2024年

2024年

9月

11日

アイドル時代のちあきなおみ2「四つのお願い」

壁の飾りをかえました。

ちあきなおみ「四つのお願い」昭和45年、作詞:白鳥朝詠、作曲:鈴木淳(1)、編曲:小谷充

 院長が大好きなちあきなおみさん。4枚目のシングルです。この曲が初めてオリコン10位以内、最高4位、37.6万枚のヒット曲となりました。昭和45年(1970)『第21回NHK紅白歌合戦』にも初出場しています。

 当時ちあきさんは「お色気アイドル路線」で売り出されていました。初期アイドル時代はミニスカート姿の写真や動画が残っています(2)。「喝采」以降は大人向けでドレスや着物の衣装が多くなりました。

 ちあきなおみさんの魅力は何といっても超絶にうまい歌の表現力です。本曲のサビ部分、ひとつ、ふたつ~と四つのお願いを歌い上げるところ、よくお聴きください。歌の表情がすべて違うんですよね、本当にすばらしい。

 演奏もいいんですよ。サビのところは歌唱とストリングスがきれいに交錯して最高潮の盛り上がりを創り出すのです。またドラムがグイグイリズムを引っ張るのも味わってください。

 なお、B面も良い曲なんです!ピアノの和音がとてもカッコよくて、クールジャズの趣があるのです。そしてビートあふれるこのベース、きっと江藤勲さんが弾いているのだろうと思っています(3)。こちらもぜひお聴きください。

 皆様、機会がありましたら、ちあきなおみさんの歌唱をぜひ鑑賞なさってください。(2024.9.11 院長)

 

(1)作曲の鈴木淳先生は、初期ちあきなおみ作品『雨に濡れた慕情』、『朝がくるまえに』、『四つのお願い』、『X+Y=LOVE』、『別れたあとで』を書いておられます。ほかには伊東ゆかり『小指の想い出』、安倍里葎子『愛のきずな』、小川知子『さよならがこわいの』、八代亜紀『なみだ恋』など60-70年代の名曲を作られています。

(2)ただし昭和45年紅白歌合戦に出場した時は和服、NHKだからでしょうか。この時は客席降りサービスまで付いていました。

(3)江藤さんのベースは、ピック弾きのパチパチ音が入ること、独特のビートとタメを感じることなんです。初期のちあき×鈴木作品のなかでも森岡賢一郎さん編曲で江藤さんの音色が聞けます。ベースだけ聴きながら酒が飲めるサウンドなんです。

 

ちあきなおみ作品

「雨に濡れた慕情」「X+Y=LOVE」「夜間飛行」

 

カテゴリ 音楽

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2024年

8月

28日

星組「記憶にございません!/Tiara Azul-Destino-」

壁の飾りをかえました。

星組「記憶にございません!/Tiara Azul-Destino-」宝塚大劇場2024/8/17~9/22

 三谷幸喜さん脚本・監督映画の宝塚舞台版、政界コメディです。史上最悪のダメ総理、黒田首相が記憶喪失になり、良い総理に変わってゆく、という話です。最終的には宝塚らしく、いい話かつ愛にあふれるハッピーエンドとなるのです。礼さん、喜劇を熱演そしていつもの様に熱唱します。そして本公演は娘トップの舞空瞳さん退団公演。かわいくて踊りが上手で、礼さんの相手役をしっかり務められた。退団さびしいですな。

喜劇ですから、笑いやドタバタ場面が多いのです。とくに、首相が記憶を失いトンチンカンな言動をするのに対し、井坂首相秘書官(暁千星さん)が大真面目なところが面白いのです。暁さん、何が起こっても一切笑わない!よく耐えるなあと思います。ここ笑うポイントだと思います。なお、礼真琴さん恒例のムチで叩かれ場面もあります。

凄腕の専科 輝月ゆうまさんが、鶴丸官房長官を演じます。これが本当に巧いのです。輝月さん最近の演目で引っ張りだこです。首相の旧友をひろ香祐さんが演じます。礼さん、輝月さん、ひろ香さんと95期の同期で息が合ってるなあと感じました。

 若手の活躍も注目です。総理の息子篤彦役の稀惺かずと君と番場事務秘書官役の詩ちづるちゃんも堂々としたもの。ミス・サクランボの鳳花るりなちゃんかわいいです。SPチームの彩紋ねお君、クールなキャラクターを演じます。長身の青風希央君カッコイイですね。皆さんこれからの活躍が楽しみです。

 後半のショーはTiara Azul-Destino- スペイン語で「運命の青いティアラ」を意味します。パッション!な星組にピッタリです。熱狂のカルナバルがテーマになっていて、ラテンナンバーを中心に、熱く、ずっと踊り続けている、という印象です。どの衣装も華やかです。礼真琴さんにぴったり。客席降りもあってそれは豪華です。

 皆様機会がありましたらぜひ星組の素晴らしい舞台をご覧ください。(2024.8.28院長)

 

カテゴリ 宝塚歌劇 

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2024年

8月

14日

「聖断 天皇と鈴木貫太郎」「日本のいちばん長い日」

8月は昭和を考える月です。

「聖断 天皇と鈴木貫太郎」半藤一利 著

太平洋戦争で誰が英雄であったかというと、ポツダム宣言受諾まで導いた鈴木貫太郎首相をおいて他ないと思うのです。日本を救ったヒーローです。

海軍軍人、日清日露戦争において水雷艇で活躍、その戦術と勇猛果敢にて鬼貫太郎と称された。連合艦隊司令長官などを歴任。昭和4年~11年、昭和天皇の侍従長を務め、天皇の信頼が厚い。二・二六事件では青年将校から4発も撃たれ瀕死の重傷を負うが生還。その後枢密院議長を務める。

