2021年

2021年

12月

15日

ザ・ピーナッツ「ジングル・ベル/ホワイトクリスマス」

壁の飾りをかえました

ザ・ピーナッツ「ジングル・ベル/ホワイトクリスマス」編曲:宮川泰

 ザ・ピーナッツは双子のデュオです(1)。双子ということは声がほとんど同じなのでハーモニーがぴったり合うということなんです。ピーナッツはハーモニーはもちろんのことユニゾン(2)も美しいんですよ。ユニゾンからハーモニーに分離するところなんて聴いていて惚れぼれしちゃいますね。

 さてピーナッツは昭和35年から39年にかけて毎年クリスマスレコードを出していました。ただし毎年新録音したわけでなく、前年の曲を流用したり、モノラルやステレオなどバージョンが色々あるようです。この写真の盤はBS-7050(ステレオ)で、昭和39年11月発売です。ただしジングル・ベルは昭和37年録音、ホワイト・クリスマスは昭和38年の録音で、モノラル盤のEB-7238が38年11月に先行発売されていて(ジャケット写真は同じ)、39年にステレオ化で再発売したものです。クリスマスソングはぜひザ・ピーナッツの美しいハーモニーでお楽しみください。

 2021年もブログにおつきあいくださりありがとうございました。皆様よいクリスマスをお過ごしください、そして幸せな新年をお迎えください。2021/12/15(院長)

 

(1)ほくろのある方がエミ、ない方がユミ。歌のパートは主旋律がユミ、ハーモニーをエミが歌うのが通常パターンとのことです。

(2)ユニゾンは2人以上が同じ旋律で歌うこと。声が同じ双子だと、一人の歌手が同メロディを2回重ねて録音する「ダブルトラック」と同じ効果、つまり音の奥行きと複雑さ効果が得られます。

 

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2021年

12月

01日

母校の思い出話「鈴懸の径」

壁の飾りをかえました。鈴木章治とリズムエース「鈴懸の径」作曲:灰田有紀彦

 読み方は「すずかけのみち」プラタナスの並木道という意味です。

原曲は昭和17年灰田勝彦さんが歌いました(写真4)、後年クラリネット奏者の鈴木章治さんがスイングジャズにアレンジして人気が出て昭和32年にレコード化されました。灰田勝彦さんの母校、立教大学には鈴懸の並木道があります。歌の内容は、母校の並木道を歩いた学生時代を懐かしむというものです。

 院長はこの曲を聴くと母校の阪大(1)を思い出します。医学部の前に長い並木道があって(2)(写真2,3)、プラタナスでなくケヤキだったと思います。秋と冬は紅葉が、夏は緑が、春には桜が咲いて美しい小径でした。

 さて医者の業界話です。ほとんどの医者は大学という場に対して特別な感情を持っています。他学部の大部分の人にとって大学とは一時の通過点であって、卒業して社会人になればそちらがホームグラウンドとなり気持ちの上でも大学とは縁が切れます。でも医学部はとにかく大学とべったりなのです。学部6年、卒後研修で2年から5年、大学院で4年、他に研究生などで数年。そのうえ学内に残って就職なんてしたらトータル何十年も在籍することになります。いつまでたっても大学にいる感覚で、気が付いたら人生の半分くらい大学です。単に授業に出て試験受けて卒業資格をとるだけの所でなく、十何年も世話になって人生を過ごす場です。ある意味実家とか故郷みたいな感覚です。もちろん短期で大学を出て外の病院で修業する先生もいらっしゃいます。

 私は平成2年入学、平成25年に大学を退職しましたから、23年間もダラダラと大学人生でした。退職して診療所を開業したときこれで大学を「卒業」したんだなと思いました。ずっと大学に守られていたから外に出てはじめは不安でしたね。辞めて5年ほど経ってようやく大学の色が抜けてきたと感じるほどでした。そして最近ようやく大学のことを懐かしいなあと思うようになりました。

 昔の阪大はかなり放任主義でしたから、いい加減でデキの悪い私でも卒業させてもらえました。その後も嫌なこと苦しいこともあったけれど、うれしいこともいいこともたくさんありました。良い友達と先輩・後輩にも出会えました。自分を育ててくれお世話になった大阪大学に本当に感謝しています。

「鈴懸の径」郷愁のクラリネットを聴くといつもあの並木道が眼に浮かびます。

2021/12/01(院長)

 

(1)関西人は大阪大学のことを阪大(はんだい)と呼びます。大学1-2年は阪急石橋、3-6年は吹田キャンパス。

(2)東西まっすぐの道で附属病院(写真2)から医学部事務棟、講義棟、図書館まで連なっているのです。

講義をサボって外でタバコ吸ったりおしゃべりしたり、試験対策のプリントをもらったり、ここでいい友達にも出遭えました。あの頃はのんびりしていました。

 

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2021年

11月

17日

宝塚宙組「プロミセス・プロミセス」

宝塚宙組「プロミセス・プロミセス」梅田芸術劇場シアタードラマシティ2021年11月13日~18日

 2週連続宝塚で恐縮です。1960年の映画「アパートの鍵貸します」をもとに1968年にブロードウエイで舞台化された作品です。

 主演の芹香斗亜さんは二番手歴が長く芸の幅が広い!芝居も歌も上手、表情の作り方、セリフの間、素晴らしい。さらに笑いのセンスも最高です。ここのところシリアスな役が続いた芹香さんですが今回はコメディーなので客席が爆笑の渦でした。娘主役の天彩峰里・フランも複雑な人物描写を芝居と歌で表現されています。

 和希そらさんがフランと不倫関係にあるカッコイイ目のオジサンを演じます。この演技が貫禄があって実にシブい。加えて低音ボイスでの歌上手です。

 そして特筆すべきは留依蒔世さんの大活躍です。普段は男役さんですが二幕目バーでチャック(芹香)がたまたま知り合う女の役を演じます。この芝居が、パワフル、セクシーでかつ留依さんですから爆笑なのです。そしてその直後役を早変わりしてフランの強面なお兄さん役に早変わりします。こっちはいかにもガラが悪くて、気が短くてコワいお兄さんの役です。留依さんは声が大きくて歌が超絶ウマいことで定評があります。今回も舞台を大いに沸かせてくれました。また観たいなあ。

