲しき雨音

壁の飾りをかえました。

カスケーズ「悲しき雨音」"Rhythm of the rain" 1962年

皆様いかがお過ごしでしょうか。少しずつ街の活気が戻ってきましたね。

例年、6月7月には雨に関連するレコードを飾って皆様をお迎えしております(1)。

おそらくこの写真を見て曲名もグループ名もピンとこない方が多いと思います。

しかし曲自体はほとんどの人がどこかで聴いたことがあるはずです。

院長は小学生の頃街角でこの曲をよく耳にしたのを覚えています。電気屋さんのラジカセ、スーパーや百貨店の売り場、ボウリング場、ちり紙交換車の放送・・・歌入りもあれば演奏だけのも。

大学生になりオールディーズを集めていた時に曲の名を知りました。

イントロのオルゴールのような音色(2)が雨のリズムに聞こえるのです。優しいメロディとコーラスがノスタルジックな郷愁を感じさせます。そんなところが日本人にも受けしたのでしょうか。大ヒットしたそうです。雨がしとしと降ってくるとこの曲が自然に出てきます。ぜひ皆様も梅雨のひとときにこの名曲をお楽しみください。

曲名は「悲しき雨音」、歌はカスケーズ、ですよ。  (院長)

 

(1) 2016年欧陽菲菲「雨のエアポート」、2017年欧陽菲菲「雨の御堂筋」、2019年八代亜紀「雨の慕情」和田アキ子「どしゃぶりの雨のなかで」

(2) この音はチェレスタという鍵盤楽器だそうです。

(追記)レコードジャケットのイラストですが、漫画家の永島慎二さん(代表作「漫画家残酷物語」)の絵に見えます。副業でイラスト仕事もされていたのか?ネットで調べても詳細不明。ご存知の方いたら教えてください!

 

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2020年

6月

10日

悲しき願い Don't let me be misunderstood

「悲しき願い」1977年サンタ・エスメラルダ、1965年アニマルズ、1964年ニーナ・シモン、原題"Don't let me be misunderstood "(1)

壁の飾りをかえました。

中原理恵さんの「東京ららばい」の元歌はこれですな。

筒美京平先生本人がサンタ・エスメラルダみたいな曲を作りたかった、とおっしゃっていたそうです。これは作詞の松本隆さんへのインタビューで語られています。

サンタエスメラルダ版はラテンのリズムにのせたディスコサウンドで、演奏も歌も情熱的ですよ。「東京ららばい」にはこの感じがよく出ていますね。

サンタエスメラルダの元が英国のブルースロックグループ、ジ・アニマルズです。エリック・バードンの魂の叫び歌唱(2)がハモンドオルガンと相まって胸を打ちます。そしてさらに大もとのオリジナルが1964年ニーナ・シモンが歌ったブルーズです。

元の歌をたどるのも歌謡曲鑑賞の楽しみです。 (院長)

 

(1)この英文、使役動詞letのS+V+O+C構文で、Cの部分が受動態なのでbe+過去分詞かつ不規則変化という、受験英語的には結構ややこしい文章です。歌詞の1行目 Baby, do you understand me now ? に呼応してるんでしょうね。歌詞にはその他intention, regret, be bound to~などセンター試験に出そうな単語・熟語が入ってます。まあそんな無粋なことを考えるとこの歌の良さは味わえないわけですが。

(2)エリック・バードンの歌をぜひご鑑賞ください。

 

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2020年

5月

27日

筒美京平先生の世界(1) 東京ららばい

壁の飾りをかえました

「東京ららばい」中原理恵 昭和53年、作詞:松本隆、作曲:筒美京平

昭和53年というのは演歌が不振、ニューミュージックが売れて商業化の傾向となり、80年代アイドル全盛期の前夜という時代です。何となく特徴のない、分類しづらい年と言えます。そんな混沌とした時期は、皆が新しいサウンドを模索して面白い音楽が産まれてくるように思います。この年は、女性では渡辺真知子、庄野真代、中原理恵(1)、サーカスが新しいサウンドとして流行しました。みな同年第29回NHK紅白に出場しました。

さてどんな時代背景であっても、そのとき最先端で流行している洋楽をいち早く取り入れ、新しいスタイルのヒット曲を作り上げる名人が筒美京平先生なのです。この曲では当時流行していたディスコ音楽のイントロとラテンな雰囲気を取り入れ、しかも日本的旋律も交ぜつつ、皆の耳に残るキャッチーなメロディーを編み出しました。筒美先生はこの年の紅白に岩崎宏美「シンデレラ・ハネムーン」、庄野真代「飛んでイスタンブール」、中原理恵「東京ららばい」、太田裕美「ドール」、野口五郎「グッド・ラック」と5曲も送り込んでいるのです(2)。すごいですね!皆様、歌謡曲をお聴きの際には作曲者名のチェックもしていただけるとより楽しめます。   (院長)

