残暑もエレキ「エレキの若大将」

 

 壁の飾りをかえました。

加山雄三「夜空の星」昭和40年、作詞:岩谷時子、作曲:弾厚作、演奏:寺内タケシとブルージーンズ

 お盆も過ぎたというのにまだまだ暑いです。夏の名残にまだエレキを聴いています。

加山雄三の映画「エレキの若大将」の主題曲です。

 この曲で勝ち抜きエレキ合戦を勝ちあがっていくんですよね。対抗バンドのジェリー藤尾の指示で青大将(田中邦衛)がギターアンプの電源をぬいて音が鳴らなくなり、でも加山さんはひるまず電源を入れなおし演奏を再開、エレキ合戦なのに歌い出したりして、結果見事優勝するのです(1)。

 レコード用の録音ではボーカルの音量が大きくてギターが目立たないのですが、耳を澄ませてバックのギターを聴いてください、寺内タケシさんのテクニックがスゴイんです。なお寺内さんは「蕎麦屋のタカシ」という役名で登場し、若大将の家で初めてエレキを教えてもらう、という設定なのですが、エレキを触って5分でめちゃくちゃ巧く弾けるようになります。まあ観ている客も「寺内さんだからいいか」と納得するわけです。

 映画のサントラ録音もカッコいいですので是非お聴きください。出だしはインストでトレモロ・グリッサンド(2)(=テケテケ)も入ってて、インストの方がギターサウンドをよく味わえます。

 さて当時はエレキは不良のものだったはずなのに、子供も観る映画(3)で若大将がエレキを弾きまくっていいのか?という疑問が浮かびます。しかしそれもこれも加山雄三さんがハンサムでクリーンで上品だから、何でもOKなのです。そして作曲が加山さん本人によるということも歌謡曲の歴史上重要です。つまりシンガーソングライターの嚆矢であるということです(4)。

 残暑が厳しいですが、まだ暑い時こそ名残のエレキ、若大将の名曲をぜひお聴きになってください。 (2022.8.17 院長) 

 

(1)演奏できなくなって歌でカバーして優勝、これは石原裕次郎「嵐を呼ぶ男」と展開が同じ。

(2)寺内タケシさんのテケテケは指板を押さえる指が人差し指と薬指2本使う独特のスタイルです。一音一音くっきり出ることが特徴です。

(3)なお「エレキの若大将」の併映は「怪獣大戦争」でした

(4)この時期くらいまではレコード会社専属作家制度が根強く残っていて、曲というものは作曲・作詞の先生に書いていただくものでした。作曲プロセスの固定化から新しいスタイルを作り難しかったと言います。自分で作曲して歌うなんてとんでもないことだったのです。加山雄三さんは弾厚作というペンネームを使っています。

 

カテゴリ 音楽

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