戦局悪化の昭和20年4月小磯内閣が総辞職ののち、天皇から懇願されて内閣総理大臣を拝命、この時既に満77歳の高齢であった。終戦工作に陸軍の徹底抗戦派を抑えて、ポツダム宣言を受諾し、太平洋戦争を終戦へと導いた。 

何事も始めるより終えるほうが難しい。戦争も然りで終戦させることの難しさが伝わってきます。教科書などでは本土空襲→沖縄戦→ポツダム宣言→原子爆弾→ソ連参戦→終戦、と1ページにあっさりまとめられていますが、そんな簡単ではないわけです。

誰が見ても戦争継続が困難な中、表立って終戦を口に出すと、徹底抗戦派からクーデターを起こされ終戦工作がご破算になる危険があります。反対派から命を狙われるかもしれない。そんな中で鈴木首相は奮闘するのです。

なお「日本のいちばん長い日」半藤一利 著は8月14日と15日にスポットを当てた有名作。実際にクーデターの企てがあって、これを間一髪回避して15日正午の玉音放送が実行された、緊迫の24時間が描かれています。なお、終戦の詔書はいちど全文を読まれることをお勧めします。特に後半は良いことが書かれています。

日本が敗戦に至るまでの検証の中で色々な教訓をみることができます。皆様、ぜひお手に取って読んでください。

厳しい暑さが続きます。皆様くれぐれもお身体にお気を付けください。(2024.8.14院長)

 

カテゴリ 読書

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2024年

7月

31日

チョットマッテクダサイ

壁の飾りをかえました。それにしても暑い!そんな猛暑にはこの曲をお聴きください。

ゴールデンハーフ「チョットマッテクダサイ」昭和46年、作詞作曲:Loyal Garner & Jeanne Nakashima、訳詞:香取治、編曲:川口真

 ハーフ・アイドル・グループのゴールデンハーフ最大のヒット曲、オリコン17位まで上がりました。写真左からマリア、エバ、ルナ、ユミ(1)。

 曲はソフト・ボッサで、スキャット・コーラスの響きがおしゃれ。そしてピアノも金管もカッコいいんです。このあたり、編曲家川口真さんの腕が冴えわたります。(2)

 原曲はハワイのサム・カプーさんによるもので、ハワイアン風ボサノバ。ゴールデンハーフ版のレコードジャケットがハワイアン。なので完全に夏の歌だと思いこんでいました。しかし発売は1971年12月1日完全に真冬です。そして歌詞をよく見ると、桜の季節が舞台で、別れの歌だったのですね。英語と日本語ミックスの歌詞で、片言の日本語「チョトマテクダサイ」が心に沁みるのですよ。"Never leave me Kudasai."って、でたらめな英語日本語ミックス(これは原曲の歌詞通り)ですがこれも聴いているとしみじみですね。

 しかし、なぜだかやっぱり夏の歌だと思ってしまいます。

皆様、ゴールデンハーフ「チョトマテクダサイ」ぜひお聴きになって暑さを吹き飛ばしてください。 (2024.7.31院長)

 

まきの内科クリニックは8月10日(土)~16日(金)お休みをいただきます。8月17日(土)より通常診療いたします。よろしくお願いいたします。

 

 (1)ゴールデンハーフについては当院ブログ2020/08/19「ゴールデン・ハーフの太陽の彼方」もご参考になさってください。。人気TV番組「8時ダヨ!全員集合」アシスタントで大人気でした。マリア(Gメン75の速水涼子刑事で出演、時代劇でも活躍)、エバ(元祖バラドル、天然ボケのコントやギャグが楽しかった)、ユミ(小林ユミさん、実は完全日本人だったことをのちにカミングアウト)、ルナ(解散後セクシー女優を経て引退)

(2)川口真さんの作品、作曲:ちあきなおみ「円舞曲(わるつ)」しばたはつみ「サイレント・トーク」内藤やす子「弟よ」トワ・エ・モワ「ともだちならば」、

編曲:ザ・ベンチャーズ「二人の銀座」安西マリア「涙の太陽」欧陽菲菲「雨の御堂筋」ザ・テンプターズ「エメラルドの伝説」ザ・ドリフターズ「ドリフのズンドコ節」渚ゆう子「京都の恋」森山加代子「白い蝶のサンバ」など

 

カテゴリ 音楽

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2024年

7月

03日

梅雨ですね ワン・レイニーナイト・イン・トーキョー

梅雨ですね、壁の飾りをかえました。

日野てる子 「ワン・レイニーナイト・イン・トーキョー」昭和40年 作詞・作曲:鈴木道明

 本作は昭和38~40に複数名の歌手で発表されました(1)。作詞作曲は、鈴木道明(すずき どうめい)さんと云ってラジオ東京(現在のTBS)の社員だったそうです。西田佐知子さんの「赤坂の夜は更けて」や「女の意地」も書いておられます。

日野てる子さんは元々ハワイアン歌手でしたが、「夏の日の思い出」が大ヒットし歌謡曲も歌うようになりました。

なお、当初はA面が「ワンレイニー~」でしたがB面「夏の日」の方が大ヒットし、後にAB面を入れ替え再発売されました(写真のレコード)。

 前回の、沢たまき「東京プレイマップ」と同じく、ジャズボッサ風の曲が大人風、フルート、ジャズドラム、シロフォンが本当にカッコイイです。この時期ボサノバが日本の歌謡界に浸透してきたことがわかります。