 

(1)この当時の中原理恵さん、歌の内容も見た目も大人っぽいですが、実は20歳だったそうです。後に中原さんは欽ちゃんの番組にレギュラー出演しコントを演じましたね。

(2)岩崎宏美「シンデレラ・ハネムーン」=ディスコ・サウンド、庄野真代「飛んでイスタンブール」=エキゾチック中東風、中原理恵「東京ららばい」=ラテン系、太田裕美「ドール」=70年代アイドル直球ど真ん中、野口五郎「グッド・ラック」=AOR風、と多彩なのです。

 

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2020年

5月

13日

にがい涙 スリーディグリーズ

壁の飾りをかえました。

「にがい涙」スリー・ディグリーズ 作詞:安井かずみ、作曲:筒美京平

東京スカパラダイスオーケストラの故クリーンヘッド・ギムラさんが熱唱されていました。初期スカパラのカバー曲は選曲センスが抜群ですね。その元の曲がこれです。

スリー・ディグリーズ(1)はフィリー・ソウル(2)を代表する3人組です。70年代ディスコ・サウンドと言えば思い出されるのではないでしょうか。ディスコ大流行の時代に純日本製ディスコ曲を作ろう!という企画で制作されたのが本曲です。

作曲は筒美センセ!もう先生は何でも書いちゃうスゴイ職人的作曲家なんです(3)。歌謡曲ファンの間では神様です(きっと業界の方々の間でももっと神でしょう!)。ディスコが流行っていた当時は浅野ゆう子さん、岩崎宏美さん、桜田淳子さんなどにも和製ディスコをバンバン提供しました。

そして作詞は、新しい女性像を描く詩人、安井かずみさんです。本曲では演歌的とは違うスタンスから女性の情念を表現します。

スリーディグリーズがこの日本語歌詞の意味を深く理解していたとは思えませんが、それでも言葉関係なく深く心に残る歌唱ですね、歌もダンスもソウルフル。

皆様ぜひいちど動画などでご覧ください。そして、ぜひ東京スカパラダイスオーケストラの「にがい涙」もお聴きください。 (院長)

 

(1)「ソウル・トレインのテーマ」「天使のささやき」を歌った人気グループです

(2)フィラデルフィア・ソウルの略

(3)ブルーライトヨコハマからサザエさんも…全作曲数2700曲以上、ヒットチャート登場500曲以上…キリがないほど偉大な作曲家です。

 

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2020年

4月

22日

ウーハンの女 東京スカパラダイスオーケストラ

ウーハンの女 東京スカパラダイスオーケストラ 1990年(平成2)

壁の飾りをかえました。珍しく平成時代、それも歌謡曲以外。

スカパラがインディーズ時代、梅田EST1のワルツ堂で購入しました。赤い方はメジャーデビューCDです。初期のスカパラは胡散臭さに満ちているのが魅力でした(1)CD5曲目に「ウーハンの女」が収録されています。中国風のメロディーにスカ(2)のリズムを合わせたノリの良い曲です。漢字で書くと「武漢の女」です。

そう、武漢はコロナで一躍有名になりました。

先日家で「ウーハンのコロナは終息しそうだね」なんて話をしていたら妻に「ウーハンて何?」と怪訝な顔をされました。ウーハンておかしい?院長は「武漢」の字をみるとつい心の中で「ウーハン」と音読してしまいます。というのも昭和時代に地理の授業で「ウーハン」と習って以来(3)身に染みついているんですよね。

地理では各国の重工業コンビナートが頻出で、武漢はけっこう重要なのです。

#ターイエ(大冶)鉄鉱石+ピンシャン(萍郷)石炭→ウーハン(武漢)鉄鋼コンビナート 

#アンシャン(鞍山)鉄鉱石+フーシュン(撫順)とフーシン(阜新)石炭→鞍山鉄鋼コンビナート・・・という具合に。漢字も覚えました(3)

TVでしきりに「ぶかん」と言っているのを聞くと違和感アリアリです。

人口1100万の武漢は76日の都市封鎖を経てコロナを乗り切ろうとしています。

1300万の東京そして大阪も兵庫も日本中の町が今なおウイルスに苦しんでいます。現場で戦っておられる医療者の皆様本当にお疲れ様です。営業自粛で苦しんでいる皆様お疲れ様です。一日も早くコロナウイルス感染症が終息するよう願っています。(院長)

 

(1)スカパラがインディーズ時代、観に行きました。神戸チキンジョージ。ものすごい熱気のライブでした。その次に見たときは有名になり神戸国際会館に昇級していました。スカパラと同じモッズスーツを作りたくて世田谷区「洋服の並木」まで行きました。懐かしい。

