日本のドゥーワップ(3)ランナウェイ

壁の飾りをかえました。日本のリズム&ブルースを語るうえで重要な曲です。
シャネルズ(1)「ランナウェイ」昭和55年 作詞 湯川れい子、作曲 井上忠夫
ものすごく流行りました、100万枚売れたそうです。元々パイオニアのラジカセ「ランナウェイ」のCMソングとして作られたそうです(2)
湯川・井上両氏が、1960年前後のドゥーワップ・サウンド(3)を日本オリジナルで完全再現しました。シャネルズのコーラスメンバーは顔を黒塗りして注目されました。しかしながら演奏と歌唱を聴けば、それが単なる話題集めだけでなく、彼らの黒人音楽に対する憧憬と尊敬の発露であることが痛いほど伝わってきます。
日本のリズム&ブルースを3曲検証しましたが、ドリフのズンドコ節(1968)は60年代後半ソウル・サウンドながら原曲は「海軍小唄」でヨナ抜き音階(4)です。キングトーンズ(1968)はドゥーワップを意識しつつもプラターズのように甘いメロディーとして一般受けするようアレンジしています。いずれも当時の日本人に受け入れられるためには多少の手加減が必要だったのです。しかるにランナウェイ(1980)には楽曲も演奏者も一切の譲歩がありません。この12年間、日本人は音楽を作る側だけでなく聴き手側も洋楽を自分のものとして消化したわけです。100万枚売れたことがその証拠であります。日本に洋楽が浸透する過程を伺い知ることのできる貴重な資料です。  (院長)

 

(1)現在の「ラッツ・アンド・スター」です。
(2)そういえばそんなCMありました!大型ラジカセも当時流行っていました。
(3)1950年代から60年代前半頃に流行した黒人音楽リズム&ブルース合唱のスタイルで、リードボーカルに対しコーラスで「ドゥーワッ」「シュビドゥビ」「ドゥビドゥワ」などのスキャットをつけることが特徴。 ウィキペディア日本「ドゥーワップ」から引用・要約。
(4)日本風の音階で西洋音階の四度(ファ)と七度(シ)を抜くのでこう呼ばれる。民謡・演歌・唱歌で多用される。独特の哀調をもち日本人の情緒に訴えるメロディーになる。

 

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