 もともとボサノバはブラジル発祥で、ジョアン・ジルベルト「シェガ・ジ・サウダージ」(2)1958年あたりが嚆矢です。アントニオ・カルロス・ジョビン「イパネマの娘」62年作曲、ジョアンとアストラッドが結婚し63年に米国移住(なお64年にブラジルは軍事政権となった)ちょうどその頃、モダンジャズ~クールジャズの流れをくむウェストコートジャズを実践していたスタン・ゲッツ(Sax)が60年代初頭からボサノバを取り入れ、64年にジョアンと組んでアルバム「ゲッツ/ジルベルト」を発表、これが米国で大好評を得ました。

おそらくこの流れの中で、つまり米国のジャズ経由でボサノバが日本の作編曲家たちに入ってきたんじゃないかと推察しています。

 そして以前にも申し上げたように(3)、ポリドール(日本グラモフォン)の録音技術もすばらしい!ジャズクラブで演奏を聴いているかのような臨場感、そしてボーカル目の前で歌っているように感じます。

 皆様、雨の日は、ぜひジャズボッサが歌謡曲に取り入れられてきた時代を思いながら、「ワンレイニーナイトイントーキョー」をお聴きください。(2024.7.3院長)

 

 

(1)越路吹雪、和田弘とマヒナスターズ、さらにはブレンダ・リー、青江三奈、のちに西田佐知子、八代亜紀さんも歌っています。

(2)当院ブログ2019/07/17 ボサノバを創った男 ジョアン・ジルベルト 

(3)2021/10/13 アイドル時代前のかわいい路線「逢いたくて逢いたくて」

 2021/10/27大人の歌謡曲「赤坂の夜は更けて」

(4)なお、この曲は別に有名な話題があります。「ワンレイニーナイトイントーキョー」事件と言って、盗作疑いで裁判になったことがあります。判決はシロでした。調べてみてください。

 

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2024年

6月

12日

大人の魅力 沢たまき「東京プレイ・マップ」

壁の飾りをかえました。2回連続でオネエです。

沢たまき「東京プレイ・マップ」昭和45年 詞:伊藤アキラ,曲:小谷充

 前回ご紹介しましたテレビドラマ「プレイガール」(1)のエンディングに使われた曲です(2)。沢たまきさんのボーカル低音ハスキーで大人の魅力です。

それでもって歌詞もカッコいい!半分は「東京プレイマップ」と街の名前を連呼する、考えようによってはちょっと手抜きな歌詞です。意味のある言葉は少ないですが、短い言葉で大人の男と女のクールな関係が浮かぶ、そんな詞なのですよ。「触れ合うはグラス」なんて最高です。昔の作詞家は巧いですね。

 そして曲がジャズ+ボサノバでめちゃくちゃカッコイイんですよ。フルートとビブラフォン(鉄琴)がクール!硬質なベースサウンドは江藤勲さんじゃないだろうか。

 なお、2枚目の写真は「プレイガール」の劇伴曲集CDです。こちらは山下毅雄(ヤマタケ)さん(3)作曲でめちゃくちゃカッコイイ。

 皆様、機会がありましたらぜひ「プレイガール」サウンドをお聴きになってください。(2024.6.12 院長)

 

(1)昭和44年(1969)4月7日~昭和51年(1976)3月29日放送。

(2)東京プレイマップは64話(1970年6月22日)~ 82話(10月26日)。その他大部分の回はあのスキャット曲です。

(3)初代ルパン三世のBGMも作っておられます。ヤマタケさんの世界、一度聴いてみてください。

 

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2024年

5月

29日

5/31は世界禁煙デー「ベッドで煙草を吸わないで」

壁の飾りをかえました。

沢たまき「ベッドで煙草を吸わないで」昭和41年詞:岩谷時子、曲:いずみたく

 5/31は世界禁煙デー、日本では5/31-6/6禁煙週間です。現在喫煙をされている方、試しにタバコをやめてみましょう。思いのほか身軽になりますよ(院長経験談)。

 さてこの作品は「オネエ」こと沢たまきさんの大ヒット曲です!沢さんは昭和12年生まれ、短大在籍時代にラジオのど自慢入賞をきっかけに昭和31年テイチクからデビュー、ラテンや洋楽カバーっぽい曲を出しましたがあまりヒットせず。ジャズを志向して昭和41年ビクターに移籍した第1弾が本作品です。これA面が「教えて頂だい」で、B面の「ベッドで煙草を吸わないで」(1)の方が大ヒットしたわけです。

 作詞作曲は岩谷時子&いずみたく、これまた情緒あふれる作品を送り出すコンビです(2)。大人な内容の歌です。演奏も大人向けのしっとりしたラテンとジャズサウンド。沢たまきの低音ハスキーボイスがぴったり。以前もお話ししましたがまだこのくらいの時代まで歌謡曲は圧倒的に「大人のもの」だったのです。沢さんは本作でイメージがついたのか、このあと大人路線の歌が多くなります。

 さてなぜ「オネエ」なのかというと、有名なテレビドラマ「プレイガール」(3)で「女性国際秘密保険調査員」チームのリーダー役を演じ、部下の女子たちに「オネエ」と呼ばれていたからなのですよ。昭和時代では許されたお色気アクションドラマです。チームの女の子たちみんなすべてが60年代テイスト、おしゃれでかわいいい、そしてとりわけ沢さんが大人の魅力めちゃくちゃカッコイイ。

 皆様、機会がありましたらぜひオネエの歌を探してお聴きになってください。(2024.5.29 院長)

 

(1)同じ意味の題名”Don't Smoke In Bed”という英語の歌がありますが別の曲です。1948年作詞・作曲: Willard Robison、 歌手Peggy Lee