(2)スカはジャマイカから発祥したポピュラー音楽の種類。「スッチャスッチャ・・・」というリズムが特徴。

(3)現在も地理の授業では中国の地名をカタカナで教えているそうです。政治的配慮とか色んな事情があるみたい。ただし今は原則漢字無し(教えるのは任意)で全部カタカナ表記の教科書や地図帳は恐ろしく読みづらいです。

 

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2020年

4月

08日

宝塚休演中 花組 はいからさんが通る

壁の飾りをかえました。

宝塚休演中 花組「はいからさんが通る」

花組新トップ、柚香光(ゆずかれい)さんの宝塚大劇場お披露目公演!になるはずが、全ての宝塚歌劇が休演中(2020.4.8現在)。はいからさん、まだ通りません。

大和和紀さんの漫画のミュージカル化です。院長も昭和時代に原作をリアルタイムで読みましたね(1)。アニメも見てました(2)

2017年に日本青年館ホールと梅田芸術劇場シアタードラマシティで上演、柚香さんの伊集院少尉が大人気でした。この時は人気すぎて院長は観れずじまい、DVDで鑑賞しました。大劇場での再演をとても楽しみにしていました。

トップ柚香さんが伊集院少尉のイメージにぴったりですね。ワイルドで男気ある鬼島軍曹は同期の水美舞斗さんが演じます、これは前回から引き続きハマリ役です。

さらに、院長の大好きな、和海しょうさん、羽立光来さん、花組を代表する名歌手の活躍も観たかった。

まだ休演中で再開の見通しが立たないようですが、こればかりは仕方がございません。

阪急さん、全組後ろ倒しにしてでもいつか再開していただけますようよろしくお願いします。欲を言うと、専科の華形さん、雪組トップ望海さん、真彩さんの退団も延期して!

一日も早く感染症流行がおさまり、元の平和な毎日が戻りますように願っております。

皆様、感染予防につとめてください、くれぐれもご自愛ください。  (院長)

 

追記)4月9日、ほんまに退団日が延期になりました!うれしいです。ありがとうございます、阪急さん。(院長)

 

関連記事: 宝塚再開 花組 はいからさん、 宝塚カテゴリ全組

 

(1)週刊少女フレンド 昭和50‐52年連載、コミック全8巻何度も通読しましたわ。

(2)アニメは昭和53年6月~54年3月 土曜7時に放映されました。本放送の時期は院長塾通いでリアルタイムで見れなかったはず。夕方の再放送を何度も見ました。今でも歌を覚えています。

 

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2020年

3月

18日

春なのに

壁の飾りをかえました。

「春なのに」昭和58年 歌 柏原芳恵、作詞・作曲 中島みゆき 

いまやほぼ全ての日本人がこう思っているんじゃないでしょうか。三月といえば心躍る季節なのですが、今年は春なのにちっとも楽しくないですな。

さて表題曲は卒業式を舞台とした別れの曲です。テレビやラジオでよく流れていたのを覚えています。今聴きなおすと中島みゆきさんの詞が味わい深いですね。女子高生の心情吐露だけを以て、卒業式当日の光景、彼へのこれまでの思いとかかわり、映像と時間経過が映画のように浮かび上がってくるのです。男子の一言で色々察した女子高生が諦め忍ぶさまは、演歌のそれであります(1)。女子高生にしては大人すぎるようにも思えます。当時柏原さんは堀越高2年生(2)、歌詞の主人公とほぼ同年齢のアイドルが現にそこで歌い上げることにより、年齢不相応な演歌的情念がリアリティに結実せざるを得なくなるのです。

今上陛下が皇太子であられた頃、「好きな歌手は柏原芳恵さん、「春なのに」がいいですね」とお話になられたエピソードが有名です。

早く楽しい春が戻るといいですね。      (院長)

 

(1)後年マツコ・デラックスさんがこの曲を「演歌の世界」と評されています。

(2)この曲は制服姿でのTV出演が多かったようです。

 

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2020年

3月

04日

ジュリーの美学  ロイヤルストレートフラッシュ

壁の飾りをかえました。

沢田研二ベストアルバム「ロイヤルストレートフラッシュ」昭和54年

ロイヤルストレートフラッシュはポーカーで最高位の役です。70年代ジュリー最高のヒットが並びます。

ジュリーは小学生男子にとっても憧れのスターでしたよ。レコードは高くて買えないのでテレビの歌番組で見るのが楽しみでした。御覧くださいこのレコードジャケット。派手な衣装と気障がこれほど似合うスターはいません。