 専科から輝月ゆうまさん(元月組、愛称まゆぽん)が出演、この人も歌ウマの芝居上手で、月組の頃から大好きな男役さんです。

 さらに言うと宙組99期の若翔りつさんもすばらしい演技と歌です。不倫オヤジ役なのですがこれが本当にスケベな感じが出ているのです。若翔さんは男役を究めるため昔の映画やTVドラマなどを研究しているそうです。

 若手で注目している聖叶亜クン、セリフは少ないですが華があります。特に深夜のバーでは色男の役、魅力ありますね。今後の活躍が楽しみです。

 よく考えると院長の好きなジェンヌさんがたくさん出演して皆さんの魅力がつまった作品だったなあと思います。動画配信やDVD化はないと発表されました。もう一度見たかったのですが残念です。実況録音CDは発売されるそうなので楽しみにしています。 2021/11/17(院長)

 

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2021年

11月

10日

宝塚花組「元禄バロックロック/Fascination」

 院内の飾りをかえました。

 宝塚花組「元禄バロックロック/Fascination」宝塚大劇場2021/11/6-12/13

 新しい娘役トップ星風まどかさん大劇場お披露目の公演です。「元禄バロックロック」は日本の江戸に似た架空の都市「エド」で繰り広げられる物語です。忠臣蔵を土台にしていますがその通りではなくオリジナルストーリーといってよいです。衣装や舞台などが華やかで確かに「バロック」的です。これを一つ一つ観るだけでも楽しめます。話は時を巻き戻す時計がカギになっていて主役は元赤穂藩士で時計職人の「クロノスケ」と「時」にちなんだ名前です(クロノスはギリシャ神話で時の神様)。その他も一見ハチャメチャな設定ですが芝居が進むと、ああなるほどと納得する経過をとります。そして最後は忠臣蔵とは異なるハッピーエンドで結ばれます。本公演、男トップ柚香さんと娘トップ星風まどかさんの取り合わせがすばらしいです。まどかちゃんが本当に幸せそうな表情をされるので観ているこちらもハッピーになります。

 院長の好きな歌ウマの和海しょうさんは賭場の場面で見事なラップを披露してくれます。そして今回の見どころ、普段は娘役の音くり寿さんが幼い将軍ツナヨシを演じます。宝塚では娘役が少年を演じることはよくありますが、今回の音さん特にいい味の芝居なんですね。

 ショーはFascination、花組設立100周年記念です。とにかく華やかで優雅です。今回は白燕尾も黒燕尾も両方あり、そしてこれを上から下級生まで出演するという豪華さです。最近注目しています泉まいらさんのホットなダンスがキレキレです。新しく双眼鏡を買って注目しております。さらに花組100年の歴史を振り返る名作再演あり、銀橋での歌い継ぎあり(院長の好きな和海しょうさんの歌、ものすごく響いてます。)、これこそ伝統の宝塚的なショーです。そしてフィナーレではトップコンビのデュエットダンスで柚香さんが星風さんを高速リフトする、二人の踊りの技術が高いからできる技でこれは見どころです。

 皆様機会がありましたらぜひ花組の舞台をごらんください。2021/11/10(院長)

 

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2021年

10月

27日

大人の歌謡曲「赤坂の夜は更けて」

壁の飾りをかえました。

西田佐知子「赤坂の夜は更けて」(1)昭和40年、作詞・作曲:鈴木道明、編曲: 川上義彦

 前回の園まり「逢いたくて逢いたくて」と同年、同じ日本ポリドールレコードからの曲です。西田佐知子さん26歳ですよ、この時代の歌手は大人っぽいです。前回お話したように昭和45年頃までは歌謡曲は大人のものでしたから。

 曲はスローなスウィングジャズで、クラリネットとピアノがしっとり響いてカッコいいムードですね。そして西田佐知子さんの歌が本当にすばらしいのです。西田さんの歌唱法は当時の歌手のなかでは少数派のノンビブラート(2)、これが本曲ではけだるい感じが出て、聴く者を否応なしに都会の夜の雰囲気に包むのです。とにかく表現力がすごいですね。西田さんの声を盛り立てるポリドール(=日本グラモフォン)の録音も特筆ものです!ほんとにジャズクラブで目の前で歌っている感じ。さすがクラシックの名門グラモフォンの流れをくみ、洋楽輸入も盛んであったポリドールの技術です。なお、この時代昭和40年頃から他社も含めて録音がかなり良くなってきます、なかでもポリドールと東芝が群を抜いていると思います。

 皆様、秋の夜長にぜひ「赤坂の夜は更けて」をお楽しみください。2021/10/27(院長)

 

(1)この曲は島倉千代子、マヒナスターズなど他の歌手との競作でした、西田さんの盤が最も売れたそうです。

昭和40年10月発売で、同年大晦日の第16回NHK紅白に出場しています。

(2)ノンビブラート唱法は他に有名なのがいしだあゆさんです。西田さんは曲によって歌いかたを使い分け表現力がありますね。

(3)ボーカルの音があまりに鮮明、ノイマンのマイクじゃないでしょうか?と勝手に思っています。

 

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2021年

10月

13日

アイドル時代前のかわいい路線「逢いたくて逢いたくて」

壁の飾りをかえました。

園まり「逢いたくて逢いたくて」昭和41年 西野カナとちがいますよ。

作詞:岩谷時子 作曲:宮川泰 編曲:森岡賢一郎。 

 歌った園まりさんは当時の女性歌手としては珍しく「かわいらしさ」が売りでした。昭和40年代前半までは歌謡曲は大人のものでしたから、女性歌手は「大人らしさ」が求められ、「かわいい」はむしろ避けられていました。だからこの時代の女性歌手は今の感覚ですと見た目も歌う曲も実年齢より大人っぽいです。園まりさんのかわいい路線は新鮮だったのでしょう(1)、たいそう人気があったそうです。