(2)同時代の岩谷&いずみコンビ作品:ザ・ピーナッツ「恋のバカンス(1963年)」「ウナ・セラ・ディ東京(1964)」ピンキーとキラーズ「恋の季節(1968)」 佐良直美「いいじゃないの幸せならば(1969)」など

(3)プレイガール(昭和44-49年)、続編のプレイガールQ(49-51年)人気ドラマで長いこと続きました。まだDVDが発売されています。

 

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2024年

5月

15日

ネオGS ファントムギフト「魔法のタンバリン」

壁の飾りをかえました。一連のGSシリーズはこの回でいったん締めたいと思います。

ザ・ファントムギフト「魔法のタンバリン」昭和62年(1987)作詞:ピンキー青木、作曲:ナポレオン山岸&サリー久保田

発表年に注目ください1987年です。GSは70年頃に衰退したのですが、その後日本音楽シーンはいろいろ変遷を経て、83-85年頃からニューウェイブやバンドブームなど多様な音楽スタイルが発展しました。その一つの個性的ムーヴメントが「ネオGS」なのです。20年も経ってGSが再評価されたわけです。

 80年代の日本は、アイドル全盛の歌謡曲と並行し作編曲が凝った大人向けシティポップやハードロックがメジャーな流れで、最先端の音楽はテクノやニューウェイヴでした。85年頃からバンドブームがあり、そこではパンクやビート系がメインだったと思います。そんな中、60年代のシンプルなサウンドを顧みようという動きのひとつが「ネオGS」なのです(1)。実際はGSを再現するというより、1960年代のロック・サウンドを表現する洋楽寄りのグループが多かったように思います。

 ネオGSで本格的に日本のGSサウンドと60年代の雰囲気を盛り込んだのは彼ら「ファントムギフト」でした。メンバーは(敬称略)ピンキー青木(Vo)、サリー久保田(B)、ナポレオン山岸(G)、チャーリー森田(D)と名前も当時のGS風、シンプルな4ピースのロックコンボ構成です。

 本曲はインディーズのソリッドレコードからの3作目シングルです。もう歌詞がGSの世界なんですよ。ピンキー青木(1)の詞は神秘的な世界観、それがGSのロマンチシズムとちょうど符合したのです。ナポレオン山岸の超絶サイケギター、サリー久保田のリード・ベース(60-70年代の江藤勲寺川正興ルイズルイス加部ベース風)、チャーリー森田のタイトなドラムビート、どれもスゴくかっこいいんですよ。GSとして聴いて再現度が高いですし、ガレージロックとしても本当に名作だと思います。

 彼らは同年MIDIレコードから小西康陽プロデュースでLP「ファントムギフトの世界」を発表、これもかっこいい作品でした。その後メンバー間の音楽志向などの違いから89年に活動停止しました。

 ネオGSは他のグループの活動もふくめ盛り上がりました。この「60年代サウンドを見直そう」という考えは、その後の「渋谷系」に引き継がれて90年代音楽に足跡を発展したのです。

 皆様、機会がございましたら、ぜひとも「ファントムギフト」を探してお聴きください、そして80年代当時のネオGSの熱気を浴びてください。(2024.5.15 院長)

 

(1)ピンキー青木さん、2024年3月頃に亡くなっていたと発表されました。享年62歳。ご冥福をお祈り申し上げます。

(2)代表的グループ、コレクターズ、ストライクス、ワウワウヒッピーズ、デキシード・ザ・エモンズ、ヒッピー・ヒッピー・シェイクス、レッド・カーテン -(後のオリジナル・ラブ)など

 

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2024年

5月

01日

GSからロックへの架け橋、モップス「朝まで待てない」

壁の飾りをかえました。あまりご存知ないかもしれぬGSばかりですみませんです。

ザ・モップス「朝まで待てない」昭和42年(1967)11月、作詞:阿久悠、作曲:村井邦彦

日本のポピュラー音楽史においてGSからロックの流れでザ・モップスは重要なんですよ。GSブームは王子様メルヘン系で売り出すグループが多かったなか、モップスはロック寄りでした。ジャケット写真のメンバー服装もロックですね。まあレコード会社や事務所の意向もあったようです。

さて本作は彼らのデビューシングルです。そして阿久悠さんの本格的作詞デビュー曲でもあるということで歌謡曲の歴史上重要です(1)。さらにモップスと言えば、鈴木ヒロミツのボーカルです。ちなみに皆さんが思い浮かべる鈴木ヒロミツさんは歌手ではなく俳優あるいはコメディアンの姿でしょう。僕も小さい頃はすっかりそう思っていました。そんなことはとにかく鈴木さんのボーカルがものすごい迫力、ロック歌手なんですよ(1)。ぜひお聴きください。彼は英国のアニマルズ(The Animals)のボーカル、エリック・バードン(2)にずいぶん思い入れがあったようで歌唱の雰囲気が似ています。

星勝さんのリードギターも当時流行のサイケデリック・サウンドを体現していて味わい深い。当時のアイドル系GSとは一線を特徴的なギターサウンドです。星さんはモップス解散後、音楽プロデュース・編曲家の道に進まれ、ヒット曲を数々手がけました(4)。ぜひwikiを御参照ください。前回も書きましたが、GSって後に大きな業績を残した人がたくさんいるのですよ。

モップスは69年に音楽性の違いから東芝に移籍します。GSブームが69-70年頃に下火になり数々のGSが解散する中、70年以降彼らはニューロックな作風にかわり、74年に解散するまで日本ロック黎明期の名作を残してゆきます。

皆様日本のロックの萌芽のひとつであるザ・モップスのサウンド、機会があればぜひお聴きください。なお、「朝まで待てない」は67年のオリジナル版のほか73年に自身が再録音したバージョンもあり、聴き比べしてください、73年版は当時のサウンドとは思えないくらいの迫力です。