こんな男おらんやろ、というほどのキザっぷりがジュリーの美学ですね。現実離れが振り切ってるのがいいのです。帽子を飛ばしたり、ウィスキーを口から噴射したり、空中を飛んだり、ジュリーが何をやるのかみんな毎週ワクワクしました。アイドルでもない、大人向け歌謡でもない、独自のカッコよさがあるスター(1)

こういうキザはだんだん見かけなくなりました。時代がリアルと日常性を求めるようになったからでしょう。いまやキザなセリフを聞かせてくれるのは名探偵コナン君くらいです(2)

しばらくこういう感覚を忘れていましたところ、大人になって宝塚との邂逅がありました。ヅカ男役の美学もまたキザを追求するところがあります。何かジュリーの美学と相通ずるものがあるように思うのです(3)。旧友に再会したような不思議な気分であります。皆様、ぜひジュリーの美学をご堪能ください。  (院長)

 

(1)他方ドリフのコントで見せるお笑いのジュリーも面白くて楽しみでした。久しぶりに見たら大爆笑でした。

(2)昔のアニメはキザが多かった。ルパン三世、スペースコブラ、キャッツアイ、日常でこんな話し方しないって!

(3)LP収録曲B-5「あなたに今夜はワインをふりかけ」は、まさに2017年花組公演「Santé!!」で歌われました。


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2020年

2月

12日

宝塚星組 「眩耀の谷/ Ray」

壁の飾りをかえました。
宝塚 星組「眩耀(げんよう)の谷/Ray(レイ)」 2020/2/7-3/9 宝塚大劇場
新トップコンビ、礼真琴さんと舞空瞳さん宝塚大劇場お披露目公演です。 礼さんは歌唱とダンスの技術で大変な定評があります。前トップ紅さん、前々トップ北翔さんの時代からずっと星組を支えてきました。満を持してのトップスター就任です。「眩耀の谷」でソロ歌唱を多く聴かせてくれます。ヒロインの舞空さんは可愛くてダンスがうまい、礼さんとお似合いです。
さて新生星組はいぶし銀のスターさんも見逃せません。院長の大好きな愛月ひかるさん(愛称 愛ちゃん)。2番手おめでとうございます!元宙組から専科そして星組へと異動されました。この人には「愛ちゃんにしか出せない味」というのがあって、アクの強い役を演じたら随一です(1)。今回は超悪者の将軍の役を演じます。長身でキザな仕草が似合う、背中で男を表現できるジェンヌさんです。さらに、花組から組替えの綺城ひか理(あやきひかり)さんも輝いています!スラっと背が高く渋い顔だち。低く通る声の歌ウマさんです。真面目で冷静な人柄をうかがわせるストイックな演技をされます。新しい星組で注目のジェンヌさんですよ。
後半のショー”Ray”は新トップ礼さんの名からですね、光のショーとともに礼さんの歌を堪能できます。院長お気に入りは、2番手愛月さんをフィーチャーしたNYの場面、スーツに帽子でカッコイイですね。このシーン、愛月さんと綺城さんダンディ男役二人に美人娘役・有沙瞳ちゃんの並びが壮観です。
皆様、新しい星組の舞台をぜひご観劇ください。 (院長)

 

(1)愛月さん出演の公演はこちら→ WEST SIDE STORY黒い瞳

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2020年

1月

29日

受験数学の話 相加平均≧相乗平均

たまには勉強の話をしましょう。ちあきなおみの「X+Y」の文字を見ていると、高校数学の不等式「相加平均≧相乗平均」を思い出します。
こいつは時として物凄い威力を発揮します。条件さえ揃えば、この式を使うと面倒な計算を回避し瞬時に答えが出せることがあります(1)。うまく使いこなせれば必殺技になりうる、しかしそれに気付けるかどうかが難しい。「コーシー・シュワルツの不等式」も似た性格を持ちます(2)
医学・生物学と違い、学問としての数学は厳密で一貫した論理があって、じっくり考える楽しみと普遍の法則に気付く感動があります。しかし、受験数学となると学問だけでなくギャンブル的要素を帯びるのです。受験数学は時間内に点数をとることが目的の勝負とも言えます。捨て問を判断したり、部分点を拾ったりと、数学の本質と違うところで戦略が必要です。ひとたび計算地獄に陥れば疑心暗鬼に襲われます。「もしかしたらこの解法は間違いではないか?」自分を信じて計算を進めるか、撤退して解きなおすかギリギリの判断を迫られる、メンタル面の強さも必要です。日々計算と問題演習に明け暮れるのは、その恐れに打ち克ち己を信じられるようにならんがためです。また他科に比べ1問の配点が大きいのもギャンブル性を高めます(3)。英語やセンター試験で細かく点を集めても数学1題を落とすと全てがパー。数学1題の解答用紙はA4~B4のだだっ広い白紙、見た目からして配点が高そうです。受験生はたった一枚の答案用紙に人生を懸けています。その辺、バカラやポーカーで一枚のカードに賭けるギャンブラーや一枚のツモ牌に賭ける雀士に通ずるものがあります。白い解答用紙はさながら緑の羅紗です(4)試験場で、相加相乗やコーシー・シュワルツのような大技が使えることに気付きエレガントな解答を書けると、ロイヤルストレートフラッシュか大三元が来たかのような陶酔を感じるわけです。