 作者は前回のピーナッツに引き続き岩谷・宮川コンビです。もともとザ・ピーナッツが歌った曲(2)を作りかえたリメイクです。岩谷時子さんが園まりにあうよう詞を書き換え、曲の方も森岡賢一郎さんが編曲し印象的なトランぺットをフィーチャーし、大ヒットになりました。ザ・ピーナッツでは当たらず、園まりでヒットした、というのは曲・詞・編曲そして歌手すべての相性が良かったからでしょう。発売日は昭和41年1月6日ですが、発売前昭和40年大晦日のNHK紅白で唄っています、プロモーションのために先行出場したのでしょうか、不思議です。

 メロディーはゆったりしたノスタルジックなメロディ(3)、園まりの囁くような声がよく合うのです(4)。さてレコードで聴くと目の前でうたっているように聞こえるんですよ。これは日本ポリドールの録音技術によるところ大と思います。ポリドールはドイツ・グラモフォン社と関係が深かったのでドイツ製の高性能マイクロフォンなど録音機器が充実していたそうです(5)。この明瞭な音声はノイマンあるいはテレフンケンのコンデンサーマイクで録音したに違いないと院長は勝手に妄想しています。皆様ぜひ園まりさんの歌を再度お聴きになってください。2021/10/13(院長)

 

(1)アイドルは未成年のかわいい芸能人を若い世代をターゲットとして売り込むビジネスモデルのことで、昭和45年頃から生まれた概念です。

(2)「手編みの靴下」 昭和37年作詞:竹内伸光・岩谷時子 作曲編曲:宮川泰 

(3)「港が見える丘」昭和22年 平野愛子 を参考に作曲したと言われます

(4)独自の甘く囁くような艶っぽい「園まり節」は宮川泰が1小節ごとに声の出し入れや言葉の徹底指導をしたという。馬飼野元宏 他「昭和歌謡ポップスアルバムガイド」シンコーミュージック 2015, p45 

(5)特定ラジオマイク運用調整機構レポート No70 H15.1.1「私とマイクロフォン」 第5回 大野 進

 

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2021年

9月

29日

宝塚星組「柳生忍法帖/モア・ダンディズム」

宝塚星組「柳生忍法帖/モア・ダンディズム」宝塚大劇場2021/9/18~11/1

 柳生忍法帖は山田風太郎さんの小説の舞台化です。仇討ちを誓った女性たちを柳生十兵衛(トップ礼真琴さん)が助太刀するというストーリー。テンポよく進み登場人物も多いので1回目はついていけませんでしたが2回3回とみると次々味が滲みだしてくるタイプのお芝居です。十兵衛はめちゃくちゃ強い武士です。しかし実は女の人に優しく、お父上には頭が上がらない。武芸者として完璧なのに弱みもあって憎めないところがよりひきつけられます。劇中歌もいいのです。礼さんが超歌ウマで聞かせてくれます。楽曲そのものが良いうえにベースラインもメロディアスで聴き入ってしまいます!

 さて今公演では院長の大好きな愛月ひかるさんが退団されます。大変残念です。愛ちゃんはカッコいい悪役がぴったりなのです。今回はまさにそんな役で、芦名銅伯という霊力をもった108歳の超人みたいな人物で、十兵衛の敵役です。愛月さん本人が「ラスボス」とおっしゃっています。その通り凄みある迫力の名演技です。院長が見たかった愛ちゃんはコレなんです!もう一役、銅伯の双子という天海大僧正も演じわけておられここも見どころですね。

 ショーはモア・ダンディズム、95年真矢みきさん以来何度も再演されたレビューです。これが本当にカッコいいんです。開幕からの鮮やかな衣装と踊りに眼を奪われます。「キャリオカ」は黒燕尾と娘役さんと組んで舞踏会、宝塚らしい場面です。そして愛月さんのソロ歌唱があります。銀橋渡りで「薄紫のとばりの向こう」、そして「ゴールデンデイズ」では白軍服で颯爽と登場、貴公子姿です。愛月さん自身が熱烈な宝塚ファンであり、クラッシックな宝塚を演じたいという希望があったということで、正統派宝塚的な本当にいい場面です。フィナーレ前の「アシナヨ」場面、トップの礼さん舞空さんと愛月さん3人の場面でのデュエットダンスと歌唱は愛月ファンとしては泣いてしまいます。

 さてこの他にも見所が沢山です。「ハードボイルド」場面で漣レイラさんのド迫力ダンスにぜひ注目して下さい。カッコよすぎてこの場面漣さんに眼が釘付けです!漣さんも今回で退団なのが寂しいですね。同じくハードボイルドの出だし、瀬央ゆりあさんと綺城ひか理さんの男役同士のタンゴも決まっています。

 皆様ぜひ星組の舞台をごらんください。とくに今回退団される愛月ひかるさんの男役道の極みをご堪能ください。 2021/09/29(院長)

 

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2021年

9月

01日

宝塚花組「哀しみのコルドバ/Cool Beast !!」

宝塚花組「哀しみのコルドバ/Cool Beast !!」全国ツアー2021年8月25日~ 9月14日

 新トップコンビお披露目公演です。新娘トップ星風まどかさんは以前宙組真風さんの相手役で活躍されていました。今回花組で柚香さんと組むことになり、また別の魅力あふれる素敵なコンビですね。柚香さんと自然な並びであるように思います。歌と踊りともに上手な星風さんとのコンビこれから本当に楽しみですね。

 哀しみのコルドバはスペインの悲恋物語です。トップ柚香さんはスペインの闘牛士エリオを演じます。カッコイイですね。エリオと結婚するはずだったアンフェリータ役の音くり寿さんが切ない心情を好演するのです。院長の好きな和海しょうさんは闘牛士の頭領アントン・ナバロの役です。エリオ(柚香)を父親代わりに面倒をみて闘牛士に育て上げ、数日後には自分の娘がエリオと結婚する予定でした。しかしエリオはほかの娘(エバ:星風まどか)と恋仲になり、裏切られることになります。それでもアントンは冷静沈着に対します。包容力がある人の役です。この時後ろを向いて無言で悲しむ父親を背中で演じる場面が泣けてきます。和海さん重厚な芝居にますます磨きがかかっています。

 後半のショー Cool Beast は大劇場公演の再演。メンバーが入れ替わり、構成が少し軽くテンポになって、あっという間の55分でした。ダンサー柚香さんの踊りが更に優雅に妖艶です。前回退団公演だった瀬戸かずやさんの役は永久輝せあさんがかわります。また雰囲気がかわってよいですね。

