日本のロックの萌芽(2) カーナビーツ

 壁の飾りをかえました。またまた日本のロックが芽を出したころのGSです。

カーナビーツ「恋をしようよジェニー」昭和42年、作詞:万里村ゆき子、作曲:藤まさはる。カーナビーツは洋楽の日本語カバー物が有名で、デビューシングル「好きさ好きさ好きさ」は英国ゾンビーズの”I love you”のカバーでヒットしました。

 本作品は日本オリジナルです。作曲の「藤まさはる」とは、実はフィリップスレコードの洋楽やGSを担当の本城和治ディレクターなんです(1)。本城さんは洋楽っぽいGSを出したいと考えていたのですが、職業作曲家に書いてもらうと歌謡曲風になってしまう、そこで自分自身でイメージ通りの洋楽を作ったわけです(2)。でき上ったサウンドは当時英国で流行したマージービートなんです。ドラムとギターとベースのシンプルな編成でストリングスやブラス無し、コーラスの差し込み方なんかそのまま60年代ブリティッシュ・ビート。こんなの1967年に日本人が作ってたのかと感心します(しみじみ)。後年、欧米でJapanese garage rockと高評価されたのも頷けます(3)。

 歌詞はとりとめもないラブソングで、今聴くと何じゃこりゃ?ですが、この時期のGSに多かった少女漫画的(当時のですよ)な、王子様、メルヘン的イメージが現実離れしている点がむしろ味わい深いです。

 ジャケット写真は斜めアングルの不自然な笑顔そして洋風チェアと、背中がかゆくなるほどアイドルイメージです。商業的に売るためにはこういうのも必要なわけです。

 サウンドはブリティッシュ・ビート洋楽、歌詞と見た目はアホらしいくらいアイドル風、というアンバランスを楽しむのがGSの魅力のひとつです。

 日本のロックはこういうところから始まり、やがて完全自作で独自のポピュラー音楽スタイルを生み出すようになったのです。皆様日本のロック黎明期の名作、ぜひ一度お聴きください。 (院長)

 

(1)本城和治さんはフィリップスでもともとジャズや洋楽輸入部門を担当していました。洋楽にかんする豊富な経験を買われ、GSのプロデュースに携わります。GS王国フィリップスと言われるくらい数々のグループを送り出した功労者です。スパイダース、テンプターズ、ジャガーズ、パープル・シャドウズ、リンド&リンダースetc。

(2)日本のR&B名作「グッドナイトベイビー」もポリドールレコード社員でR&B好きの松村孝司さんがペンネームで書いた作品でしたね。そういえばあの筒美京平先生も元はポリドールのディレクターで入社し、社員の時から作曲されていたんですよね。

(3)意外にもGSマニアが海外に多くいるらしいです。マイナーGSの音源CDは輸入盤でしか入手できないことが度々です。曲名はすべてローマ字表記で新鮮です。例”KOI O SHIYOUYO JENNY”など。

 

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