これが大学で学ぶ学問数学との違いであり、そして受験数学の面白いところです。受験数学を経験した人以外にあの雰囲気を伝えるのは難しいかもしれません。

 

受験生の皆様、二次試験まであと少しです。頑張ってください。あなたの頭上に数学の神様が降りてきますように! (院長)

 

(1)東京大 昭和49年 文・理科第2問、同平成24年 文科第2問
(2)東京大 平成7年 文・理科第1問、大阪大 平成27年 文系第1問、理系第2問、

(3)制限150分で5-6題しか出ません。1題の配点は100点換算で17-20点、東大と京大は6問、阪大は5問でした。阪大は1問あたりの比率が多く、1つ間違えると他科目で取り返せない、1つ余分に解けると大きなアドバンテージ、とギャンブル性が高いです。
(4)カジノテーブルや雀卓は緑の羅紗の布が張られています。

 

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2020年

1月

15日

ちあきなおみのアイドル時代

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願い申し上げます。
壁の飾りをかえました。
ちあきなおみ「X+Y=LOVE」昭和45年 作詞:白鳥朝詠、作曲:鈴木淳
フィンガー5の電話を見ていたら、この曲を思い出しました。ジャケット写真の通りです。初期のちあきさんはデビューの「雨に濡れた慕情」はしっとりジャズ風でしたが、3枚目「四つのお願い」、4枚目「モア・モア・ラヴ」、5枚目本曲「X+Y」とお色気アイドル路線だったのです。同時代でいうと奥村チヨ、辺見マリ、山本リンダ系列です。

その後、昭和47年「喝采」、48年「夜間飛行」、49年「円舞曲」など渋い曲で本格派という位置づけになりました。しかしアイドル時代から相当な上手さです、というより元々とびぬけて上手い歌手がレコード会社の方針でアイドル系を歌わされたということですね。この曲なんて歌詞が他愛もないナンセンスで仕方ありませんが、歌声を聴いているだけでだけで耳がスピーカーから離れません。本物の歌唱力を持つちあきさんの歌はどんな楽曲でもすばらしいですね。ぜひ一度ちあきさんの歌をご鑑賞ください。 (院長)

 

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2019年

12月

25日

井上忠夫の世界 恋のダイヤル

壁の飾りをかえました。
フィンガー5「恋のダイヤル6700」昭和48年 作詞:阿久悠、作曲:井上忠夫
ブルーコメッツの井上大輔さん(本名 井上忠夫)は後に作曲家として大活躍します。
初期代表曲の一つがコレです(1)
曲構成は当時流行していたソウル風です。そして何より小学5-6年生のアキラ君と妙子ちゃんの高音のソウルフルな歌が印象的で、まさにジャクソン5のマイケル坊や(2)です。井上さんのアメリカンポップスとソウルR&Bに対する憧れが詰まった曲です。
歌詞の世界もアメリカンですよ。何せ、明日の卒業式で彼女に告白しよう、なんてこれはアメリカのプロム(2)のことですよ。そんなシャレたもん昭和の日本には存在しないからね。電話番号が入った歌というのも古くはグレンミラーのペンシルベニア6-5000から、R&Bならマーヴェレッツの「恋のビーチウッド4-5789」やウィルソン・ピケットの「634-5789」が思い浮かびますが、この曲はマーヴェレッツの歌を意識していそうですね(3)
当時はそんな音楽的背景なんか全く知らなかったけれど、子供たちはみんなフィンガー5が大好きでした。この曲とフィンガー5の歌からあふれる楽しそうで元気でアメリカンな魅力に引き付けられたんでしょうね。
井上さんはこの後80-90年代にもヒット曲を飛ばします。そして以前紹介したシャネルズ「ランナウェイ」につながるのです。 

 

インフルエンザが流行し始めています。皆様くれぐれもお身体にお気をつけください。

それでは良い新年をお迎えください。来年もよろしくお願い申し上げます。(院長)

 

(1)フィンガー5「学園天国」も井上さんの作曲です。
(2)後のマイケル・ジャクソンです。
(2)米国で高校生の卒業パーティーの習慣、”promenade”
(3)と思っていたら、阿久悠さんによるとグレンミラー「ペンシルベニア6-5000)」にヒントを得たそうです。

 