 このショーには聴かせる歌の場面が沢山あって、美穂圭子さん、和海しょうさん、羽立光来さん、音くり寿さんと名歌手の歌唱が堪能できるのもCool Beast の楽しみです。

 最近院長がお気に入りの若手男役100期の泉まいらさんも活躍されていて嬉しいです。花組イチ笑顔が合う男役さんだと思います。歌が上手いうえに、そして踊りはホットなダンスを披露してくれるのです。皆様ぜひ泉まいらさんにご注目お願いします。

 魅力たくさんの新しい花組、皆様機会がありましたらぜひご覧ください。

2021/09/01(院長)

 

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2021年

8月

25日

昭和53年の夏「勝手にシンドバッド」

壁の飾りをかえました。

「勝手にシンドバッド」昭和53年サザンオールスターズ、作詞作曲:桑田佳祐

 言わずと知れたサザンのデビュー曲です。音楽的なことは語りつくされているので、個人的想い出話をさせてください。

 夏が終わりに近づくと院長はこの曲を思い出します。歌詞が夏の日の思い出だからでしょうか。でも発売日は昭和53年6月25日なんです。

 この曲が流行り出した瞬間を鮮明に覚えています。当時私は中学受験をひかえた小学6年生でした。週5回だか6回か塾に通って、帰りの電車で携帯ラジオにイヤホンさして「MBSヤングタウン」(1)を聴くのが楽しみでした(2)。ラジオCMで「勝手に~」が流れてくるのです15秒間、それもかなり頻繁に。刷り込みみたいになりました。もちろん深夜放送でもよく流れていましたよ(3)。フルコーラス聞けると得した気分になったものです。

 とにかくものすごい衝撃でしたよ。何じゃこりゃー!的な。もちろん学校でも大騒ぎの人気でした。あの早口の歌詞は何て言ってるんだ?そしてマネしたい!人気者になれるから。やっと買ってもらえたラジカセでラジオを録音して何度も聴きました。でもやっぱり歌詞がわからないんですよね。レコードを買ってもらった子に教えてもらったり、雑誌「明星」なんかに歌詞が載ってるのを教えてもらったり、という雰囲気でした(4)。ラテンとロックと歌謡曲的要素を混ぜたスピーディなサウンドは、音楽とかロックとか聞いたこともない小学生の心をガッチリとらえました。

 いま調べてみますと発売直後はそれほどではなかったのが、じわじわ話題になり、7月31日(月)に、フジテレビ「夜のヒットスタジオ」出演、8月31日(木)にTBS「ザ・ベストテン」の「今週のスポットライト」コーナーに出演したあたりから大ブレイクしたようです。おそらくラジオコマーシャルも7-8月に打ってたのでしょう。

 音楽面ではロックの人が歌謡曲との垣根を取り払った金字塔的な一曲と言われます、本当にそのとおりと思います。今回調べていてなるほど!と思ったことですが、桑田さんは歌のメロディーは歌謡曲っぽく作曲したそうです。ザ・ピーナッツみたいな感じにしたかったらしいです。確かにゆっくり歌えばちょうどピーナッツの「ウナセラディ東京」になりますね。さすが歌謡曲も大好きな桑田さんです。

 そういうわけで実体験でも夏の終わりの歌なんですね。とにかく昭和53年夏の音楽シーンはアツかった。  2021/08/25(院長)

 

(1)MBS毎日放送の若者向け番組、22-25時放送

(2)当時の中学受験は今ほど厳しくなくのんびりした雰囲気だったように思います。私の志望コースが最難関でなかったからかもしれませんが。

(3)毎日放送「ヤングタウン」、朝日放送「ヤングリクエスト」、ニッポン放送「オールナイトニッポン」、ラジオ大阪「サタデーバチョン」 なんかを聴きましたね

(4)当時コピーは高額だったのでもちろん手書き写しです

 

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2021年

6月

30日

宝塚宙組「シャーロック・ホームズ/Délicieux」

壁の飾りをかえました。

宝塚宙組「シャーロック・ホームズ/Délicieux」2021年6月26日~8月2日宝塚大劇場

 男役トップ真風涼帆さんと娘役 潤花さんの新しいコンビでの大劇場お披露目作品です。今回のシャーロック・ホームズは推理ものというより冒険活劇です。

院長の敬愛するトップ真風さんはホームズ役、頭脳明晰だがこだわり強く時にわがまま、でも度胸があるホームズを真風さんらしくカッコよく演じます。真風さんのセリフ回し「だぁ~」がファンにとってたまりませんね。

オペラ歌手アイリーン役の潤花ちゃん、背が高く大人っぽく真風さんとよくお似合いです。ホームズの宿敵モリアーティ教授役は芹香斗亜さんです。サイコパス的な悪役がはまっています。

相棒ワトソン君は桜木みなとさん、ホームズのファンであり一生懸命支えようとする常識人のワトソン、ちょっとコミカルな演技に好感です。

話が展開してゆくとだんだんと緊張感が高まって、最後には2人が直接対決するのです。楽曲も多くて聴きどころいっぱいです。

 後半のショーはパリとスイーツをテーマにしたDélicieux。これは楽しい!見ないと損です。野口幸作先生得意の古き良き時代のMGM的ショー、とにかくいっぱい詰め込んで豪華で派手なところが真風さんの魅力にマッチしまね。

 このショー、数々の名場面があります。プロローグからの大人数フレンチカンカン、これは豪華です。そして、芹香さんの女装アントワネットと真風さんフェルゼンは既にネット記事などでしられており話題ですね。黒燕尾の男役同士のダンスは圧巻です。トップコンビのデュエットダンスは二人の並びがイイですね、そして傍で芹香さんが歌い上げるという。楽曲もスウィングやラテンを多用して院長好みです。芹香さん、桜木さん、和希さん、留依さん、瑠風さん、若翔りつさん、希峰さん宙組は歌手の層が厚いなあと実感するショーでした。

 皆様ぜひすばらしい宙組の舞台をご覧ください。 (院長)

 

