雪組「蒼穹の昴」

壁の飾りをかえました。雪組「蒼穹の昴」宝塚大劇場2022年10月1日~11月7日

 浅田次郎さん原作の舞台化です。まず漢字が読めなかった。「そうきゅうのすばる」です。清朝末期1886~98年の話です。日本同様、近代化を迫られた中国版の幕末~維新時代みたいな世の中を描いています。

 トップ彩風さん演じる、文秀(ウェンシウ)は田舎から科挙に首席合格する優秀な若者です。受験生の頃は前作「夢介」のように田舎っぽい喋り口調ですが、官吏に登用され、国の改革に使命感をもち、仲間と改革に奮闘する、その過程で堂々とした話し方に変化してきます。このあたりの役作り、彩風さん上手いです。以前の作品「ひかりふる路」ダントン役、「フォルテシッシモ」ナポレオン役に通ずるものがありますね。

 娘トップ朝月希和さんは玲玲(リンリン)役です。健気な役を演じます。今回で退団なのにやや見せ場が少ないところがちょっとかわいそうか。

 春児(チュンル)朝美絢さんは綺麗で可愛く健気なキャラクターを好演されます。京劇をみごとに舞うのも見どころですね。

 科挙二等合格者の順桂(シュンコイ)和希そらさん、改革派の同志。持ち前の低音イケメンボイスで、役柄の強い信念が表れています、でも信念強すぎて暴走してしまうのです。和希さんいつもながら歌唱がいい! 

 院長の好きな縣千さんが光緒帝(ツァイテン)を演じます。若くて高貴な感じがぴったり。若い皇帝の苦悩がよく出ています。縣さん体格が良くてダンサーなので座ってる場面が多いこの役はもったいなかったかな?

 科挙合格三等、王逸(ワンイー)の一禾あおさんが活躍しています。102期若手ながら彩風さん和希さんと科挙トップ3の場面は芝居も歌も堂々としたものです。凪七さん(李鴻章)との掛け合いもいい感じです。

 それと特筆すべきは朝美さんと同期の天月翼さんの老人役!安徳海(アン ドーハイ)。元宦官、紫禁城を追い出され、今は盲目の胡弓弾き。鬼気迫る演技です。春児の運命と大きく関わる重要な役でうまかった。

 芝居全体としては、長編小説を圧縮した関係で多くのエピソードをつなげることになり、二幕長時間のわりに盛り上がりに欠ける印象でした。主要人物だけの場面が多くて、中堅以下の出番が少なく影が薄くなっています。さらに、西太后と玲玲をのぞけばほぼ男役だけで話が進行するため、娘役に至っては台詞ある者は数名だけとちょっとさびしいですね。

 とはいえ本公演、舞台装置が素晴らしくきらびやかです。そして衣装も一つ一つ細工が施され手が込んでいます。西洋物よりも豪華じゃないでしょうか。皇帝謁見場面、総踊り場面や京劇場面は絢爛豪華で迫力がありますので見所です。ぜひオペラグラスで細かいところもよく見てください。

 皆様、機会がありましたらぜひ雪組の公演をご観劇ください。(2022.10.5院長)

 

カテゴリ 宝塚歌劇 

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