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2019年

12月

11日

冬に聴きたくなるGS ブルーコメッツ

壁の飾りをかえました。

「ブルー・シャトウ」 ジャッキー吉川とブルーコメッツ 昭和42年

作詞:橋本淳、作曲:井上忠夫
昭和42年第9回日本レコード大賞受賞。同年18回NHK紅白出場。
当時グループサウンズ(GS)が若者に大人気だったのですが紅白に出場できたのはブルーコメッツだけなんですね。理由は「長髪でなく洋服もスーツできっちりしているから」だそうです(1)。

確かにブルコメはGSの中でもシブ目です。楽曲もちょっとマイナー調で哀愁を帯びています。というわけで冬に聴きたくなるGSなのです。ジャケット写真も木枯らし吹く冬ですね。
さてブルコメの栄誉といえば、伝説の米国TV番組「エド・サリバン・ショウ」に出演したGSも彼らだけです。演奏曲は、小田啓義さんが琴で弾く雅楽ではじまり、この「ブルーシャトー」を英語で歌います、間奏の井上大輔さんのフルートが沁み入る音色です、最後のコーラスは日本語で歌ってくれました。カッコイイ名演奏です。ぜひご覧ください!
院長はリアルタイムで聴いたわけでなく、小学生時に替え歌「森トンカツ、泉ニンニク、囲まれテンプラ~」(3)で覚えたクチです。大学生になり日本のGSを研究する中、CDやTVの再放送で聴きました。 若い頃はブルコメなんてジジくさいと思っていましたが、年取ってきた今は楽曲、演奏ともに心惹かれますわ。 (院長)

 

(1)なんじゃそりゃ?と思われるかもしれませんが、当時は長髪やエレキ(ギター)は不良と言われたのですよ。大部分のGSは長髪でした。
(2)米国CBS "The Ed Sullivan Show"1967年12月3日放送

(3)後年、グッチ裕三さんが演っていますね。

 

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2019年

11月

20日

宝塚宙組 イスパニアのサムライ/ アクアヴィーテ

壁の飾りをかえました。
宝塚 宙組「イスパニアのサムライ/ アクアヴィーテ」2019/11/15-12/15 宝塚大劇場
主演は男役トップ真風涼帆さん、今回は武士役で長髪、立ち姿、身のこなし、そこにいるだけで画になるトップさんですよ。ヒロイン星風まどかさんは歌ウマ、銀橋独唱に聴き惚れますね!二番手男役、芹香斗亜さんも芝居歌共に円熟を増していて、一言の台詞で観客の眼をさらっていく力があります。チャラさと「男気」を表現する無二のジェンヌさんです。留依蒔世(るいまきせ)さんは道化師役で持ち味のソウルフルな歌を披露してくれます。瑠風輝(るかぜひかる)さんは真風さんの剣術の先輩という大役を堂々こなしています(1)。ますます貫禄がついてきました。
「アクアヴィーテ」はウィスキーをテーマにしたショーです。本当に楽しいショーで1時間があっという間です!前回「NICE GUY」に続き今回も藤井大介先生の演出。始まりからギラギラ衣装に激しいダンスでしかも人数で攻めてきます。一気に劇場のボルテージが上がります。過剰なまでのキンキラ衣装が真風さんの迫力に合うなあ。そして藤井先生といえば、女装です。これが前回に続いてスゴイのです!これでもかと言わんばかりに男役さんが次々に女装で登場するのですよ(2)。中でも今公演で退団される実羚淳さんの鬼気迫るバレエダンスは一見の価値ありです。

若手男役では琥南まことクンが8人組の一人で登場しキレのある動きで輝いています。新入団105期生は聖叶亜(ひじりとあ)クンが存在感を放っています。キリっとしたハンサムで目立ちますね。早速新人公演で役がついているという期待のホープです。 未来のトップスター目指して頑張ってください!
今の宙組もベテランから若手まで役者が充実して見所満載です。
皆様、ぜひ素晴しい宙組をご観劇ください。 (院長)

 

関連記事:宝塚カテゴリ 宙組 追憶のバルセロナオーシャンズ11黒い瞳WESTSIDE STORY

 

(1)6年上のしかもトップ真風さんに指南する役を務めるのは緊張するでしょうね!