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2021年

6月

16日

ブギウギからスイングへ、グレン・ミラーIn The Mood

壁の飾りをかえました。「グレンミラー物語」1954年主演ジェイムズ・ステュアート

オリジナルのグレンミラーオーケストラ”In The Mood”は1941年です

 ブギウギといいますと元はアメリカ中南部にあったブギウギピアノだけのことを指しました。このリズムと進行を1930-40年代にスイングバンドが取り入れBallroom(ダンスホール)で大流行しました。ブギウギピアノはスイング・ジャズに変化して全米中に広まったのです。デューク・エリントン、カウント・ベイシー、トミー・ドーシー、アーティー・ショウ、ベニー・グッドマン・・・そんな中、グレン・ミラー・オーケストラも大人気だったわけです。

 元々がダンスミュージックなわけですからとにかくノリがいい。陽気なスイングリズムに華やかな楽器のコール&レスポンス、そう何だか景気がいい感じがするのです。ペンシルヴェニア6-5000、真珠の首飾り 、茶色の小瓶、名曲揃い。院長の大好きな”In The Mood”なんかすごいビートでカッコイイんですよね。

 さて映画の内容は古き良き時代のアメリカ映画です。グレン・ミラーさんは戦争中に軍隊に志願し、各地慰問の道中飛行機事故で1944年12月15日に亡くなっています。ですから映画のサントラは別の楽団による演奏です。心温まる良い話ですので皆様ぜひ一度ご覧になってください。そして機会があればオリジナルのグレンミラーオーケストラの録音もお聴きになってください。 (院長)

 

個人的想い出で恐縮ですが、大学再受験の入試直前、なぜか毎日延々スイングジャズを聴いていました。ノリの良さで自分を盛り上げようとしたのでしょうか。CDを入れ替えるのが面倒で繰り返し聴きすぎて、聞き取れるパートは覚えてしまうんですよね。ソロパートの裏の「スーパッパッ」もトロンボーンもバリトンサックスも頭の中で鮮明に音像を結んじゃう。院長にとってグレンミラーは受験勉強を思い出す懐かしのメロディーです。なお当院があるイオン川西店ではお昼の買い物タイムにBGMで繰り返し”In The Mood”が流れます。購買意欲を高めるためでしょうか。

 

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2021年

5月

19日

5.31は世界禁煙デーです/ スモーキンブギ

壁の飾りををかえました。ダウンタウンブギウギバンド「スモーキンブギ」昭和49年

作詞:新井武士、作曲:宇崎竜童

 5月31日は世界禁煙デーです。タバコはやめましょう。いま思い出すと不思議なんですが昔はみんなタバコを吸ってましたね。学校の先生も職員室で吸ってました、机に灰皿置いてね。病院では内科も外科も、部長も研修医もみんな吸ってましたね。院長もタバコ大好きでしたが随分前にすっかりやめてしまいました。

 さて「スモーキンブギ」は小学生の時に流行りました。みんな学校でマネしました、ホウキをギターみたいに持ったりして。コミカルな歌詞を間違えずに歌うこととコーラスの合いの手を入れるのを楽しんでいたと覚えています。

 タンタタンタというブギのリズムに3コードのブルース進行、ロックの基本形です。ものすごくノリがいいのですよ。「スーッパッパッ」というコーラスが軽快なハーモニーで、これはビッグバンドのスイングジャズですよね。そしてスライドギターがブルース色を濃厚にします(1)。この時期の彼らはブルース寄りの曲を多く出していました。

 歌詞もいいんですよ。作者の新井さんはゴロ合わせしただけ(2)と言いますが、今改めて聴くとピタリと韻を踏んでいます。洋楽の歌詞の作り方と同じですね。これがリズムとノリを生み出すのです。

 ダウンタウンブギウギバンドは当時の少年たちに色々影響を与えたはずです。ワルっぽい見た目や仕草に憧れた者、ロック音楽に初めて触れた者、歌詞をリズムにのせる楽しみを知った者、ハーモニーに気付いた者・・・院長はこの時にブギウギのリズムを身体の中に摺り込まれたように思います。成人してオヤジになっても、ブギウギのリズムを聴くと自然に身体が貧乏ゆすりを始めてしまうんですね。

 皆様ぜひこの名曲をお聴きになってくだい。そして繰り返しになりますがタバコは健康によくないので絶対にやめましょう。  (院長)

 

(1)元歌は Elmore James "Shake Your Moneymaker" 1961と言われます。スモーキンブギは他アーチストによるカバーも多数あり。憂歌団のスモーキンブギはめちゃくちゃカッコイイです必聴ですよ。

(2)歌詞について、ベーシストで作詞者である新井武士さんは「リズムに乗せてゴロ合わせをしただけ」と述べています。 wikipediaより(原典は新聞インタビュー) しかし完璧に韻を踏んでいます。

 

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2021年

4月

21日

輝きの12弦(3) ホテル・カリフォルニアの迷宮

壁の飾りををかえました。イーグルス" Hotel California"1976年

 12弦の名曲は数多くありますが、院長はホテルカリフォルニアが好きです、ベタですけど。時々頭の中をホテルカリフォルニアがぐるぐる回るのです。

 12弦ギターの切ないアルべジオのイントロから始まるんですよ。そして反復進行(1)しながら6弦ギターが重なり、歌もベースラインも重なって、次第に音が厚くなる。メロディラインが哀愁たっぷりで日本人の心に響きます。歌詞はよく読んでみるとミステリアスな話です。歌に出てくる人はたまたま立ち寄ったホテルの不思議な世界にに入り込み抜け出せなくなります。元の世界に帰れるのか?と怖くなってしまいますね。

 エンディングのギターソロが名演奏ですよ。2本のギターが泣きまくっています。ギターを触ったことのある人はみんなコレを弾いてみたかったはずです。ソロ最後の三連符(2)なんか本当カッコイイですね。永久にあっちの世界から抜け出せなさそうな雰囲気が立ち込めてくるのです。

 さてこの迷宮、コード進行にも秘訣があるのです。この曲どこまでも終止しないのです。サビのBメロは全く終わった感じがせず、Aに引き継ぎます。歌の終わり(A'メロ)なんか尻切れであとはすべてギターソロに譲っています。受けるギターソロも結局最後は終止せず、余韻を残してどこまでも続きそうなのです。だから再び聞きたくなる。頭の中をぐるぐる回るのです(3)。皆様、一度そういう耳で名曲ホテルカリフォルニアの迷宮をお楽しみください。 (院長)

