宝塚星組「マノン」

2週連続宝塚で恐縮です。

宝塚星組 「マノン」宝塚バウホール2021年7月1日〜7月12日

 原作はアベ・プレヴォー「騎士デ・グリューとマノンレスコーの物語」

男を破滅させる魔性の女を意味するファム・ファタール(1)を描いた最初の文学作品ということです。原作はフランスでの話を本作では舞台をスペインに変えています。

 こんな話です。恋多く贅沢好きな魔性の女マノン(有沙瞳)に、純粋な(というかちょっとおバカ?)貴族のボンボンのロドリゴ(愛月ひかる)が盲目的に恋をする。貴族の実家を飛び出し二人で暮らすが、収入がない上に娘の兄にたかられ金を失う。留守の間に金持ちのオジサンに女を横取りされるがそれでもあきらめきれず。金を得るためバクチに手を出すも結局は有り金をすべて失う。娘の兄の計略で貴族のオジサマをだまして金を巻き上げようとするがバレてしまい、その上イカサマカードの罪をなすり付けられ逮捕収監。実母と友人の計らいで監獄から修道院預かりになったのに、マノン会いたさに親も友人も裏切り脱走、挙句の果てに人殺しするまで転落してしまう。

 いや~これはどこからどう見てもみじめなダメ男の話です。いい所が一つもない。しかも不幸な出自でもなく何不自由ない貴族の息子。同情の余地がありません。「宝塚らしい恋愛物の名作」と言われるそうですが、院長的にはいまいち共感できないストーリーでした。

 何より愛月さんがこんなカッコ悪い男を演じていることに観劇しながらモヤモヤしておりました。院長の好きな愛ちゃんはアクが強くて、カッコいいんです(下の(2)を参照)。超悪者で斬られる役でいいからもっとカッコいい男の役やらせてあげて!と思っていたわけです。宝塚専門ケーブルTV番組のインタビューで愛月さんが「ひとつひとつ難役を作り上げていった」と話されたそうですが、そりゃこの役作りは難しいですよ。

 なお、舞台上の愛月さんはいつもながら9頭身で逆三角形のカッコいいシルエット、有沙瞳ちゃんは美人で二人の舞台映えが大変美しい。これを観れたので良かったです。そして愛月さんの歌はクセがあることで定評がありますが、今回有沙さんとのデュエット歌唱、ハーモニーがすごく心地よく響くのです、きっと有沙さんの声質とマッチしているのでしょうね。

 さてこの劇は主役以外にも見所が沢山です。輝咲玲央さん、朝水りょうさんはマノンを何とかものにしようとするオジサンの役です。好色かつ悪だくみを謀るさまを好演するのはベテランならではの味です。

 主役の友人ミゲル役の綺城ひか理さん、いつもながら低音から高音までのびる歌声ががきれいです、友人ロドリゴを想う歌、泣かせますよ。フィナーレのスパニッシュダンスと歌唱これもいい。愛月さんと有沙さん並びのダンスも映えています、大劇場公演”Ray”を思い出します。

 マノンの兄レスコー役の天飛華音さん、まだ102期(入団6年目)若手なのに貫禄満々です。下級生で院長が注目しているのは青風希央クン105期(3年目)。ノーブルな顔立ちにスラっと背が高くスタイリッシュ、兵士の衣装が似合いますね。これからの活躍が楽しみです。

 皆様ぜひ星組の舞台をごらんください。とはいえ日程が短いです。なお7月11日(日)にはRakutenTV、U-NEXTで有料の動画配信もあるようです。 (院長)

 

(1) femme fatale 直訳すると「運命の女」だが、暗喩で「男を破滅させる魔性の女」のことを指す

(2)愛月さんは悪党だが深い背景があったり実は人情があるという役が似合いますね、「ロミジュリ」ティボルト役と「死」役、「エル・アルコン」海賊ベネディクト、「眩耀(げんよう)の谷 」管武将軍「黒い瞳」のプガチョフ「WESTSIDE STORY」ベルナルド、「異人たちのルネサンス」グイド司教、「天は赤い河のほとり」黒太子マッティワザ、「神々の土地」ラスプーチン、

 

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