スイングのその後「妖怪人間ベム」

壁の飾りをかえました。

「妖怪人間ベム」昭和43年、歌:ハニーナイツ、作詞:第一企画㈱、作曲:田中正史

 日本の戦後は服部ブギから始まり進駐軍クラブでダンスミュージックとしてスイングが流行しました。そのうち米国でスイングからビバップ・クールジャズなどモダンジャズに進化し、日本のジャズ界もそれに追随しました。ではその後スイングは消えたのかというとそうではないと思います。この曲は一つの答えと言えるでしょう。

 スイングはビッグバンド演奏という形態をとり広く日本社会に根付いていったのだと考えます。ビッグバンドは純粋なスイングジャズもときに演奏しますが、普段はTV歌番組の生伴奏、劇伴、あるいはナイトクラブの伴奏などとして定着したのです。ラテンや歌謡曲も演奏するが根本のところにスイングジャズが残るという風なのだと思います。

「妖怪人間ベム」はスイングジャズの魅力が詰まった名曲です。管楽器のアンサンブルに勢いがあります。そしてベースがカッコいいんです!ただの4分音符でさえ完全にスイングしてます。この硬質な音は江藤勲さんではないかと院長は想像しています。

 歌は定評のコーラスグループ、ハニーナイツ(1)が担当、綺麗なハーモニーです。スイング全盛時代のジャズコーラスグループ、The Pied Pipers, Andrews SistersやMills Brothersなんかを思い出します。

 子供向けアニメ主題歌として受け入れられていた、ということはスイングという形式の音楽が十分日本社会に定着していたと言えましょう。

 アニメの印象が強烈なのでこの曲はこれまでなかなかポピュラー音楽として聴いてもらえていなかったと思います(2)。日本に根付いたスイング、ぜひもう一度お聴きください。なおテレビ版よりもレコードのフルコーラス版をお勧めします。2022/2/16(院長)

 

(1)ハニーナイツは「ふりむかないで」(エメロンシャンプーのCM)、サスケ、ミラーマン、ウルトラマンAなど数々歌っています。美しいハーモニー。

(2)後年、東京スカパラダイスオーケストラが演奏しています。昔ライブで観たことがあります。スカパラの妖怪人間ベムめちゃくちゃカッコイイです、動画など検索してぜひご覧ください。

 

←前の記事「嵐を呼ぶ男」次の記事 宝塚宙組「Never Say Goodbye」→最新ブログ

クリニックからのお知らせ