 

(1)同じメロディーを反復しながらコードを移動してゆく反復進行で、ベース音が順に順々に下がってゆく。音楽理論でカノン進行と言うそうです。確かにこういう曲探せばたくさん出てきます。間違ってたらすみません。

(2)タララ タララ タララ タララ タララ休 タララ タララ タラギューン です

(3)楽器パートが多いので頭の中で一つ一つ再現していたら飽きないです。結局永遠にぐるぐる回ります。

 

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2021年

4月

07日

宝塚花組「アウグストゥス/ Cool Beast !!」

 壁の飾りをかえました。

花組「アウグストゥス/ Cool Beast !!」2021.4.2-5.10宝塚大劇場

 後にローマ皇帝になるアウグストゥス(オクタヴィウス)の話です。トップ柚香光さん はオクタヴィウスを、娘トップの華優希さんはポンペイアを演じます。二人とも本当に美男美女ですね。今回退団の二番手、瀬戸かずやさんがアントニウス役で男役芸の極みを見せてくれます。専科の凪七瑠海さん普段は男役ですが今回女王クレオパトラを演じます。美しい!瀬戸さんと大人の恋を演じる役作りの掘り下げが深いですね。院長の好きな和海しょうさんはクレオパトラ側近の軍師役、歌場面もあって嬉しいです。最近私が気になっている泉まいらさんは渋い元老院議員役、エジプト軍兵士にローマの民衆に大活躍でいい味出しています。

 ストーリーはやや込み入っていて1回見ただけではわかりにくかったです。2回目はプログラムの場面解説ページを読んでから観ると流れが呑み込めました。あらかじめプログラムを入手して開演前に一読しておかれるようお勧めします。そして久しぶりに生演奏が再開されました!やはり生演奏はいいですね、音圧が違います。

 後半はショーCool Beast !!はラテン音楽を中心に情熱的な舞台が繰り広げられる藤井大介先生らしいショーです(1)

 歌とダンスを分業した場面がいくつかあって、すごくいいのですよ。専科の美穂圭子さん、凪七さん、花娘 音くり寿さんが次々に歌を繰り広げ、柚香さんが躍る。ダンサー柚香光さんの魅力がさらに輝くのです。また、ショー後半トップ柚香さんが女装し(2)、2番手瀬戸さんと組む妖艶なダンス、これは見逃せない名場面です。歌は花組きっての男役歌手 和海しょうさんが1曲通しで歌い上げます、ホールが鳴り響く名歌唱でした。娘トップ華さんと柚香さんのデュエットダンスも見どころです。歌は大人の魅力美穂さんと凪七さんが担当(3)。トップさんが舞うそのバックで、歌手二人が階段で歌う。すばらしい歌と踊り、ドラマチックな演出です。

 皆様機会があればぜひ素晴らしい花組の舞台をご観劇下さい。(院長)

 

(1)テーマ曲の歌詞に各スターの名前を織り込まれていたり、退団者をフィーチャーした見せ場を作ったりと、藤井先生はタカラジェンヌに思いやりがあるなあと感じます。

(2)藤井先生作品は男役の女装場面が名物。2017年花組Sante !!で柚香さん瀬戸さん水美さんが女装していました。

(3)美穂さんは有無を言わせぬ超絶歌唱力です。凪七さんは伝統的宝塚男役の味ある歌なんですよね。二人の歌、ジーンと聴き入ってしまいます。

 

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2021年

3月

24日

煌めきの12弦ギター(2)A Hard Day's Night

壁の飾りををかえました。ザ・ビートルズ"A Hard Day's Night"1964年

 12弦の魅力を世界中に広めたのは間違いなく彼らのこのアルバムでしょう。"A Hard Day's Night"は1曲目です(1)。12弦の特徴がイントロの和音、間奏、そしてエンディングのアルペジオに表れています。

 イントロの「ジャーン」は、不思議な響きを持つ和音です。12弦ギター(ジョージ)と6弦(ジョン)、ベース(ポール)、ピアノ(ジョージ・マーティン)で構成されることはわかっていましたが、どの音が入っているのか長年の謎でした。

院長が中高生だった80年代はGsus4/DまたはG7sus4という説が一般的で、みんなが使うシンコーミュージックのバンドスコアは12弦Gsus4、6弦D、ベースD(つまりGsus4/D)でした。ビートルズ解説書籍などでは12弦D7sus4+ベースGなど諸説ありました。中には数学研究者がサンプリングした音源をフーリエ変換を用いて解析したという論文まであります(2)。なぜいつまでも解明されなかったのかというと、プロアマ問わずよってたかって誰が演奏しても完全に同じ響きが再現されなかったからなんですね。

 後年ジョージ・ハリスンがFadd9だったと明らかにした(3)ことで12弦ギターだけ解明されました。でもその他パートが謎でした。当時のプロデューサー、ジョージ・マーチン氏の証言やテクノロジー進歩で解析が進んだことなどをあわせて、最近ではようやく、12弦Fadd9(6弦全弾きか1-4弦だけ弾いてるのかはまだナゾ)+6弦Fadd9+ベースD(3弦5フレット)+ピアノ D2-G2-D3-G3-C4(ペダルオン)、が最有力と言われています。 ピアノとその残響音ハーモニクスも混ざって複雑な響きの和音になったのだろうという結論で落ち着いているようです。

 イントロの和音だけで熱く語りすぎてすみませんです。この曲、間奏もカッコいいし、エンディングのアルペジオもキラキラしています。ともに12弦の魅力あふれる響きなんです。ぜひもう一度12弦ギターのところに集中してお聴きください!