(2)皆さん美しい!男性ファンを獲得するための劇団の作戦なんじゃないかと、院長はにらんでいます。今回、実羚さん、春瀬さん、七生さん、和希さん、秋音さんと上級生女装ありで大サービス?です。

 

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2019年

10月

30日

YMOの功績 ライディーン

壁の飾りをかえました。
YMO ライディーン昭和54年LP「ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー」
イエローマジックオーケストラ(略してYMO)、チッチキチッチキの機械リズム音から始まる有名曲です。ピコピコ・サウンド懐かしいね、などと片付けてはいけません。
ニューミュージックに商業化の兆しが見えた頃、彼らは現れました。こちらの方が真の意味で「新しい音楽」であったのではないかと思います。
YMOはコンピュータで音楽をどこまで表現できるか実験をしたのです。例えばコンピュータにリズムコントロールさせることで、人の手では弾けないような速く複雑なリズムも出せます。楽器が弾けない人でも練習なく演奏可能になりました。実際「ライディーン」ではバック演奏にかなり速い音符が詰め込まれています。また、機械演奏なので当然ですが故意に人の気配を消した音作りも試みました。同曲ではドラム高橋さんがわざと無表情な叩き方をすることにも表れています。さらに、このことの裏返しで、機械と人間の演奏の差異について研究もなされました。例えばグルーブ(groove)やノリとは何か?についての検証です。電子音は何も加工しなければ均等な符割となり機械的リズムに聞こえます。しかしそのタイミングを均等割合12対12から13対11や14対10などにずらすとグルーブやノリといったものが生まれることを見出しました。これもすごい発見なのです。本アルバムの「Absolute Ego Dance」は14:10のリズムが沖縄民謡に近いことを見つけた曲です。音と音の間隔を細かく検証することによってYMOはグルーブやノリ、民族音楽のリズムを表現することに成功しました。その他、彼らは数々の発見と新しい音楽スタイルへ挑戦し、その後の音楽に大きな影響を与えました。YMOの功績は計り知れません。(何だか総説風の文章になってきました)
 彼らは見た目も新しかった。当時フォークやニューミュージックはボサボサ長髪にジーパンと決まっていました。YMOはテクノカットに人民服やタキシードですよ(1)、新鮮でしたね。  (院長)

 

(1)テクノカットはもみあげを耳の上でまっすぐ落とす髪型です。人間臭さを消す意図があったのでしょう。写真1枚目LP「ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー」人民服のようないでたちで麻雀です、2枚目はLP「イエロー・マジック・オーケストラ」の裏面、タキシード姿でシンセサイザー用の接続コードを手にしています。 

(おわび 間違えて文1週間ほど文章の記事を消していました。11/4追記しました)

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2019年

10月

16日

ニューミュージックと深夜放送

松山千春「大空と大地の中で」昭和52年 LP「君のために作った歌」
壁の飾りをかえました。はじめて買ってもらったLPです。

この時代はニューミュージックが流行っていました。明確な境界線があったわけではなく、今考えるとフォークの流れを汲むのが多かったです。拓郎さん、さだまさしさん、中島みゆきさん、ガロ、アリスなどなど、松山さんもそうですね。他にはロック系、AOR系、シティポップ系、とにかくアイドルと演歌以外は全部ニューミュージック。テレビに出ないポリシーの人もいたりして、深夜ラジオが彼らの活躍の場でした。松山千春のオールナイトニッポン、チー様(松山さんの愛称)の小気味いいトークを聴くのが楽しみでした。私には兄さんはいませんけど、なんだか兄貴に話しかけられてる感じがしましたね。この曲はチー様のオールナイトが終わるときのテーマ曲です。

5-6年もするとニューミュージックという言い方は消滅しました。今や懐かし音楽の代名詞となり、新しいんだか旧いんだかわからないですね。しかし、あの頃は何だか訳がわからないが音楽の世界がとにかくアツかった。 (院長)

 

LPの歌詞カードにはチー様直筆の楽譜と歌詞があるんですよ。丁寧な字を書く方です。そして松山さんのサインは当時流行していた「丸文字」ですな。丸文字も今や廃れた文化! 

 

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2019年

10月

02日

どこまでも伸びる声/かもめが翔んだ日

「かもめが翔んだ日」昭和53年 歌・作曲 渡辺真知子、作詞 伊藤アキラ

のびる歌声について書いて思い出しました、渡辺真知子さんの声を。どこまでもどこまでも伸びる歌声ですね。聴いていて清々しい気持ちになります。
「ニューミュージック」が流行したのがこの頃でした。 当時は子供向けアイドルと大人向け演歌がほとんどでしたから、こんな感じで歌う人が新鮮でした。ニューミュージックはラジオから発信されていて、「ああこれがニューミュージックなんだ」と思いました。「シンガーソングライター」という言葉も流行りました。のちに歌謡曲の研究で知ったことですが、この時代までは職業作曲家・作詞家の先生に曲を書いてもらうことが当然だったのです。歌手が自分で曲を書くなんてトンデモナイことだった、それがニューミュージックは自分で書いて自分の世界を表現する、新しい時代の到来でした。
もうひとつ、この時期から「翔」という漢字が世に広まりました。「とぶ」を表す漢字は「飛」「跳」ですが、昭和51年司馬遼太郎「翔ぶが如く」を契機に、流行語「翔んでる女(1)」や、ドラマ「翔んだカップル」、横浜銀蝿「翔さん」などを経て、一般の言葉になりました。現代でも人名に使われる漢字の常連(2)ですね。ただし漢和辞典を見ても「とぶ」という読みはありません。正式な訓読みは「かける」です。
今やニューミュージックという言葉はすっかり廃れましたが「翔」は続いています。あの頃は何でも新しいことに挑戦できる時代だったのですね。(院長)

