雪組「ライラックの夢路/ジュエル・ド・パリ」

院内の飾りをかえました。

宝塚雪組「ライラックの夢路/ジュエル・ド・パリ」

 トップ娘役夢白あやさんの大劇場お披露目公演です。

 貴族ドロイゼン家の長兄ハインドリッヒ(彩風咲奈)はドイツに鉄道事業を起こそうとする、当初は家のために始めたが、やがて国家と国民のため事業をやり抜きたいと使命感を持つ、多くの障壁を乗り越えていく。一途な気持ちを持って前進する役は彩風さんによく合います(1)。

 そして新トップ娘役の夢白あやさん、本当にかわいい。そこにいるだけで華がありますね。一方、前の宙組からもそうですが、芯の強い女性役を演じると存在感があるのです。しばらくこのトップコンビが楽しみです。

 この劇は多くのテーマが含まれているので1回の観劇だけではなかなか散漫な印象になりそうですが、それぞれのテーマは面白くて結構入り込んでしまいます。

 貴族ドロイゼン家の兄弟の結束。小国の集まりだった旧システムのドイツから統一ドイツ国に移行する時代背景。工業化のプロセス。鉄道事業に必要な技術力と資金調達法の工夫(2)。また女性の生き方と女性の自立とは何か。そしてハインドリヒとエリーゼの恋。長兄ハインドリヒと次男以下と立場の違い。などなど。

 朝美絢さんのカッコよさ、深い演技も見どころですし、和希そらさんの軍服姿と歌もいい。縣千さんは鉄職人の役どころ、鉄工所場面ではすばらしい踊りが見どころです。

 ショーは「ジュエル・ド・パリ」、藤井大介先生のショーらしく派手な味付け+要所に男役の女装あり。和希そらさんのクレオパトラは腹筋バキバキです、歌唱も素晴らしいですねー。中詰めフレンチカンカンは大規模、そして男役重鎮までカンカンに参加。ショー全体としてはパリ関連の歌が多く、曲自体は古くさいかもしれぬがダイスケ先生風味でアレンジの妙です。

この日のベース担当は院長が好きな梶山伊織さん、グルーヴあふれるビートを弾くベーシストさんです。バスティーユの場面、イントロはキャピトルズの”Cool Jerk”(1966年)を彷彿させる、身体の内側からリズムが湧き出てきそうなリズム!しかしそこからフランス国歌ラ・マルセイエーズに移るという。70-80年テイスト楽曲あり、ラテン曲ありカッコイイぜ。

フィナーレ・エトワール音彩唯さんがスゴイ迫力でした、後になるほどテンションが上がる、不安感なし泰然自若、堂々の独唱、一聴の価値あり!

見どころたくさん雪組の舞台、皆様ぜひご覧ください。(2023.5.3追記5.19院長)

 

(1)前作「蒼穹の昴」の梁文秀役、2017年「ひかりふる路」のダントン役

(2)作・演出・振付の謝 珠栄先生が公演プログラムで『ドイツ工業化における鉄道業』(大阪大学経済学部、鴋澤 歩(ばんざわ あゆむ)教授)という本を読んで本作品を書こうと思った、と仰っています。さらに別のページでは鴋澤先生による、19世紀のドイツ国内事情と産業発展と鉄道事業開発について解説が掲載されています。これはかなり勉強になります!ぜひご一読されると劇の理解が深まると思います。

 

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