 ビートルズは決して演奏や歌の上手さを味わう音楽ではないと思うのです。彼らはアイデアとテクノロジーを駆使した音作りの天才なのです。そのサウンドが世界中の人達を魅了してきたのです。院長はビートルズ大好きなのでまた語らせてください。

 

(1)関西在住だった方はTV番組「突然ガバチョ」の曲と言えば洋楽ファンでなくとも思い出していただけるでしょう。

(2)こういう音の理論やテクノロジーの話は理系男子にはツボなわけです。Brown先生のフーリエ変換解析はこちら、

JI Brown 著, Dalhousie University.2008, Mathematics, Physics andA Hard Day’s Night

その他2017年のABCニュースより

A Hard Day's Night: Solving a Beatles mystery with mathematics. First posted 5 November 2017

久しぶりに英語を読んで頭が疲れました。

(3)2001年2月15日にジョージがライブ・チャットで証言しているそうです。

The chord was identified as an Fadd9 by George Harrison during an online chat on 15 February 2001:

Q: Mr Harrison, what is the opening chord you used for A Hard Day’s Night?

A: It is F with a G on top (on the 12-string), but you’ll have to ask Paul about the bass note to get the proper story.

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2021年

3月

10日

燦めく12弦ギター(1)「恋の奴隷」

壁の飾りをかえました。

奥村チヨ「恋の奴隷」昭和44年、作詞:なかにし礼、作曲:鈴木邦彦

奥村さん17枚目のシングルです

「恋の奴隷」「恋狂い」「恋泥棒」とお色気路線の「恋3部作」といわれます。奥村さんはコレ歌うのが随分嫌だったそうですが、聴いてみると歌唱がいい!艶がありますね。そしてそれにも増してこの曲の隠れた聴きどころは12弦ギターだと思うのです。これが大変味があるのです。

江藤勲さんの硬質ベースがネチッコイのに対して12弦ギターがキラキラなんですよ。澄んだ音色で爽やかなのです。ベースと12弦が妖艶と清純、二つの面を表しているようにも聞こえてきます。

以前ご紹介したハクション大魔王「アクビちゃん」もですがこの時期の歌謡曲界って結構12弦を使うのが流行ってたんですよね。

皆様ぜひとも歌謡曲の12弦ギターの音色を見つけてください。

 

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2021年

2月

24日

星組 ロミオとジュリエット

シェイクスピア原作のストーリーは皆様ご存知のアレです。主人公の若い2人がおバカな設定で物語としてはあまり共感できないですが、舞台は見所にあふれております。

まず楽曲がすばらしいです。元がフランスのロックオペラで、ヨーロッパのポピュラーメロディは日本人の琴線に触れるところ大です。これをトップ礼真琴さんが正確無比な安定の歌唱で歌うのです、遠い席でも音楽だけ聴いていて価値があります。

ダンスもすばらしい!今回役名のつく人が少ない代わりに、敵対する2つの名家(1)が赤と青チームになって集団で登場する、この群舞ダンスが華やかなのです。細かく見ると端の方でアクロバティックなことをやってたり。目立ったもの勝ちの様相で、皆様髪型に個性的な工夫をされていて眼を奪われます(2)。

院長の好きな、いぶし銀の二番手 愛月ひかるさん(写真2枚目)はロミオに敵対するティボルト役でした。この方はアクの強い役を演じたら随一です!立っているだけで背後にメラメラと黒い炎が見えそうです。ロミオに刺され倒れて動かなくなる、その死に姿まで絵になっています。今回も愛ちゃんの迫力と愛ちゃん節に圧倒されました。

また、渋い男役の綺城ひか理さんも去年の作品に続いて良いのです。この人は渋い理知的な方面の役が多いのですが、今回はパリス伯爵という少々ヘタレな貴族の役を好演されます。歌の方も綺城さんならではの低音ボイスを響かせてくれます!フィナーレのダンスは長身を生かしてめちゃカッコイイですね。

若手では2年目男役の青風希央クンが抜群のスタイルと華があって注目です。ロケットではセンター位置、パレードではトップさんのすぐ後ろに位置して目立っています。これからが楽しみですね。

皆様、星組の舞台、トップさんから若手まで見所沢山です。役替わりもあります(3)。ぜひともご覧ください。(院長)

 

(追記)役替りBパターン観ました。愛月さんは「死」の役です。この役は、死ぬ運命にある登場人物の背後に取り憑き、終始無言で踊りだけでその人の運命を表現するのです。Aパターンの天華えまさんは無表情でクールな死神でした。Bパターン愛月さんこの役、戦慄するほど凄い迫力と不気味さネチっこさを出しておられました。さすがは愛ちゃんのなせる業です、一見の価値ありですよ!そして何と「愛ちゃんの死」がSNS上でトレンドワードになっていたそうです。綺城ひか理さんのベンヴォーリオ役も聞かせる歌の数々よかったです。低音から高いところまで出ますねえ。さてBパターンベローナ大公役の遥斗勇帆さん、めっちゃ歌ウマいです。舞台に響き渡る美声!今まで注目してなくてすみません。そして若手の娘役 鳳花るりなクンはダンスがキレキレです!動きがダイナミックで手足が伸びて見えるのです。遥斗さんも鳳花さんもこれから注目株だと思います。

(1)モンタギュー家=ロミオ側=青チームvsキャピュレット家=ジュリエット側=赤チーム

(2)湊璃飛さんの髪型スゴイ!サイドを刈上げしています、北斗の拳の無法者みたい。

(3)2/25~愛月さんはティボルト→「死」、綺城さんはパリス伯爵→ベンヴォーリオ、こちらも楽しみです。

 

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愛月さん出演の作品はこちら→ WEST SIDE STORY黒い瞳眩耀の谷/Ray

 

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2021年

2月

03日

アニソン侮るべからず(2)ハクション大魔王

壁の飾りをかえました。

「ハクション大魔王」昭和44年、歌:嶋崎由利 作詞:、作曲:市川昭介

「アクビ娘の歌」歌:堀江美都子、作詞:丘、作曲:和田香苗

 前回に引き続きアニソンです。この曲は音楽好きの間で有名です。

まずイントロ、ギターからしてファズ(1)を使ってジミヘンみたいな音を出しています。そしてベースが物凄いんです。装飾音の多さと上へ下へ動くこのベースラインは、寺川正興さんを思わせます。でも細かいところがちょっと違うようにも聞こえます。いまだ誰の演奏か明らかになっていません。ただ、ベーシストたち憧れの一曲であるらしく、動画で「ハクション大魔王」のベースを演奏するアマチュア多数です。譜面を掲載してくれる人もいます。そりゃこのベースは弾きたくなりますね。このように演奏は完全にロックです。しかし歌のメロディーは演歌なんですね。作曲が市川先生ですから。歌唱は嶋崎由里さん、本当に上手です(2)。