 

注1)翔んでる=俗に、世間の常識にとらわれず、思い通りに自由に行動するさま(三省堂「大辞林」)

注2)宝塚にも多くの「翔」がいらっしゃいます。高翔みず希さん(76期花組組長)、北翔海莉さん(84元星組トップ)、鳳翔大さん(88元雪組)、彩凪翔さん(92雪組)、星吹彩翔さん(93宙組)、風馬翔さん(94元宙組)、颯希有翔さん(96月組)、若翔りつさん(99宙組)、鷹翔 千空さん(101宙組)

 

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2019年

9月

18日

宝塚宙組「追憶のバルセロナ/NICE GUY!」

壁の飾りをかえました。2回連続宝塚で恐縮です。

宙組全国ツアー「追憶のバルセロナ/NICE GUY!」も盛り上がっていますよ。院長は大阪のチケットがとれず、福岡まで遠征でした。
「追憶のバルセロナ」またも院長の好きな男の友情劇(1)です。スペイン貴族の子息で軍人でもあるフランシスコ(真風涼帆さん)とアントニオ(芹香斗亜さん)、そして瀕死のフランシスコを助けるロベルト(桜木みなとさん)の友情が感動ものです。トップ真風さんはますます貫禄が出てきました。今回、桜木さんの歌唱がスゴイ!持ち味のハスキーボイスがどこまでもどこまでも伸びるのです。前作オーシャンズ11のベネディクト役を上回る素晴しい歌唱です。
「NICE GUY」素晴らしいショーですね。スーツ、黒燕尾などの男役さん達が際立ちます。もうね、真風さんがカッコよすぎてほれぼれしますね。今回のメンバーは宙組上級生が中心、どなたも円熟のパフォーマンスで惹かれます。さらに男役さんの女装(?)場面(2)もあって楽しめます。客席降りが3回もあって観客サービス満点でした!そして特筆すべきは留依蒔世(るいまきせ)クンです、ソウルフルな歌い回しは宙組、いやヅカ現役生のなかで彼の右に出るものはないでしょう!また若手では琥南まことクンが男役とロケットダンス娘役に頑張っている姿が印象的でした。
皆様、機会がありましたら素晴しい宙組もぜひご観劇ください。 (院長)

関連記事:宝塚カテゴリ、宙組 オーシャンズ11黒い瞳WESTSIDE STORYイスパニアのサムライ

(1)「黒い瞳」をご参照ください

(2)もともとタカラジェンヌは全員女の子なので女装というのはおかしいのですが、男役さんは男になりきっているので女装なのです。藤井大介先生が演出を担当されると女装(?)場面が増えると言われています。

 

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2019年

9月

04日

宝塚花組 明日海さん退団公演

壁の飾りをかえました。
宝塚歌劇 花組「A Fairy Tale/ シャルム」2019/8/23-9/30 宝塚大劇場

 

トップスター中のトップ、明日海りおさんの退団公演です。本当に偉大なトップさんですね(1)。本作品で退団されるとはさびしい限りです。

今回の劇とショーではトップ継承の儀式ともいえる場面が見どころです。A Fairy Taleの劇中、次期トップを継ぐ柚香光さん演じる植物研究家が明日海さん演じる妖精に向かって「出会えてよかった」と男泣きしながら固く手を握りあうんですね。またショーでは伝統の黒燕尾姿で明日海さんが柚香さんの背を押すのですよ、君に任せたよといわんばかりに。思わず泣いてしまいます。
また花組の歌ウマさんたちの歌も聴かせます。花組副組長の芽吹幸奈さんのエトワール独唱(2)、どこまでも透き通った声、本当に素晴らしい!芽吹さんも今回で退団されるのが残念です、最後まで頑張ってください!そして男役では名歌手、和海しょうさん。福岡ドームで国歌斉唱したことのある実力派です。この人が歌うと舞台が一気に引き締まりますね。
機会がございましたら、ぜひすばらしい花組の舞台をご観劇ください。 (院長)

 

関連記事:宝塚カテゴリ

(1)どれだけスゴイかは宝塚のDVDと本を買って実感してください。
(2)「エトワール」はショーの最後となるパレード場面の始まりの歌のことです。多くの場合、大階段中央で独唱します。歌手は歌に定評のある方が選ばれることが多いです。

 

 

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