(2024.5.1院長)

まきの内科クリニックは5月1日(水)~5月6日(月祝)お休みをいただきます。5月7日(火)より通常診療いたします。よろしくお願いいたします。

 

(1)阿久悠「昭和歌謡曲と日本人」河出書房新社 (2017)第五章

"ヒロミツさんとは縁があった。つまり、ぼくの、作詞家としての事実上のデビュー作ーB面になった物は除くーである「朝まで待てない」を歌ったザ・モップスのリードボーカルが、彼であったからである"

"その昔を知らない人のためにぼくは断言する。鈴木ヒロミツはロック歌手だったのだ。"

(2)まきの内科クリニックブログ アニマルズ「悲しき願い」

(3)星勝さんの解説、ウィキペディア https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%98%9F%E5%8B%9D

 

カテゴリ 音楽

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2024年

4月

16日

GSの功績 アウトキャスト

壁の飾りをかえました。まだまだGSは続きます。

アウト・キャスト「一日だけの恋」昭和42年(1967)年9月

 GSが流行したのは67~69年で、その初期からいたグループです。実力はあるものの、人気ではタイガースやスパイダース、テンプターズなどに後れを取ってそれほど売れなかったようです。

この曲は初期メンバー(1)のときのものです。67年ですからまだ歌謡曲化していないGSらしい作品です。特にエレキ(水谷淳さん以下敬称略)、ハモンドオルガン(穂口雄右)なんかすごくいいんですよ。

 今回GSの功績というタイトルをつけました。これね、GSというのは短期間のムーヴメントではありましたが、音楽面、文化面、音楽業界に多大な影響を与えました。そして、後世に影響与える人材を多数輩出した功績も極めて大きいのです。その意味ではこのアウトキャストというグループは人材の宝庫です。

ギターの水谷淳、後に水谷公生と名乗り、日本の代表的ギタリスト(2)として名を残し、また作曲編曲でも大活躍。

轟健二(後の松崎澄夫)はキャンディーズをプロデュース、その後音楽プロデューサー、芸能事務所アミューズの社長を務め数々のグループ・アイドルを輩出した。

穂口雄右(キーボード)はアウトキャスト脱退後、他グループやスタジオミュージシャンなど経てキャンディーズの作曲編曲に携わり、以後作編曲家として活躍。

 ぜひアウトキャストのOBの皆さんの活躍を調べてください。のちの日本音楽に大きな影響をあたえていることがわかります。皆様、機会がありましたらアウトキャストをお聴きください、そしてGSの功績について思いを馳せてください。(2024.4.17院長)

 

(1)初轟健二(ボーカル、フルート)、藤田浩一(ギター)、穂口雄右(キーボード)、水谷淳(リードギター)、中沢啓光(ドラムス)、大野良二(ベースギター)

(2)キャンディーズ「春一番」のあのギターの方です

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2024年

4月

03日

月組 Eternal Voice/Grande TAKARAZUKA 110!

壁の飾りをかえました。月組宝塚大劇場 2024年3月30日〜5月12日

『Eternal Voice 消え残る想い/Grande TAKARAZUKA 110!』

「Eternal Voice」は月組トップコンビ、月城かなとさん、海乃美月さんの退団公演です。ヴィクトリア女王時代の英国が舞台、謎解きと超能力を組み合わせたファンタジー物語。開始から引き込まれる展開なのだが、途中から複雑になってきて、ちょっと油断している間に話についていけなくなってしまった。

ぜひ予習しておくことをお勧めします。プログラムを購入し「第〇場~誰それが~する」のページをラストまで通読し、できればホームページで人物相関図まで頭に入れて観劇するのがお勧めです。

個々の場面をみると、渋~い台詞のやり取りあり、コミカルな場面もあり、さすが芝居の月組だなあと感銘をうけます。あと何回か観ます。

「Grande TAKARAZUKA 110!」これこそ宝塚という豪華なショーです。プロローグから衣装も踊りもゴージャス。中詰めのスペイン・ショーでは次々に銀橋で歌い継ぎあり、下級生まで銀橋渡りして嬉しいです。そして客席降りもあって大盛り上がりでした。さらに今回退団者5名の銀橋渡り場面に泣きます。演出の中村先生、退団者へ思いやりがこもっています。

風間さんの歌に続いて、初舞台110期生のロケットは長丁場の構成。フォーメーションが複雑かつ変化が目まぐるしく、完成させるのが難しかったんじゃないかな。

雪月という場面では月城さんの来歴が歌詞になっていてしみじみとしますね。

男役群舞は伝統の黒燕尾、月組ならでは渋い男役の魅力です。大階段の真ん中に月城さんが立ち、整然と男役たちが囲む、これだけで感動。

そして「My best friend」それはそれは泣けてしまう名場面ですよ。

豪華&涙のショーでした。

皆様機会がございましたらぜひ月組の舞台をご覧になってください。(2024.4.3院長)

 

カテゴリ 宝塚

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2024年

3月

06日

ザ・タイガース「シー・シー・シー」

壁の飾りをかえました。ここしばらくGSがつづきます。

ザ・タイガース「シー・シー・シー」昭和43年(1968)7月作詞:安井かずみ・作曲:加瀬邦彦

 タイガース6枚目のシングルです、50万枚も売れたそうです。タイガースはデビューから橋本淳・すぎやまこういちコンビの作品で、王子様キャラクター、ロマンチック世界観、哀愁メロディー、ストリングスで盛り付けた曲が多いです(1)。また当時のファン層もそれを期待していたのでしょう。渡辺プロダクションが需要に応じて売り出すという、商業戦略の一環でもあるのです。