 B面の「アクビ娘」はドラム、ギター、ベースのコンボ構成、タイトなドラムにキラキラの12弦ギターが響いて、ドゥーワップコーラスもあって、まるでリバプールサウンドなんです。歌うは天才少女歌手の堀江美都子さん(3)です。確かTVテロップに12歳と出ていました。12歳でこの歌ですよ、スゴイですね。

 60-70年代、アニソンはスタジオミュージシャン達の実験場だったのではないかと推測するのです。売上枚数やレコード会社の戦略など制約がある歌謡曲よりも、アニメの方が自由な表現ができる場だったのでしょう。毎日TVから流れる上質のサウンドに囲まれ当時のこども達は恵まれていたというべきでしょう。アニソン侮るべからず。(院長)

 

(1)ファズとはギターの音を歪ませる装置です。ディストーション等と同様。ローリングストーンズ「サティスファクション」のイントロを思い出してください。ジミ・ヘンドリックスもファズを多用しました。なお、2020年のハクション大魔王OP曲は奥田民生作曲「サティスハクション」!、もちろんファズギターです。

(2)「みなしごハッチ」と同じ歌手です。「ハクション」での発声法は民謡の影響を感じます。昔、お昼にのど自慢番組で小学生なのにメチャクチャ民謡が上手い子なんかよく出ていましたね。その系統出身でしょうか?

(3)アニソンの女王と呼ばれています。作品は数え切れず。

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2021年

1月

20日

アニソン侮るべからず(1) みなしごハッチ

皆様いかがお過ごしでしょうか。壁の飾りをかえました。

「みなしごハッチ」昭和45年歌:嶋崎由里、作詞:丘灯至夫、作曲:越部信義

 最近院長はアニソンを車の中でガンガンに聴き込んでいます。

 アニソンの放送時間は89秒(1)と言われます。本作ではさらに短く70秒。アニソンは出だしが勝負、はじめの15秒で引きつけなければ視聴者は離れてしまいます。イントロは短く印象的に、歌はわかりやすいメロディーと歌詞でなければならないのです。

 イントロから始まるビートをお聴きください。この跳ねるような硬いベース、昭和歌謡を代表する名ベーシスト、江藤勲さん(2)でしょう。さらに管と弦セクションが入り乱れるという豪華な作り。ここだけで耳が釘づけになりますよね。嶋崎由里さんの歌がいい味出しています。嶋崎さんはこの歌を録音したときちょうど変声期にあたり随分苦労されたそうですが、このOKテイクは低から高音までよく伸びています。歌に重ねてくるストリングスがまたいいですね、伴奏だけ別にメロディーを覚えてしまいます。

 歌詞はこの時代に一般的な、アニメ作品の説明と主人公名を盛り込んだもの。校歌と似たようなパターンです。みなしごハッチの歌詞には色々勇気づけられます。簡単で短いことばで世界を広げる当時の作詞技術も味わってください。

 キャッチーでビートがあって、豪華で、今でも聞きごたえのある良いサウンドだなと思います。現代の再生装置で音量を上げてみると、あの頃には気付かなかった音の職人たちの技が聞こえてくるのです。アニソン侮るべからず。 (院長)

 

(1)与えられる時間は90秒だが前後につなぎ目の無音時間が0.5秒ずつ設定されるので89秒。

(2)江藤勲さん:当ブログでもご紹介しておりますブルーライトヨコハマ長崎は今日も雨だった伊勢佐木町ブルース雨の慕情スワンの涙ドリフのズンドコ節グッドナイト・ベイビー

 

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2021年

1月

06日

宝塚雪組 f f f-フォルティッシッシモ-

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願い申し上げます。

壁の飾りをかえました。

宝塚雪組「f f f-フォルティッシッシモ-/シルクロード」

トップコンビ望海風斗さん、真彩希帆さんが本公演で退団されます。

ミュージカル「f f f-フォルティッシッシモ-」はベートーヴェンの半生を描いた作品です。ベートーヴェンの曲と宝塚きっての名歌手コンビがたいへん楽しみです。

ショー「シルクロード」も楽しみにしています。

皆様、寒くなってまいりますのでくれぐれも御身体にお気をつけください。

今年もお元気で過ごせますように。   (院長)

 

2021.1.11追記

 観てきました。「fffフォルティッシッシモ」はベートーヴェンとナポレオンの伝記という形を借りて、人というものは理想と現実の乖離に悩み苦しむがそれでも受け容れて前に進む、といった普遍のテーマを表現しているように感じました。現実には無いはずの観念的な世界を表す場面もありました。しかし、決してわかりにくい劇ではありません。それにトップさん二人の歌が本当に素晴らしい。望海さんの歌唱の音圧がスゴイです。これに真彩さんが七色の歌声で交錯する。これは聴けて良かった。

 ショー「シルクロード」も見どころ満載です。オリエンタル調音階の曲が多く、これを歌いこなすのはさすがの望海さんと真彩さんです。シンプルな黒燕尾も良い!次期トップ彩風さんに青いバラを引き継ぐ場面、泣かせますね。デュエットダンスはトップコンビの仲の良さ・信頼関係が伝わってきて感動的です。

 さて本公演でトップさんの他にも退団者がいらっしゃいます。なかでも院長が好きな彩凪翔さんと煌羽レオさん。彩凪さんは暑苦しいまでの男役顔にスラリとした長身のジェンヌさん。カッコいい役も無法者も今回のような理知的な役もこなします。そして煌羽さんといえば悪役で定評があり、触れなば切れんばかりの鋭い表情と演技。そしてショーでは踊りや身のこなしもシャープなのです。キャラクターは異なりますが、ともに眉間の皺が似合う、いぶし銀の男役さんなのです。この二人が登場すると自然と舞台が引き締まるのです。つくづく退団が惜しまれます。

 皆様機会がありましたらぜひ雪組のすばらしい舞台をご鑑賞ください。(院長)

 

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