秋の夜長に「夜間飛行」

 

壁の飾りをかえました。

ちあきなおみ「夜間飛行」昭和48年作詞:吉田旺、作曲:中村泰士

 さて前回までにお話した、1977年前後に生まれたシティポップは複雑な技術を用いた新しい曲のジャンルでした。しかしその少し前の時代からすでに職業作家による凝った作りの曲がちらほら出ています。この吉田、中村コンビによるちあきなおみ作品もその一つだと思います。

 昭和47年レコード大賞の「喝采」そして48年2月「劇場」に続く本作48年6月「夜間飛行」はのちにドラマチック歌謡3部作と言われるようになりました。どれも名作です。 

 歌謡曲でもないジャズでもないロックでもない、しっとりした曲調で、いわばヨーロピアンでしょうか。ベースラインがかっこいいんですよね。そしてオーケストラも流麗。間奏でフランス語機内アナウンス(1)が一気にドラマの世界へ惹きつけてくれます。パリ、オルリー空港(2)に着陸前、揺れながらゆっくり高度を下げる機体、窓越しの情景が広がります。ひとつのドラマが進んでいくかのような曲作り。そしてちあきなおみさんの歌唱は超絶表情豊か、劇を観ているかのようです。

 秋の夜長、音楽をじっくり聴くのにによい季節です。皆様ぜひちあきなおみさんの名作をご鑑賞ください。 (2022.11.2院長)

 

(1)「皆様、当機は間もなくオルリー空港に到着いたします。眼下にパリの明かりがご覧いただけます。弊社をお選びいただきまことにありがとうございます。それでは良いご旅行を、さようなら。」

Mesdames et messieurs, dans un moment nous arriverons à l'Orly. Nous apercevons une lumière de Paris. Nous vous remercions d'avoir choisi notre compagnie. Bon voyage. Merci. SAYONARA.

(2)オルリー空港は、シャルルドゴール空港ができる前のパリの国際空港です。昔の本や映画なんかに出てきますね。オルリーの名が出てくるのも現代に聴くとノスタルジック。

 

カテゴリ 音楽

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