 一方、ロックバンドのビート系作品としては2枚目「シーサイドバウンド」と6枚目本作「シーシーシー」ですね。本作は作詞作曲がかわり、安井・加瀬(2)コンビで新しい風を取り入れようということなのでしょう。

 1964-66年頃流行したマージビート、ブリティッシュビートを思わせるノリの良い曲です。ジュリーとメンバーのコール&レスポンス(歌の掛け合い)が英国風。サリー(岸部おさみ(岸部一徳))のベースもビートがあふれています。ついでに言うとサリーは声も低音が魅力。そしてギター(加橋かつみ)が初期ローリングストーンズの音色みたいなんですよ。ライブバンドであったタイガースの一面が伺える作品です。

 なおこのあと昭和44年(69年)グループから加橋が脱退し、また時代の流れから、作風がニューロックの方向へ進むことになります。

 皆様、ロマンチックだけではないGS、日本のロックの基であったGS、機会がありましたらぜひお聴きください。 (2024.3.6 院長)

 

(1)1st「僕のマリー」(1967年2月)歌謡系 作詞:橋本、作曲:すぎやまB面「こっちを向いて」50'sサウンド

2nd「シーサイド・バウンド」(67年5月) ビート系 橋本&すぎやま B面「星のプリンス」60'sアメリカン、スペクターサウンド的

3rd「モナリザの微笑」(67年8月)歌謡系 橋本&すぎやま B面「真っ赤なジャケット」マージービート系

4th「君だけに愛を」(68年1月)ビート+歌謡 橋本&すぎやま B面「落葉の物語 」ロマンチック系

5th「花の首飾り/銀河のロマンス」(68年3月) 歌謡系 橋本&すぎやま 両A面

6th「シー・シー・シー」(68年7月)ビート系 作詞:安井、作曲:加瀬 B面「白夜の騎士」メルヘン王子様系 

 

(2)ワイルドワンズの加瀬邦彦さん、深夜まで飲んで早朝4時に帰宅すると、事務所から電話が鳴り「今から9時までに曲を作ってくれ」と頼まれたそうです。無茶ぶりですが、5時間で作りあげた曲なのに名曲だと思います。加瀬さんスゴイ! なお安井&加瀬コンビは70年代ジュリーのソロ活動で名作を多く残します。

 

カテゴリ 音楽

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2024年

2月

21日

花組「アルカンシェル~パリに架かる虹~」

壁の飾りをかえました。

花組「アルカンシェル~パリに架かる虹~」2024年2月10日-3月24日 宝塚大劇場

 柚香光さんと星風まどかさんトップコンビ退団公演です。1本物なので柚香さんの華麗なダンス見せ場が少ないのではと心配でしたがそれは杞憂、レビューシーンがふんだんに盛り込まれています。プロローグから王道レビューシーン、柚香さんは黒燕尾とシルクハットが似合いますね。続くピエロ・ダンスも柚香さんの表現力がスゴイ!道化師の悲哀が伝わってくる。そしてこのピエロは後の伏線にもなるのです、しっかり観ておいてください。

 星風まどかちゃんは宙組から長年トップを務め堂々の風格、そして安定の歌唱で聴きごたえあります。なにより柚香さんを慕う仲良い雰囲気に満ち、観ている者を幸せにしてくれます。

 パリ占領軍文化統制副官フリードリッヒを永久輝せあさんが快演。ナチス軍人だが、純粋に音楽と演劇が好きで、アルカンシエル劇団に好意的なのが良く伝わってきます。次期トップさんに決まっていてこれからの活躍も楽しみです。

 ドイツ文化統制官コンラート・バルツァーは専科から凄腕の輝月ゆうまさんが演じます、サイコパスなナチス将校の演技が光ります。輝月さん巧すぎ!そして部下のナチス親衛隊マックス(紅羽真希さん)とエミール(泉まいらさん)が冷酷ナチスの面と、コンラートに頭が上がらない部下というコミカルな面があっていい味なのです。なお、紅羽さんはダイナミックなダンスで魅せる方で、ナチスのソ連侵攻場面やフィナーレでの踊りに注目。またエミールの泉まいらさんは後でナチスのコルティッツ総司令官(1)に役替わりします、これまた燻し銀の演技です。宝塚大劇場だけでの役なのでぜひご注目ください!

 今回退団される帆純まひろさん、華麗な美人男役、劇団員としてソロ歌唱ありピエロ姿での前転あり見せ場が多くありました。銀橋で柚香さんから「一緒に舞台を作ってきた仲間じゃあないか」とねぎらわれる場面が涙を誘います。

 花組は注目のジェンヌさんが多いです、最近とくに愛乃一真(まのかずま)さん、この人の踊りに双眼鏡が釘付け。速い動き+ピタッと静止+抜群の体幹安定、そしてポーズ時の角度、とにかくスゴイです、ぜひご注目ください。レジスタンスの踊りがキレッキレです、ぜひご注目ください!ラテンナンバー・ココナッツパラディでは手に持つマラカスを止めるタイミングそして腕と脚の角度までが完成された芸術です。

 なお若手の光稀れん(こうきれん)クン108期もご注目ください!下級生ながらすでに男役の貫禄があるのですよ。今回はアルカンシエル劇場の冒頭シーンで7(セット)シャルマント(=7人組ロケットダンサー、赤色ですぜひ見つけて下さい!)、そしてナチス兵士、ホテル舞踏会の客、パリ解放時の市民等、チョイ役ばかりなのですが、存在感が大きいのです。皆様ぜひ温かく応援してください!光稀れん(こうきれん)クンです。

 魅力たくさんの花組公演アルカンシエル、機会がありましたらぜひご覧ください。(2024.2.21院長)

