「しびれ」は日常語ですが、医療者と患者さんで指している内容に食い違いが多い言葉です。医療の世界では通常、感覚障害全般のことをいい、感覚鈍麻~消失、錯感覚、異常感覚、感覚過敏などと、細かく分類されます。たとえば正座の後のビリビリ、ジンジンは異常感覚+感覚過敏です。患者さんから詳しく症状をお聞きしてどのタイプの痺れなのかを判断します。
運動障害である運動麻痺、ふるえなども「しびれ」と言われる患者さんもいます。「中風」「中気」という古い言い方がありますが。これは脳卒中による麻痺症状を表し、「邪風に中る」「悪気に中る」が由来です。「シビレ節」(昭和41年)という曲で植木等さんが「中気でシビれてる」と歌いました。この「中気」のシビレは脳卒中による運動麻痺をさしているのでしょうね。この部分の歌詞に問題があるとして長い間放送禁止になりました。(院長)