(2024.3.23 追記)

サヨナラショー、観ました。とくに黒燕尾のフィナーレがよかった。柚香さん本当に伝統的黒燕尾が凛々しく合っておられます。これが観たかった、感無量です。

 

(1)コルティッツ司令官は実在の人物で、ヒトラーによるパリ破壊命令をはぐらかし、結局爆破しなかった。パリを救った男として後世に名を残し、後に映画化されました(2014年「パリよ、永遠に」)。

 

細かい見どころ

(1)主人公マルセルが住む質素な部屋。梁が斜めであること、壁が石のままであることからパリのアパルトマン最上階の屋根裏部屋、つまり安い部屋にしか住めないことを表しています。構造上、最上階は天井が斜めで部屋が狭いことが多く、また昔の建物はエレベーターがなかったので昇り降りが大変、そのため最も家賃が安い階なのです。

(2)劇中に大道具(書割)の裏面が出てきます。上にcôté cour、下の方にcôté jardinと書いてあります。これは上手・下手の区別です。上手はcôté cour (コテ・クール)、下手が côté jardin (コテ・ジャルダン)です。

(3)劇中背景のパリ市地図に御注目ください。道路や施設が昔の名称なんです。パリ旅行したことがある方、見たことのない地名が載っています。双眼鏡で確認してみてください。

旧Avenue(以下Av.) Alexandre-III(アレクサンドルIII世通り、ロシア皇帝)→1966年~現在Av. Winston-Churchill(英国チャーチル首相)、なおアレクサンドルIII世橋は「アナスタシア」で重要な場所でした。

旧Av. d'Antin(劇中の地図)→1918第1次世界大戦後からAv. Victor-Emmanuel III(イタリアの王)→第二次世界大戦では敵国になったので戦後に名称変更→1945年Av. Franklin D. Roosevelt(米国大統領ローズヴェルト)、この通り沿いに戦後の名レストラン・ラセールがあります。

旧Av. d'Alma(アルマ通り、1854クリミア戦争アルマの戦い勝利記念)→1918年~Av. George V(イギリス王ジョージV世、第一次世界大戦で英国とフランスが同盟国で戦った、ジョルジュ・サンク通りは今は高級ブランドと高級ホテル(フォーシーズンズ・ジョルジュサンク)の通リです。

 劇中の地図には出てきませんがアイゼンハウアー将軍通り(ノルマンディー上陸作戦の司令官,、後に米国大統領)もあります。フランスは戦争のとき英国と米国に助けてもらったので恩義に感じているということなのでしょう。

(4)ドイツ軍総司令部はホテル・ムーリス(Le Meurice)にありました。チュイルリー庭園の向かいRue de

Rivoli (リヴォリ通り)にあり。いまもパリを代表する高級ホテルとして輝いています。

 

(追記2024.3.23)

カテゴリ 宝塚歌劇

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2024年

2月

07日

ゴールデンカップス「本牧ブルース」

壁の飾りをかえました。ひきつづき60年代GSの話です。

ザ・ゴールデン・カップス「本牧ブルース」昭和44年2月 作詞:なかにし礼、作曲:村井邦彦、6枚目のシングルです。

ゴールデンカップス(以下カップス)は横浜で結成されたバンド(1)。アイドルGSとは異なり、リズム&ブルース寄りの洋楽を志向していました。それもかなりマニアックであったようです。

GSとしてメジャーデビューしたために、シングルレコードではブルースとロックは控えさせられ、職業作詞作曲家が書いた歌謡曲的作品を出していました。有名な「長い髪の少女」は典型です。ただし、LPレコードは洋楽カバーがメインです、「洋楽の東芝」だから本人たちの希望する音楽を許してもらえたのでしょうか?ライブ演奏はほぼ洋楽中心でやっていたことが後年に再発された音源や動画などから明らかになっています。

そんな流れで本作も歌謡曲寄り作品と言えます。しかし、ブルース&ロックが滲み出てくるのがカップスらしいところです(2)。ソウルフルなデイヴ平尾の歌唱、ギターもファズがかかってハード。そしてカップスと言えばルイズルイス加部のベース!ものすごい迫力でウネっています(3)。キーボードは後に「ゴダイゴ」でも活躍するミッキー吉野さんです。

ロックと歌謡曲の間で苦悩する姿こそGSの醍醐味と言えましょう。

皆様、機会がございましたら、ぜひゴールデンカップスを御鑑賞ください。(2024.2.7院長)

 

(1)横浜市 本牧のレストランバー「ゴールデン・カップ」で演奏したのがはじまりです。

(2)「銀色のグラス」もぜひ聴いてください。

(3)加部さんのベースはあまりにメロディアスなため「リードベース」と言われることがあります。

 

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2024年

1月

24日

スパイダース「太陽の翼」

壁の飾りをかえました(1)

昨年後半は80年代ばかりでした。今年は院長の好きな60年代GSから始めます。

ザ・スパイダース「太陽の翼」昭和42年3月 作詞・作曲:利根常昭

9枚目シングル。この作品、日本航空世界一周路線開設を記念した曲なんですよ。当時の日航はイケイケだったんですね。そういうわけで「太陽」の「翼」なんですよ。

スパイダースは昭和40年「フリフリ」でレコードデビュー、「ノー・ノー・ボーイ」「ヘイ・ボーイ」「サマー・ガール」と立て続けに英国ロックサウンド(2)志向の曲を出しました。ただロックを前面に押すと当時はなかなか受け入れてもらえなかったのです。なので歌謡曲風も入れないといけないということになるのです。ロックを演りたいがそれだけではお客がついてこない、売上にはつながらぬ、当時のGSは皆この悩みを抱えていたはずなのです。

スパイダースは浜口庫之助を起用し歌謡曲調の「夕陽が泣いている」昭和41年9月で大ヒット。カントリー調の「なんとなくなんとなく」をはさみ、歌謡曲調かつ日航タイアップでヒットを狙っての本作「太陽の翼」リリースなんでしょうね。

メロディーラインは歌謡曲テイスト、歌詞世界は青春もの(3)であるものの、演奏は完全にロックです。まずギターにはファズ(4)がかけられていてハードなサウンド、リードギター井上堯之さんかっこいいぜ。田辺昭知さんのドラム、フィル・インがめちゃピシッと締まってるんですよ、ここはよく聴いてください。そしてハモンドオルガン大野克夫さんのノリもすばらしい。そしてロックを志向したかまやつさんのプロデュース力。スパイダースの演奏ってGS内で突出して技術高くかつロックなんですよ。彼らの音楽的素養をもってこそ歌謡曲風メロディーをロックにつくりあげることができるのです。

ロックと歌謡曲の間で苦悩しバランスをとる姿こそGSの醍醐味と言えましょう。

皆様、機会がございましたら、ぜひスパイダース・サウンドを御鑑賞ください。(2024.1.24院長)

 

(1)ジャケット写真、カッコイイですね。GSと言えばミリタリールック(軍服風衣装)!ビートルズのサージェントペッパー衣装からの連想なんでしょうか?なぜか日本のGSも軍服が採用されるという変テコ安直な流れです。

(2)マージービート、リバプールサウンド、ブリティッシュロック等いろんな分類があります。

(3)当時はなんだかんだ言ってヨナ抜き歌謡曲調と青春モノが一般大衆にうける要素でした。

(4)音を歪ませるエフェクターのこと。ファズは60年代に流行りました。ゴールデンカップス「銀色のグラス」、ローリングストーンズ「サティスファクション」のイントロの音がファズです。類似のものにディストーションとかオーバードライブがあります。

 

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2024年

1月

17日

星組「RRRアールアールアール/VIOLETOPIAヴィオレトピア」

壁の飾りをかえました。

星組「RRRアールアールアール/VIOLETOPIAヴィオレトピア」宝塚大劇場2024年1月5日~2月4日

お芝居の「RRR」は原作の3時間インド映画を半分の時間にまとめて舞台化したものです。本当に楽しめる作品で、90分があっという間に過ぎました。トップ礼真琴さん、上手すぎる!そして今の星組メンバーだからこそ成し得た充実の作品です。

ストーリーは院長の好きな、男の友情もの。ビーム(礼真琴)とラーマ(暁千星)は、友情か?裏切るのか?民族自立の使命か?苦しい選択を迫られる、泣かせるぜ。そして今回は宝塚的な恋の要素は少ない目ながら娘役ジェニー(舞空瞳)とシータ(詩ちづる)かわいいです。

随所にダンス、コーラスありショー的要素あり、途中であきさせることがないです。圧巻の見せ場はやはりナートゥダンス、礼さん暁さんのダンスがものすごい!星組総踊りが大変な熱量でした。

礼さんが鞭打ちを受けても絶対に倒れない根性シーンも見どころです。なお最近礼さんは立て続けに作品内で鞭で叩かれているのが心配なところです。

なお、心情、戦乱、火災、などを、火の精と水の精みたいな役が踊りで表現するのですが、このダンスもすばらしい。よく見てると火の精「FIRRRE」の鳳花るりなさんの踊りがキレキレです。

原作を観ていませんがわかりやすく楽しめる作品です、谷貴矢先生、天才です。

ショーの方は「ヴィオレトピア」不思議な時間空間世界を描いているように思います。舞空瞳さんの黒燕尾姿、とてもかわいいですね。暁さんの女装はとても迫力。

印象に残るのはサングラス群舞、近未来世界を感じます。この場面、曲がカッコイイんですよ。

今回で退団の天華えまさんの場面もたくさんあって感慨深いです。スーツ姿でソロ銀橋渡り、スター天華さんの美学が詰まっていました。フィナーレ、エトワールも天華さんが務め感動しました。

充実の星組公演、機会がございましたらぜひご覧ください。 (2024.1.17院長)

 

カテゴリ 宝塚歌劇

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2024年

1月

07日

整数比直角三角形とtan2倍角の秘密

今年もよろしくお願い申し上げます。

ひさしぶりに受験数学の話です。整数比直角三角形の性質についての話です。ブログでは数式や図を書けませんので画像貼り付けになっています。 興味を持っていただけましたら幸いです。式や図が長いのでスマホよりパソコンの方が見やすいと思います。広い画面で見たい方は記事の一番下のPDFファイルをご覧ください。(2024.1.7院長)

 

カテゴリ 受験

 今回は整数比直角三角形の性質についての話でした。

なお2013年センター試験数IA第3問は、解けなかった受験生が続出し平均点を大きく下げ(例年60点台→51点)"以前は"伝説の入試問題のひとつと言われていました。ところが共通テストに替わり大幅に難化、特に2022年は多数の地獄問題が出題され平均点38点を叩き出し、新たな伝説を創り出しました。受験地図は大きく変わりました。もはや共通テストでは3:4:5の直角三角形なんて素直な出題はされない気がしてきました。高校入試ではまだ役に立つかもしれません。受験生の皆さまがんばってください。

広い画面で見たい方はいちばん下のPDFファイルをご覧ください。

 

参考:受験の月「伝説の大学入試問題(数学)」

こちらもご参照ください。

 

カテゴリ 受験 2024年

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2024.1.7ブログPDF
整数比直角三角形とtan2倍角の秘密
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